CHAPTER 6
チャプター6 - 即位式
鏡の前に立ったビタキルは、自分の姿を見つめた。黒髪はきれいに編み込まれていて、2つの髪の毛がちょっとだけ垂れてる。髪飾りは全然なくて、クラウンを乗せるからだよね。
お母さんがさっき来て、家族代々の宝物、涙型のアンバーのアクセサリーセットをくれたんだ。それは、先代の女王様が使ってたやつで、クラウンと一緒に2世紀前に作られたらしい。
涙型のアンバーのジュエリーセットを身につけて、ネックレスはなし。
ドレスは黄色で、裾にはバラの花びらが刺繍されてる。長袖でタートルネックのドレスは、肩からウエストまでぴったりしてて、ウエストから下はふわっとしてる。
ビタキルはもう一度鏡を見て、自分の姿に満足した。
「陛下、時間です」 ニガル・カルファがビタキルに声をかけた。プリンセスが女王の衣装を着てる姿を見て、彼女はうっとりしてる。
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「道を開けー!王女ビタキル様のお通りだー!」 アガスがそう叫びながら、私は玉座の間へ向かった。
不安、恐怖、興奮、不確実さ。王座の間の入り口に立ったビタキルの心は、そんな感情でいっぱいだった。
「深呼吸して、スルタン、深呼吸!」 サディカが、トランス状態のビタキルを現実に引き戻した。
「サディカ?!ここにいるの?」 私は驚いて尋ねた。
「はい、スルタン。傷の治療が終わったので、病院から出ることができました」 いつものように明るく、サディカ・ハトゥンは答えた。
「サディカ!ハレムに戻って休んで。命令よ」 ビタキルは冗談っぽく言った。
「かしこまりました」 サディカはお辞儀をして、ハレムへ向かった。
サディカとの短い会話のおかげで、ビタキルは少し落ち着いた。
深呼吸して、気持ちを落ち着かせ、顔を上げて、できる限りの勇気を振り絞った。
「アガス、準備はできました」 ビタキルは落ち着いてそう言った。
トランペットの音が部屋中に響き渡り、ドアがゆっくりと開いて、役人たち、ロイヤルメンバー、一般の人々でいっぱいの部屋が現れた。
息をのんだ。玉座の間がこんなに混雑してるのを見たのは初めてだったから。
道の先に目をやると、お母さんと目が合った。昔ぷくぷくしてたお母さんはずいぶん痩せてた。お父様の死が、彼女に大きな影響を与えたんだと思う。
「自信を持って」 お母さんは私にそうつぶやいた。それだけで、私の自信はぐんと上がった。
肩をまっすぐにし、顎を上げて、鼻を高くして、優雅に、そして少し速足で歩いた。太陽が昇り始めてたから。
道の終わりに、お母さんに会って、その手にキスをして、お母様の祝福を求めた。
「プリンセス、行きますか?」 シェイク・アブドラが尋ね、私はうなずいた。
式典の間はぼーっとしてたんだけど、自分の名前が聞こえた。
「プリンセス・ビタキル、右手をクルアーンの上に置いて、私の後に続けてください」 シェイク・アブドラが言った。
「私、シェザディ・ビタキル・ハディジャ・カン、亡きスルタン・ソレイマン・カンの娘、スルタン・アイシャ・カンの娘、アズベドランのプリンセスとして、私はプリンセスとしての称号を放棄します」 シェイク・アブドラが言い、ビタキルは彼の後に続いた。
「私は人々と神の前に立ち、女王として法律を守り、全力を尽くして統治し、アズベドランの市民の利益のために働くことを厳粛に誓います」 シェイク・アブドラが言った。そして、ビタキルはもう一度繰り返した。
誓いが終わったとき、太陽は宮殿の真上にあり、朝の光がガラスの天井から差し込み、ホール内のすべての輝く物体に反射していた。
シェイク・アブドラは私の手を取り、玉座へと導いた。
玉座に座って、これが本当に起こってるんだと実感した。
突然、何かに目が奪われた。それはクラウンだった。
金色で、アンバーの石がそれを囲み、中央にはアズベドランの国章であるライオンの頭の形をしたアンバーが輝いてた。
イブラヒム・パシャがヴァリデ・スルタンに何かをささやき、彼女はクラウンの方へ歩いて行き、拾い上げ、ゆっくりと玉座へと向かう階段を上った。
一番上まで来ると、ビタキルの左側に立ち、涙を流しながら、クラウンを彼女の頭に乗せた。
「ここに、女王陛下ビタキル・ハディジャ・カン、初代摂政女王、アズベドランの13代目の支配者を紹介します!」 ヴァリデ・アイシャが宣言した。
「女王万歳!」 ページが叫び、ホールは「万歳」の連呼に包まれた。
「彼女が長く治めますように」 ヴァリデ・スルタンは、自分の娘を待っているものをよく知っていたので、恐怖を感じながら自分自身につぶやいた。
玉座に座るビタキルを見て、彼女の黒髪は金色のクラウンと対照的で、クラウンのアンバーの石と彼女の涙型のアンバーのジュエリーがお互いを引き立ててた。彼女の黄色のドレスと暗い肌は、まるで天国で作られた組み合わせみたい。
全体的に、玉座の上の女王ビタキルは、運命づけられた出来事のようだった。今、みんなの頭にある疑問は、「彼女は自分の役割と責任を果たすことができるのか?」だった。
ほんの数人を除いて。
ある騎士の服装をしたある人は、どのようにして若い女王を自分のものにするかにしか関心がなかった。
別の人は、どうすれば彼女を王位から引きずり下ろせるかに集中していた。
そして、女王ビタキル・ハディジャ・カンの治世は、影に潜む危険と彼女を取り巻く敵たちとともに始まった。