ミカの視点
後ろから聞こえてくるんだよね。
足音。
あたしのと一緒のスピードで、でももっとデカい音。誰だか知らないけど、全然遠慮してない。あたしのこと、分からせたいんだよね、きっと…追いかけてるってこと、もう3ブロックも。
後ろを振り返るのは、怖くてできなかった。誰だか見るのも怖いし。
あと、ずっとついてこられたら、あたしの家バレちゃうってのも怖いし。影が見えないから、結構距離はあると思うんだけど、風が吹くと香水の匂いがしてきて…それがまた、超怖くてさ。それに、今、午前1時だし、あたしの住んでるところ、あんまり治安良くないんだよね。別に最悪ってわけじゃないけど、なんかギャングとかいるし。なるべく関わらないようにしてるし。
変な理由で、標的にされたくもないしね。
まあ、そんな感じで。
アパートの近くまで来たから、思い切って後ろを振り返ってみたんだ。そしたら、誰もいなかった。あたしと、道端にいる犬一匹だけ、って感じ。
ため息ついて、建物に入った。
エレベーターで自分の階まで行って、廊下を歩いて、ドアが見えた。入る前に、廊下の両方を確認。
ランドセルを置いて、帽子も脱いだ。バッグから教科書とか仕事着を取り出して、キッチンに行った。
とりあえずシリアル食べて、シャワー浴びることにした。もう1時15分くらいだし。
シリアル食べてシャワー浴びて、ベッドに入って、毛布を顎まで引っ張り上げて、目を閉じた。さっきの出来事のこと、忘れようとしてた。
明日はシフト変えてもらおうって、頭の中でメモしてた。
深い眠りにつきそうな頃、ベッドルームの窓が開く音がして、足音がベッドの方に近づいてくるのが聞こえた。もう、マジでビビった。漏らしそうになったし。叫びたかったし、逃げたかったし、何でもよかったんだけど、ベッドで固まっちゃって、目を閉じたまま。誰だか知らないけど、最初みたいに帰ってくれるといいな、って。
でも、絶対、あたしのこと追いかけてきたんだよね、きっと、何か理由があって。
ベッドの端に体重がかかるのが感じられて、毛布を顎から引っ張られた。寒くて震えたけど、やっぱり動けない。見知らぬ人は、あたしの左の頬に手を当ててきた。指についてる冷たいリングが、背筋をゾクゾクさせた。頬から手を移動させて、胸の方に。
暗闇の中で、窓から入ってくる街灯の光で、顔を見ようとしたんだけど、全然見えない。ほとんど何も見えない。ピアスとか、青い目とか、白い歯とか、笑った時にキラキラ光ってて、あと、なぜか、ゴールドのチェーンが暗闇で光ってた、くらい。
「あ、あの、あなた…誰?」って、やっとのことで、どもりながら言った。
「シーッ、怖がらなくていいよ、ベイビー。」って、低くてハスキーな声が返ってきた。男だってのは、明らかだけど、何がしたいんだよ、一体。
「泥棒?」
見知らぬ人は笑った。笑い声はセクシーだったけど、こんな時に何考えてんだ、あたしは。
「まあ、そんな感じかな、でも、今回は違う。」
「あのー…出て行ってくれませんか?」って、あたしが言うと、「いいよ、ちょっと楽しんでからね。」って言われて、あたしが何か言う前に、股の間をまたがってきた。
そしたら、柔らかい唇が、あたしの首に触れて、ゆっくりキスして、舐めて、噛んできた。あたしは、もう、声が出ないようにするの無理だったし、正直言うと、気持ちよかった。突き飛ばして助けを求めなきゃいけないって分かってたんだけど、…もう、どうしようもなかったんだよね。
うめき声が漏れちゃって、見知らぬ人の手が、あたしの裸の胸を撫でて、優しく触ってきた。
あたしの口が彼の口を求めていたけど、見知らぬ人にキスできるわけないじゃん?顔も見えないのに、こんなことになってるし、最悪なことに、初めての経験を、知らない人にされてるし。しかも、男と。あたしがゲイなのかどうかなんて、分からないんだよね。今まで彼女もいないし、彼氏もいないし…でも、マジで、何か違うんだ、これは。
彼の手がスウェットパンツに移動して、何か言おうとしたんだけど、彼は鎖骨を吸い始めたから、あたしは半分叫んだ、快感で。何が起きてるのか分からなくなってたんだ。
あたしのスウェットパンツもボクサーパンツも、見知らぬ人のせいで脱げちゃった。
「見知らぬ人、何してるの?」って、うめき声みたいな言葉が出たんだけど、彼は笑って、「すぐ分かるよ。」
「こんなの、初めて?」って、彼が聞いてきた。
「うん。」って、あたしはうなった。
彼はうなり声をあげて、ジーンズのバックルを外す音が聞こえた。あたしの中で何が起きてるのか分からないけど。
あたしは、自分の手で、彼のジーンズの中に手を突っ込んで、彼のディックを掴んでた。
彼のディックの大きさに息を呑んで、手を離して逃げようとしたんだけど、彼はあたしを捕まえた。
「心配しないで、準備してあげるよ。」って、彼は囁いて、あたしの頬にキスした。
彼はジーンズとボクサーパンツを脱いで、プラスチックの音が聞こえた。
コンドーム。
「あ、あの、これ、よくやるの?」
「いや。」
「なんで、あたしなの?」
「運が良かったんだろ。」
あたしが返事する前に、彼は指を口に入れた。それをあたしの舌にこすりつけて、あたしはそれに合わせて唾液を塗った。彼は指を外して、あたしはお尻に指を感じた。入り口をぐるぐる回されて、あたしは息を呑んで、それから入ってきた。ヒリヒリする感じがしてうなって、見知らぬ人は、あたしの左手を取って、キスした。
「準備しなくちゃね、ベイビー?」
「んー。」
徐々にその感じに慣れてきて、彼はもう一本指を入れて、出し入れし始めた。あたしは快感で大きなうめき声を上げて、彼に合わせようとした。もう一本入って、もう限界、彼が欲しかった。
あたしは、彼の硬い胸に手を這わせた。
「もっと。」
彼は指を外して、あたしは急に空っぽになって、文句を言った。まさかお尻がこんなに欲しくなるなんて。
彼の太いものが、あたしの入り口の周りをこすってきて、最初にうめき声がでた。
「からかわないで。」って、あたしは言った。
彼は笑って、ほんの少しだけあたしの中に入れてきた。あたしは、彼を男のように受け止めようと、彼の唇を噛んだ。彼があたしの中に突っ込みたいのを我慢してるのが分かった、うなり声と、あたしの手首を抑えてることから。
彼はもっと奥まで入れてきて、完全に中に入った。しばらくそのまま動かなくて、あたしはまたうめき声がでて、もっと激しくやって欲しかった。彼は抜いて、また突っ込んでくる。あたしのうめき声が部屋中に響いて、彼のうめき声も聞こえてきて、同じくらい熱かった。あたしは彼の周りにきつく、それが気持ちよかった。彼は近づいてきて、あたしの唇を噛んだけど、キスはしなかった。その小さな行動だけで、全身が震えて、彼があたしにセックスしてるのも、助けにはならなかった。あたしは泣き出して、もっと早くしてって言った。
「マジで、お前、めっちゃセクシー。」って、彼はうなった、あたしを激しく、早く、強く責めてきた。
あたしのディックに脈を感じた。
「い、行ける…」って、あたしは息を吐いた。
彼はあたしのシャフトを掴んで、ストロークし始めた。あたしは彼の下で制御不能になってきて、快感がすごすぎた。
オーガズムに近づいて、見知らぬ人はあたしの耳元で囁いた。
「俺の名前はレオ。」って、それからあたしの頬にキスした。
あたしが求めていたことを知ってるかのように、彼の手に中でイクのと同時に、彼の名前を叫んだ。
「レオ!」って、ちょっと優しく、彼の熱い液体を感じて言った。コンドームの中だったけど。気持ちよかった、もし生でやられてたら、想像してみて。
彼は優しく抜いて、コンドームを取った。お尻は燃えてたけど、いい燃え方だった。彼はあたしの隣に寝て、あたしの頬にキスした。あたしは彼の胸に頭を置いて、彼の匂いを吸い込んだ。これはすごいことだけど、まだ怖かった。知らない人とセックスしたばっかりなんだから。動こうとしたら、お尻の痛みが止めて、あたしはヒスって、また横になった。
「じっとしてて。」
見知らぬ人は動いた。あたしは彼が着替える音を聞いてた。毛布に包まって、ベッドの上でじっとしてた。彼はベッドサイドテーブルに行って、明かりをつけた。突然の明るさに、あたしはヒスって、目を閉じたけど、開けた。
やっと、その男をちゃんと見た。そして、息を呑んだ。
知ってるんだ、あたし。
彼はニヤリとして、ドアの方に向かって歩いて行った。
痛みを無視して、ドアまで追いかけた。なぜか、足が勝手に動いて、口はショックで開いたままだった。まだ信じられないんだよね、あたしの窓から入ってきて、あたしを熱くさせて、最高の夜を過ごさせて、バージンを奪った男が、目の前にいるんだから。
ドアを開ける前に、彼は振り返って、あたしに近づいてきた。あたしの顔を両手で包んで、優しくて、甘いキスをくれた。
彼は離れて、あたしは彼を見上げて、ショックで目を見開いて、自分のホルモンをコントロールしようとしてた。あの深い青い目が、あたしを見てる、分厚くて長い睫毛が、瞬きするたびに震えてる。彼の赤い唇が開き、ピンクの舌が唇を舐めた。
「お前は俺のものだ、分かった?」
あたしはうなずくことしかできなかった。
彼はここで初めて、あたしの唇にキスしてくれた、それが最高だった。
「またね、ベイビー。」って言って、彼は出て行って、ドアを閉めた。