第6章
高校時代、俺は優等生で人気者だった。両親が誇りに思っているのはわかっていたし、お父さんが会社のCOO(最高執行責任者)の仕事を俺に任せる日を心待ちにしていた。
躊躇していたのは、俺が家を出て、自分の家を買うことになるからで、そうするとお父さんは今までみたいに頻繁に俺に会えなくなるからだってわかってた。
エバンと会社のことで、そして俺のこれから背負う責任について話していると、ゼニアが俺に近づいてきた。
「やあ、大丈夫?」ゼニアの顔と、覇気のない体を見て俺は尋ねた。
「うん、大丈夫。ちょっと話したいことあるんだけど?」ゼニアは言った。
「もちろん。」
二人で少し離れて、近くの木の下に行った。
「どうしたの?」
「マディソンと話して、あなたに話してほしいって。」
「何について?」俺はゼニアを胸に引き寄せた。そばにいるときはいつも、彼女を感じていたかった。
「彼女は、あなたのことが好きだって言ってたわ。」
俺はクスクス笑った。
「マジで?」
「本当に。あなたは彼女のこと好き?」彼女の言葉には、ちょっとした嫉妬心を感じた。
「彼女が俺のこと好きになるのは、いつものことだろ。」俺はからかった。
ゼニアは俺を睨みつけ、踵を返して行こうとしたけど、俺は彼女を引き止めた。
俺は彼女の頭を下げ、彼女の唇を自分のものにした。舌で彼女の唇を割って、ワインの味がする口の中に侵入した。
ゼニアはゆっくりと応えてきた。俺たちの舌が絡み合ったとき、体の内側から火花が散るのを感じた。
「ダメ、無理。」彼女の声はかすれ、俺を突き放した。
彼女はすぐに振り返って、夕食が始まっている大きなテントに向かって走り出した。
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ゼニアの視点
キスしちゃった!
エバンとキスしたんだ!
息をのむような瞬間だったけど、マディソンには彼のことは何も感じてないし、友達だって言ったのに、彼女のために彼に話すことになったから、もう彼女を裏切ったような気がした。まだ彼女のこと知らないのに。
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テーブルに着いたとき、夕食が始まっていた。
マディソンの隣に座った。
「ねえ、彼に話した?」彼女は低い声で尋ねた。
「うん、話したわ。」私も彼女の声に合わせて答えた。
「それで?」
「彼は、考えるって言ってた。」
「それって、あなたが彼とキスする前?それとも後?」
やばい!
恥ずかしくて、情けなくて、テーブルの上のワインボトルを手に取って、椅子から立ち上がった。みんなが私を見てる。
私はプールサイドの暗闇の中で、一人でワインボトルを全部飲んだ。
ゼニアの視点
月曜日は、耐え難い頭痛とひどい二日酔いから始まった。何とかベッドから起き上がり、シャワーに這い込んだ。お湯の温度を最大限に上げて、ブラジアンウェーブからつま先まで熱いお風呂に入った。
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髪をドライヤーで乾かした – お金払ったのは私だし – それからチョコレート色の肌にローションを塗った。トップがきつくて、胸の谷間が少し見えるミニドレスを着た。今日は誰にも見せる必要はないけど、気分が悪いように見えたくなかった。
ワインを飲みすぎたんだ。
軽いメイクをして、デジタルメモ帳をバックパックに入れて、キッチンに向かった。
「おはよう、お母さん。」台所にいる母に挨拶した。
「やあ、元気? 」
「最悪。」
「飲みすぎたからだよ。ほら。」
母は私に水と、小さなグラスに入った別の飲み物を渡した。
「これ、何?」飲み物を見て尋ねた。何か草みたいなのが入ってる。口に入れる気はなかった。
「二日酔い防止薬。飲みなさい!」と母は命じた。
私は小さなグラスを鼻に近づけた。「お母さん、これ、クソみたいな匂い!」吐きそうになった。
「良くなるから、口は悪くしないで、ゼニア!」
私は心の中で舌打ちし、息を止めて「貴重な」二日酔い防止薬を喉に流し込んだ。
「ありがとう、お母さん。」
「朝ごはんよ。」
母は、フライドチキンナゲットとチップスが入った容器を渡した。
「ありがとう!バイバイ!」
私はドアに向かって走った。月曜日だし、できるだけ早くブティックとファッションステーションに行かなきゃ。今日は、雑誌に載せたいデザインについて、すごく重要なクライアント/顧客が二人来るんだ。
タクシーでダウンタウンに行った。自分の車を買うためにお金を貯めているんだ。そっちの方が便利だもん。
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セキュリティゲートの鍵を開け、ブティックのドアを開けた。
店内に入り、照明と空調をつけた。エバンが私を迎えに来て、ここに買ってくれた日のこと、今でも信じられない。
______________フラッシュバック_____________
去年の12月だった。母と私は、ロサンゼルスにいるジャスミンとジェバンの家から帰ってきたばかりのとき、エバンから電話がかかってきた。
「やあ、エバ。」
「メリークリスマス。」
「あなたもね。どうしたの?」
「家にいる?」
「うん、いるよ。」
「20分で行くよ。」