CHAPTER 3
3章 - 条件
席でカチコチになっちゃって、周りの景色がぼやけて見えた。
「あはは、面白いね、パーシャ」 セラ姫 が向かいから話しかけてきて、我に返った。
みんな大爆笑し始めて、さっきまで静かで張り詰めてた法廷が笑い声でいっぱいになった。
でも、なぜか私だけ全然リラックスできなかった。
「静粛に」 イブラヒム・パーシャ の声が法廷に響き渡った。
いつもと変わらないあのポーカーフェイスは、冗談を言う気分じゃないってことを示してる。
またしても、張り詰めた空気が法廷を包んだ。
「これって、何かひどいジョークですか?」 コレイ王子 が横柄に尋ねた。
もう、全然驚かないけどね!
「あいつに玉座は譲らない。もし死ぬことになっても、そうなる」 アロアルド王子 が私の隣で言った。
ショックだったって言うだけじゃ全然足りない。いつも私の味方だった大好きな兄が、私を殺すって言うんだから。
突然、刀が抜かれる音がして、首に鋭い刃が当たってるのが分かった。
抵抗しようとしたけど、強い腕にガッチリ捕まえられて、身動き取れなくなった。
腕につけてる宝石で、間違いなく兄のアロアルドだって分かった。
もう絶望して、耐えきれなくて、涙がこぼれそうになった。
それに追い打ちをかけるように、誰も、 セリム王子 でさえも助けてくれないんだから。ちなみに セリム王子 は、私がいつもかばってあげてる、私が困った時にいつも助けてくれる、大好きな兄。彼が何かやらかして罰を受けそうになったら、私が外に出て、「彼を私の付き添いにさせて」ってお願いして、罰から逃れさせてあげてたのに。
すすり泣きを我慢して、兄に話を聞かせよとしたけど、無駄だった。
「殺す前に、遺言の残りの条項を聞いた方がいいんじゃないか?」 イブラヒム・パーシャ が落ち着いた声で言った。
「続けろ」またしても横柄な コレイ が言った。
「私の遺言に逆らう者は、死刑とする」 イブラヒム・パーシャ が話し始めた。
「大宰相 イブラヒム・パーシャ は、次の後継者の最初の2年間、後見人となる。
いかなる状況下でも、後継者に危害を加えてはならない。もしそうなった場合は、玉座は一世代飛ばして、宰相たちが選び、大宰相が承認した孫たちのうちの誰かに与えられる」
「そんなことどうでもいい。女が玉座につくことだけは絶対に嫌だ」 アロアルド が冷たく言った。
その口調を聞いてゾッとして、私は目を閉じて死を覚悟した。だって、もう彼の考えは変わらないって分かってたから。
ついに運命を受け入れて、習ったお祈りを唱え始めた。
「アッラーの名において、そしてラスルッラーの信条、宗教、信仰に基づいて。おお、アッラーよ、私にとって物事を楽にし、何事も軽くしてください…」
急な衝撃で言葉を遮られた。そして、強い腕に抱きしめられた。
まるで二度目のチャンスを与えられたみたいで、安堵感が全身を駆け巡った。
目を開けると、 セリム が私を守る体勢で立っていて、何人かの護衛が、王子たちとその騎士たちと剣で戦っていた。
どうすればいいのか、誰に助けを求めればいいのか分からず、 オズクル王子 が私に矢を向けてるのを見て、驚いた。
その場に固まって、自分に向かってくる矢を見つめていた。ほんの数秒で矢が目の前に来て、刺さるのを待っていたけど、その瞬間は来なかった。代わりに、目の前に盾が現れて、強い腕が私を抱きかかえ、出口へと向かって連れて行ってくれた。
護衛たちが私を囲むようにして、 セリム が私を抱きかかえながら、法廷から連れ出された。
剣がぶつかり合う音や、法廷から聞こえてくる恐怖の叫び声は、私たちがいる庭まで聞こえてきた。