第19章 両手に花を咲かせたいですか
会議室から出てきたリサの心臓は、まるで口から飛び出しそうなくらいドキドキしてた。
深呼吸して、また閉まった会議室のドアの方を見た。さっきは、ギャビンがその場でキレるんじゃないかって思ったんだよね。
だってさ、会いたくない人にいきなり目の前に現れたら、普通にめっちゃムカつくじゃん?
あいつのことだから、絶対忘れなさそうだし。
次の日、リサはビクビクしながら過ごした。ギャビンに見つからないようにって。
幸いなことに、ギャビンは仕事が終わるまでなんの反応もなかったから、ホッとした。
でも、それは甘かったみたい。
仕事が終わって、会社が入ってる建物から出て、ちょっと先のバス停に向かってる途中だったんだけど、すぐに車が「キーッ」って音を立てて止まって、行く手を塞がれたんだ。
リサはびっくりしたけど、すぐにそれがいつもの車だってわかった。
ある考えが頭に浮かんで、顔色が変わって、思わず走り出した。
でも、もう遅かった。車の後部座席のドアが開いて、長い腕が伸びてきて、リサを車に引っ張り込んだんだ。
相手の行動は乱暴で、頭を車のドアにぶつけてしまって、泣きそうになったけど、すぐに冷たい声が聞こえてきた。「リサ、江さんの家に入って、何がしたいんだ?」
その問いかけに、リサは頭の痛みを忘れ、ツバを飲み込んで、落ち着いて答えた。「別に…ただ、あなたに近づいて、会いたかっただけ」
そう言った瞬間、ギャビンは鼻で笑った。「リサ、お前みたいなやつがいるなんて信じられない。江晨と繋がってるくせに、また俺を誘惑するのか? 二股かけたいのか? それとも、楽して生きたい女なのか?」
容赦なく侮辱されて、その言葉はナイフみたいに、すでにボロボロになってたリサの心に突き刺さり、血を流させた。
リサの顔は真っ白になり、泣くよりもひどい笑顔を無理やり作った。そして、ギャビンを真っ直ぐに見つめて言った。「ギャビン、なんでそんなこと言うの? 私は江晨のことなんて全然知らないし、何も関係ないわ。そんなこと言わないでくれる?」
そう言ってると、声には懇願するような響きがあった。
でも、ギャビンは動じなかった。リサが演技してるだけだと思ったんだ。もし自分の目で見てなかったら、あの可愛らしい姿に騙されてたかもしれない。
あの日の病院での出来事を思い出し、ギャビンは怒りがこみ上げてくるのを感じた。彼女を見る目はどんどん冷たくなって、声も冷たくなった。「リサ、会社で働きたいならいいけど、他のことは考えない方がいいぞ。じゃないと、いつでも出て行ってもらうことになる」
これは警告だった。俺のことを考えるのはやめろってこと。
リサはすごく傷ついた。ギャビンが助けてくれると思ってたのに。まだ少しでも優しさがあったのに。今は、ただの一時的な優しさだったのかもしれない。
リサは車から降ろされ、去っていく車を見つめていた。涙が流れ、心が痛かった。
結局、信じてくれなかったんだ。なんで、こんなことになっちゃったんだろう。
…
リサは、うなだれながら街を歩いていた。バーの前を通りかかった時、明るい看板を見上げて、唇を少しだけ歪めて、目に寂しさを浮かべた。
ギャビンの冷たくて傷つける言葉が、まるで耳元でこだましてるみたいだった。唇をきつく結んだ。「酔えば、あのつらい言葉を忘れられるのかな?」
そう思って、バーに入った。
カクテルを一杯頼んで、一気に飲み干した。冷たい液体が胃に入って、胃が収縮して少し痛む。
でも、そんなこと気にしてないみたいに、もう一杯頼んで全部飲んだ。
何杯か立て続けに飲んだら、アルコールが回ってきた。酔っ払ってはないけど、ちょっといい気分。
頬は赤くなって、そのせいで可愛らしい顔がますます魅力的になった。
そんな時、男が近づいてきて、リサの肩に手を置いて、悪意に満ちた目で見てきた。「綺麗なお嬢さん、一人で飲むのはつまらないでしょ?一緒に飲もうよ」
リサは眉をひそめ、その男の手を振り払って、冷たく断った。「結構よ。一人で飲むから」
断られた男の目には、ちょっとイライラした様子が浮かんだが、顔には笑顔を貼り付けたまま、リサに近づいた。「やだよ、お嬢さん。二人で飲んだ方が楽しいじゃん」
リサは無視して、バッグからお金を取り出してカウンターに置くと、くるっと踵を返して出て行った。
本当は、静かに一人で飲んで気分転換したかっただけなのに、邪魔されたから、もう飲む必要もない。
男は、リサが完全に相手にしなくて出ていくのを見ると、すぐに顔を冷たくして、目は陰鬱で恐ろしかった。
そして、すぐに追いかけて行った。
リサは男が尾けてきてることに気づかず、まっすぐとドアに向かって歩いていた。ドアにたどり着く前に、突然、強い力で暗い路地裏に引っ張られた。
リサは悲鳴をあげ、壁に押しつけられた。
「クソ女、乾杯を拒否するのか?」
嫌な声が耳に聞こえてきた。リサは、自分に覆いかぶさってるのが、さっき話しかけてきた男だってわかった。
まだ女の子じゃないのに、相手の汚い目を見た瞬間、何をするつもりなのか分かった。
恐怖が心を満たした。リサは目を見開いて男を睨みつけ、落ち着いて言った。「早く私を離して、大声で助けを呼ぶわよ」
男は笑いながら、ワイルドに言った。「呼んでみろよ、大声で。誰が助けてくれるのか見てやるよ」
男は全然怖がってる様子じゃない。リサはますます怖くなった。男を押し返そうと抵抗し始めた。すると、男はしばらく笑うのをやめ、「お前みたいな気が強い女は、俺好みだぜ」
そして、リサの服を破り始めた。リサは絶望し、ゆっくりと目を閉じた。
その時——
「やめろ!離してやれ!」