昔々、カッシーナっていう王国があったんだ。この美しい王国には、魔女とか、人狼とか、ドラゴンとか、その他色んな魔法の生き物たちがいてさ。王様のスコット・デーモンは、みんなが仲良く暮らしてるのが自慢だったんだ。別に問題起こさなければ、人間たちも彼らを愛してたし。でも、ある日、魔女狩りから逃げてきたカレンって魔女が王国にやってきて、王様に助けを求めたんだ。王様は彼女を受け入れて、二人は恋に落ちたんだ。
カレンとスコット王は、カッシーナの王様と女王様になれてすごく嬉しかった。カレンがカサンドラっていう可愛いお姫様を産んだ時は、もう最高に幸せだったよ。お姫様はママの力も受け継いで、カレンはカサンドラが8歳の時に全部教えてあげたんだ。でも、ある日、カッシーナの愛する女王様が殺されちゃったんだ。
何が起きたのか知ってるのは、女王様の死を目撃したスコット王だけだった。王様は国民とカサンドラに、女王様を殺したのはドラゴンだって言って、やむを得ず退治したんだって。女王様が死んだ後、王様はドラゴンと一緒に、他の魔法の生き物たちも追放しちゃったんだけど、ドラゴンのために仕えてた神官たちが王様に呪いをかけたんだ。いつか、王様は大切な娘を失って、ドラゴンの王の一人が彼女を奪って、花嫁にするって。
スコット王は万が一の事態に備えて、お姫様の相手かもしれないドラゴンをみんな殺すように命令したんだ。それで、何匹かのドラゴンは殺されたけど、他のドラゴンたちは逃げることができて、それ以来、誰もドラゴンを見たことがないんだって…。
カサンドラ
最近、変な夢ばっかり見てるんだよね。いつも同じで、森の中を走ってて、何から逃げてるのか分かんないんだけど、空でドラゴンの咆哮が聞こえてくるんだ。怖くて、ちょっとの間隠れてたんだけど、人たちが何かを唱えてる声が聞こえてきて。その声のする方に行ってみたら、人たちが誰か、または何かを囲んでるんだ。
グループの中心に行ってみたら、自分が岩に両腕を縛られて立ってるんだ。リーダーを見てみたら、そいつが話し始めたんだ。
「北の偉大なるドラゴンよ!我々の呼び声を聞け!我々は、先祖に選ばれし乙女、カサンドラを捧げます!彼女の犠牲によって、山の神官たちは平和に生き続けることができるでしょう!さあ、我々の元に来て、お前の褒美を受け取れ!」
そう言った瞬間、夜のように黒いドラゴンがどこからともなく現れて、周りの世界が真っ暗になったんだ。
なんでここ数ヶ月も同じ夢を見てるのか分かんないんだよね。だって、ママが死んだ後、ドラゴンはみんな殺されたって知ってるし。でも、自分の力なんじゃないかって疑い始めてるんだ。小さい頃、ママは私に未来が見える力があるって言ってたし、この夢が本当に未来のビジョンなんじゃないかって思ってるんだ。
でも、そんなこと気にしないでいようと思ったんだ。だって、婚約者のプリンス・トビアスに会うんだから。お父様は、いつか私が王位を継がないといけないって分かってたから、3人の王子様を選んで、私に合う人を選んだんだ。それで、トビアス王子に決まったんだ。今日は、彼が遊びに来て、一緒に時間を過ごして、結婚前に仲良くなる日なんだ。
「もし彼が私を嫌ったらどうしよう?もし気が変わったら?もし…」
「お姫様、落ち着いてください」アニーっていうメイドさんが、私の髪を梳きながら優しく言った。
「ごめんなさい、落ち着けないの。トビアス王子のことは聞いてるし、ハンサムだし…もし私が嫌われたらどうしよう、特にママの力とか持ってるし… *ため息* ママがいたらなぁ」
「大丈夫よ、私がいれば。私はあなたにとって、もう一人のママみたいなもんでしょ?小さい頃からずっと見てきたんだから」
「ふふ、そうだね、アニーは本当に良いママだよ」私は笑顔で言った。
髪の毛が絡まなくなって、アニーは私の髪を少しだけまとめて、残りは背中まで垂らしてくれた。ティアラを頭につけて、長袖で透けてる部分があって、胸元がV字になってるダークブルーのドレスに着替えた。3インチヒールの靴を履いて、ボディガードのレオがノックして部屋に入ってきた。
「カサンドラ姫、トビアス王子がお見えになりました。お父様が玉座の間でお待ちです」
「すぐ行くわ」
部屋を出て、深呼吸して、レオの腕に手を回して、一緒に玉座の間へ向かった。城に住んでる人たちは、私に丁寧にお辞儀をしてくれた。お父様と私は玉座に座って、ドアが開いて、トビアス王子が現れた。
彼はイケメンだった。トビアス王子は、茶色の髪にヘーゼル色の瞳、少し日焼けした肌。頭には王冠をかぶってて、ダークブルーのチュニックに、腰には剣が吊るされたベルト。ベージュのレギンスに、ダークブラウンのブーツ。黒いマントも着てて、縁にはグレーのトリミングがあって、後ろには家の紋章がついてた。
王子は私たちの方に歩いてきて、お辞儀をした。
「陛下、姫様」
「トビアス王子、カッシーナへようこそ。私の娘、カサンドラを紹介します」
私は玉座から立ち上がって、ドレスの裾を持って、王子にカーテシーをした。
「お会いできて嬉しいです、トビアス王子」
「こちらこそ、カサンドラ姫」
トビアス王子はそう言って、私の手にキスをした。私は少し微笑んで、お父様が話し始めた。
「ウィリアム王は?一緒には来なかったのか?」
「残念ながら、事情がありまして、父は来ることができませんでした」
「ああ、それは残念だ。最後に会ったのは、彼がカトリーナと出会う前だったな」
「ずいぶん昔のことね」私はニヤリと言った。
「おい!聞こえてるぞ!」
私はその反応にクスクス笑って、トビアスも笑った。
「娘の行いを許してください。母親譲りなもので」
「気にしませんよ。それに、ちょっとお茶目な姫様も悪くない」トビアスは私を見てウィンクした。
私は少し顔を赤くして、アニーが私に囁いた。
「彼、あなたのこと好きだと思うわ」
「私もそう思う」私はこっそり返した。
お父様は咳払いをして、私に言った。
「それで、二人は庭園か町を散歩して、お互いのことを知ったらどうだ?」
「素晴らしいですね、陛下」
「トビアス王子、彼女から目を離さないように」
「ご心配なく、陛下。カサンドラ姫は私が守ります」
私はトビアスに微笑んで、彼の腕に手を回して、一緒に玉座の間を出た。玉座の間から出ると、二人ともホッとしたようにため息をついて、笑い合った。
「あなたもホッとした?」
「あのじじいは、私がどこに行くにも、鷹のように見張ってるんだ。村に行く時も、乗馬する時も。過保護なんだよ」
私はトビアスにそう言いながら、庭園に向かった。
「あなたはラッキーだよ」
「ラッキー?」トビアスは驚いたように言った。
「あなたは王子様で、何でもできる。勇敢で、戦える。私は、ただの姫様で、鷹のように見張られてて、ボディガードなしでどこにも行けない。檻の中の鳥みたい」
「まあ、仕方ないんじゃない?カレン女王は、何年も前にドラゴンに殺されたんだし、あなたはお父様の唯一の子供なんだから、失いたくないんだよ」
「でも、私はもう大人だし、もっと自由が欲しい。城壁の中に閉じ込められるのはもう嫌なの。自由になりたいし、姫としての責任を気にせずに、冒険したい」
私はそう言って、城壁に囲まれた明るい青い空を見上げた。トビアスは優しく私の顎を持ち上げて、私に言った。
「そして、その自由は手に入るだろう。もし、私の女王になりたいなら」
私は彼の言葉に微笑んで、彼に言った。
「まあ、今回の訪問がどうなるか見てからね。週末までには、あなたのプロポーズを受けるかもしれないわ」
「いいね」トビアスは笑顔でそう言って、私たちは庭園を歩き続けた。
トビアス
その日の遅く、夜になって、私はマントとフードをかぶって、誰にも気づかれずに城を出た。静かな町を歩いて、暗い路地に入った。
「父さん?」
「ここにいる」彼は囁いた。
彼は影から現れて、私に言った。
「それで?どうだった?」
「問題なく潜入できたよ。スコット王は何も疑ってなかった」
「素晴らしい。お前がこの仕事にふさわしいと分かっていた。王子にそっくりだが、唯一の違いは、お前は王族じゃないってことだ」
「誰が気にする?姫はもう僕のこと好きだし。僕の女たらしの才能が役に立ったみたいだ」
父は私がそう言うと笑って、私は彼に尋ねた。
「本物のトビアス王子と彼の父はどうしたんだ?」
「心配するな。気絶させて、森に隠しておいた。儀式のために姫を連れてくるまでな」
「そういえば、ドラゴンの儀式はいつなんだ?」
「明日の夜だ。あの娘を連れてこないとな」
「大丈夫。作戦がある。明日、姫と森に乗りに行くんだ。僕が彼女をそこに連れて行って、お前と他の神官たちが彼女を捕まえて、村に連れ帰る」
「良い作戦だ、息子よ。さあ、誰かに気づかれる前に、城に戻れ」
「分かった。父さんも気を付けて」
私はそう言って、別々の道を進んだ。私は、衛兵が巡回する前に、城に戻った。
もし、まだ気づいてない人がいたら言うけど、僕はトビアス王子じゃないんだ。僕の本名はトーマスで、ドラゴンの神官たちの長老の息子なんだ。僕らの仕事は、選ばれた乙女をドラゴンの王たちとその信奉者たちに捧げることなんだ。次の儀式のために選ばれた乙女は、カサンドラ姫なんだ。