第1章
お腹に火がついたみたいだった。3回、刺された。3回だよ?
で、そこにいたのは、イーサン。私の彼氏。将来有望な警察学校生。あいつ、自分の大切な元カノのこと、かばってるんだもん。私に「より良いことのため」とか言い出した時はマジでムカついたけどね。
より良いことのためって。はあ?彼氏の血が止まらない彼女を助けるより、元カノを守る方が大事ってこと?
で、後になって、やっと私を一番にしてくれる人を見つけたのに、イーサンときたら、土下座して、自分は何も悪くないって言い張るんだから。
私はただ、中指を立ててやった。「あんたは正しいよ、潔白だよ。あんたも、あんたの大切な元カノも、地獄に落ちればいいのに!マジでクソ野郎!」
「キャサリン」って、エミリーがわざとらしく甘ったるい声で言った。「本当に、他に頼るところがなかったの。イーサンが、ちょっと気分転換に連れ出してくれただけなんだ。まさか、あなたが嫌な気持ちになるなんて思わなかった。ごめんなさい」
イーサン、30分も遅刻して、連れてきたのが、こいつだったんだよ。
私は笑顔を貼り付けて、「イーサン、昨日私に何て言ったか覚えてる?ちょっと、その頭の中身、教えてくれない?」って言った。
イーサンの顔が真っ白になって、私の手を掴んできた。「そういう言い方はやめてくれよ。前に何かあったとしても、私たちは付き合ってたわけじゃないだろ。彼女はただの近所の、家族ぐるみの友達なんだ。守ってあげなきゃいけないんだ」
「家族ぐるみの友達?一緒に寝たことあるやつでしょ?だから、私をほったらかして、もう5回も、彼女の白馬の騎士ごっこしてるんでしょ?」
「理由があったんだよ。そんな大げさなこと言うなよ」
私は手を振り払って、まるで病気扱いするようにティッシュで拭いた。「もう限界」って言った。もう我慢できない。こんなに色んなこと我慢してきたんだから、私だって勲章もらってもいいはず。
でも、イーサンはもちろん、私が折れたって思ってるんだよね。またしても。ニヤニヤしながら、エミリーのところに行って、彼女のバッグを持ってあげてたし。私の肩にかかってるバッグは無視して。
「イーサン」って、エミリーは、まるで甘ったるい声で言った。「あの白いドレスを着てる女の子に、お花買ってあげて。彼女を喜ばせないとね」