第5章 感謝
アレクサンドラとハロルドが、例のカーリンデリアから、例の二人組と一緒に出てきた。リアンナはカーリンデリアの中をキョロキョロ見回した。みんな、まだ何が起きたのかって感じで、ポカーンとしてる。
「行こう。話したいことがあるんだ。」レオナルドがリアンナに言った。
レオナルドはリアンナの手を掴んで、カーリンデリアから出て行った。リアンナは振り返って、後ろにいたブランドンを見た。ブランドンは二人の手を見てるのがわかった。
二人はレオの車が停めてある駐車場に着いた。レオはすぐにリアンナのために助手席のドアを開けた。リアンナは車に乗り込んだ。レオは運転席に行って、自分も乗り込んだ。マジか! 今はジェントルマンじゃん。レオナルドは車を運転し始めて、アレクサンドラとハロルドが乗ってる車を追いかけた。
「なんであんなことしたんだ?」レオが聞いてきた。リアンナは、レオが何を言ってるのかわかった。日陰野郎にやったことのことだ。
「あなたを助けるためよ。あいつ、あなたを刺そうとしてたんだから。」リアンナは答えた。
「でも、そんなことしなくても、俺は自分で何とかできる。」レオは反論した。
リアンナは、レオを助けたことに対して文句を言われるのはもう嫌だった。自分がやったことに間違いはない。レオを助けたんだから。まだ怒ってるの? 私は何も間違ってないのに。突然、涙がこぼれてきた。胸が痛くて。手の甲で涙を拭った。
「エージェントになりたいなら、もっと強くなれよ。俺が言ったからって泣くのか? そんなんじゃ、エージェントには向いてない。」レオが言った。
レオはリアンナの涙に気づいたみたいだ。まあ、彼はエージェントだし。感情的になりやすいんだよ。リアンナは言い争う気にならなかった。ただ黙って、窓の外を見てた。通り過ぎる景色を眺めてた。たぶん、本部にむかってるんだと思う。
二人はまだハロルドとアレクサンドラの車を追いかけてた。本部が見えるまで、結構時間がかかった。レオは車を中に入れた。車が止まると、リアンナはすぐに車から降りた。
二人はハロルドとアレクサンドラの後をついて、本部に入った。振り返ると、ブランドンがついてきてる。本部に入ると、アレクサンドラとハロルドは、アレクサンドラがリアンナを治療した部屋の隣の部屋に入っていった。レオとブランドンもそこに行った。リアンナは一人残された。レオと仲間たちが昨夜会議をした部屋の隣のソファーに寄りかかった。
突然、レオがいる部屋のドアが開いた。ブランドンが出てきて、二人の目が合った。リアンナは彼に微笑み、彼も微笑んだ。ブランドンはリアンナに近づいてきて、隣に座った。
「なんで出てきたの?」リアンナが聞いた。
「君しかいないと思ったから、一緒にいたくて。」ブランドンは言った。
「ありがとう。」リアンナは答えた。
「さっきはすごかったね。どうやったの?」ブランドンはリアンナに尋ね、笑顔で彼女を見た。
「あー、あれね。ファーザーに教わったの。10歳の時から護身術を教えてもらって、18歳になるまでずっと練習したから、上手くなったの。」リアンナは言った。ファーザーはもう5年も前に亡くなってる。そう思うと、急に寂しくなった。ファーザーを失うって、本当に辛い。
「素晴らしい! 惚れ惚れしちゃったよ。」ブランドンは嬉しそうに言った。
リアンナは微笑んだ。ブランドンはカフェテリアで自分がやったことを評価してくれたけど、レオはそうじゃない。助けてもらったのに、お礼も言わないし。
「レオ・エージェント、ナイスタイミングだったね。」
リアンナは誰が話しかけてきたのか見てみた。アレクサンドラ、ハロルド、レオが部屋から出てきた。レオは二人を見て、リアンナとブランドンが一緒にいるのを見て眉をひそめた。でも、ブランドンが突然立ち上がってレオの肩を叩いたので、その表情は消えた。
「レオ、すごいよ!」ブランドンはレオに言った。
「やあ、リアンナ。」アレクサンドラの声が聞こえた。いつの間にか近づいてたみたい。
「やあ、アレクサンドラ。私の名前、どうして知ってるの?」リアンナは尋ねた。
「ハロルドに聞いたの。」アレクサンドラは目をキラキラさせて言った。ハロルドのこと好きなんだな、私、女だからわかる。
「さあ、みんな、行こう。明日は訓練があるんだ。エージェント・ジェラルドからメールが来たんだ。」ブランドンは、レオとハロルドと一緒に本部の外にいた。
アレクサンドラとリアンナは立ち上がった。あの二人組のこと思い出した。ってことは、中にいるまま?
「ちょっと待って!」リアンナは二人を止めた。二人は驚いた顔で振り返った。
「あの二人組はどうなるの? ここに置いていくの?」
「大丈夫だよ、リアンナ。もう大丈夫。部屋の中の小さな独房で、ご飯もあげたし。明日は警察に引き渡す予定だよ。」アレクサンドラはそう言って、リアンナの手を引っ張って本部から連れ出した。アレクサンドラもドアを閉めた。
レオが車の近くにいるのが見えた。リアンナが近づいていくと、レオは車に乗り込んだ。リアンナもそこに行くと、車に乗り込み、レオは本部から車を出した。ブランドン、アレクサンドラ、ハロルドの車も出てきた。
もう家に帰る途中だ。レオの車にいつも乗れるように、自分も訓練しなきゃいけないみたい。レオは、ずっと黙ってた。何時だ? 時計をしてるレオに聞いてみることにした。
「レオ、何時?」リアンナが尋ねた。レオは自分の時計を見て、それから道路を見た。
「3時。」レオはそっけなく答えた。
「ブランドンは話しやすくて楽しいね。」リアンナはつぶやいた。
「ブランドンの方がいいのか?」レオが突然聞いてきた。リアンナは目を見開いた。まさか、聞こえてたなんて。
「そんなんじゃないよ。あなたは話すのケチだし。全然話せないじゃん。」リアンナは反論した。レオは道の端に車を止めた。リアンナを見た。
「まず第一に、俺たちは、君のマザーと妹を助けるために一緒にいるんだろ? なんでそんなに話さなきゃいけないんだ? 必要か?」レオはそう言って、運転を再開した。
「もちろん。ごめんなさい。」リアンナは答えた。
恥ずかしい。なんでそんなこと考えなかったんだろう? リアンナはいたずらっぽく笑った。なんで彼に気づいてほしいなんて思ったんだろう? なんで彼に優しくしてほしいなんて思ったんだろう、そもそも。助けるためっていうのが、彼と繋がってる唯一の理由なのに。今はそれだけを考えればいいんだ。
家に着いた。リアンナはすぐに車から降りて、ドアに向かって歩いた。ドアノブを回した。クソッ! 閉まってる。イライラする。閉めるの忘れちゃった。
「家のドアを開けっぱなしにするのはやめろ。」レオが、買ってきたものを持ちながら近づいてきた。
彼はポケットから鍵を取り出して、ドアノブに差し込み、ドアを開けた。レオが先に入り、リアンナは後に続いた。レオは買ってきたものを渡してくれた。リアンナはそれを受け取った。
「ありがとう。」嫌だけど、お礼は言わなきゃ。そうじゃなかったら、今日、こんなに安全じゃなかっただろうし。感謝の気持ちでいっぱいになる。
リアンナは、レオが何か言うのを待たずに、振り返って、自分の部屋になったレオの部屋に入った。買ったものを端に置いた。ベッドに横たわり、目を閉じた。