ルミの視点~
「ルミ!起きる時間だよ!」
一体何なの、この女は?意味もなく叫びやがって。今日は気が進まないんだよね。今学期から新しい学校に通うことになったんだ。今までの学校は、喧嘩したり先生と口論したりして退学になったんだよね。口が悪くてさ、色々面倒なことになってる。前の学校は、3人の男をボコボコにして退学になったし、その前の学校は、警備員をボコって校長と口論して退学になったんだ。俺のこと怖いって思ってるやつも多いけど、別に話が長くないだけだし、あんまり言い合ったりしないだけなんだよ。相手がちょっとでも変なことしたら、もうおしまい。誰だろうと関係ない。手が届く範囲なら、殴ってやる。俺の名前はルミ・リチャーズ。18歳で、お父さんとステップマザーと暮らしてる。お母さんが死んでからお父さんが再婚してさ、新しい奥さんとはあんまりうまくいってないんだ。なんでかは聞かないで。
あ、あと、俺はゲイだよ。
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「ルミ、行く時間よ」
ため息。「最初から聞こえてるってば、おばさん」
「ルミ、失礼なこと言わないで!」お父さんが部屋の前を通りながら言った。
親ってなんでこんなにイライラするんだろ。起き上がって、バスルームに行ってシャワーを浴びて、髪をとかした。着替えて階下に行き、テーブルに座っていると、ステップマザーが朝食を持ってきたけど、無視して、ラップトップで皿をどかした。こんな早くから失礼なことしたくないけど、親と関わる気分じゃないし、焦げ付いたパンケーキにも触れたくない。
「初日、楽しみ?」彼女が尋ねた。
「いや、行きたくない」って返事した。
「でも、行くのよ」お父さんが言った。ステップマザーのお腹をさすって、まるで気が狂ったみたいに笑ってる。彼女は俺の兄弟を妊娠してるんだ。
仕事をプリンターに送ってから、上に戻って歯を磨いて、鍵を取った。階下に行って、ラップトップをバッグに入れて、グラノーラバーをいくつか掴んだ。
「問題起こすなよ、ガキ」お父さんが言った。
「頑張るよ」って笑った。
「バイバイ、ルミ」ステップマザーが言った。
俺はうなずいて、家を出た。
音楽を爆音で流しながら学校まで運転した。だって、それが好きなんだもん。学校に車を停めて、降りた。この場所は、ネットの写真で見るよりずっといいじゃん。ティーンエイジャーたちが走り回ってグループで話してる。学校に入ると、みんなの視線が俺に集中した。俺のこと、反逆児みたいだってささやき声とか、かっこいいとか、ティーンエイジャーなら誰もが思うようなことが聞こえてきた。しばらく歩いてたら、ハッとした。俺、どこに行けばいいのか全然わかってない。誰かが俺の前を通り過ぎたから、肩を叩くと、振り返って俺に笑いかけた。
「やあ、君が新入生だってわかるよ。俺の名前はチャド。案内しようか?」
彼は礼儀正しい人だってわかるし、オタクっぽいところもある。こんなに分厚いフレームのメガネ、見たことないし、抱えてる本の量もすごい。
「うん、俺はルミだよ」
「会えて嬉しいよ。それで、最初の授業は何?」
「わかんないんだよね。ロッカーに行かないと、時間割が入ってるはずなんだ」
「オッケー、行こう」
廊下を歩いて、メールに書いてあったロッカー番号、343で止まった。スマホに入ってるコードを入力して、ロッカーを開けた。周りから「え?」って声が聞こえて、振り返ったら、みんなが3人の男が学校に入ってくるのを見てた。俺は別に気にしないから、ロッカーに戻って時間割を取り出した。誰かが俺の肩を叩いて、振り返ると、例の3人がニヤニヤしてた。彼らがこの学校を牛耳ってるんだろうから、俺は優しくするつもりはない。
「君が新入生だよね?」先頭のやつが尋ねた。
「目が悪くないならわかるでしょ」って答えた。そいつは俺を睨んだ。
「そんな口の聞き方するな」って言ってきた。
「お前の母親じゃない限り、好きなように話すよ」って、ニヤリとした。
チャドは咳払いをした。
「あの…、やあ、ダミアン。これはルミで、来たばっかりだから、放っておいてくれないかな?」
ダミアンは迷惑そうな顔でチャドを見て、それから俺を見た。
「ルミだって?は?お前の母親、名前が思いつかなかったんだろ」って、わざとらしい顔をして、仲間たちも笑い始めたし、近くにいたやつらも笑ってる。
怒りがこみ上げてきて、俺の拳が彼の顎に当たって、彼は地面に倒れた。よくも俺の母親のことを!
彼は起き上がって顎を押さえてた。周りのやつらは動きを止めて、俺たちを見てる。ショックを受けてるやつもいれば、面白がってるやつもいる。
「おい、マジで狂ってる!」ダミアンが叫び、顎をさすった。
「それで?どうするつもり?」俺は彼の目の中に憎しみと怒りを見てニヤリとした。
彼は俺に向かってきて、俺は来るもの全てを受け止める準備ができた。
「ダミアン、やめとけ。アイザックに明日やらせよう」
左のやつが言った。ダミアンを抑えながら。
「分かったよ。ルミ、二日目は覚悟しとけ」ダミアンはニヤリとして、歩いていった。
「楽しみにしてるよ!」って叫んだ。
周りでささやき声が始まった。
チャドの方を向くと、彼はそこに固まっていた。俺は彼の顔の前で指を鳴らすと、彼は何度か瞬きした。
「おい、お前、口がでかいぞ。アイザックは殺す気だぞ!なんでダミアン殴ったんだ?」
「アイザックって誰?」って尋ねた。
「アイザックはあの3人のリーダーで、マジで怖いんだ。俺、小さい頃から一緒に育ったからわかるんだ」
「誰だろうと気にしない。俺は誰にもビビらない」
彼はため息をついた。
「あいつには近づくな、ルミ。マジでヤバいから」
「だからこそ、明日、ちょっかい出してやろうと思って」って笑った。
「とりあえず、学校案内しよう」チャドはまたため息をついた。