エレラ
私、こっちの自分の部屋で逆さまになって、じっと目を閉じたんだ。時計見たらもう30分も経ってたけど、全然死ねてなかった。
しかめっ面で、急に部屋のドアの方見たんだ。誰か入ってきたから。
「何やってんだよ!」 ゲイザーが叫びながら、俺のとこに走ってきたんだ。
「自殺」 俺は彼のことを見ながら、逆さのまま答えた。
彼の額にシワが寄るのが見えて、そしたらポケットからナイフ出してきて、俺の足に巻き付いてるロープを切り始めた。
「いった!」 俺は床に落ちて、頭から着地してうめいた。ゲイザーを睨んだけど、ゲイザーも俺のこと睨んでた。
「マジで頭おかしい」 ゲイザーはそう言って、こめかみを揉んだ。俺は鼻を鳴らして、彼が俺に渡したのは『自殺ガイド』って本。
「ここに書いてあるんだ。逆さ吊りになれば、血が全部頭に行って、ゆっくり死ねる。でも、痛くないらしい。ただ、飲めばいいだけなんだよな…」
「自殺するより先に、お前ん家に連れ込んだザ・ウーマンをもてなしたらどうなんだよ」 ゲイザーが俺のベッドにいるウーマンを見ながら言った。俺もベッドで寝てるウーマンを見た。
「あいつを家に連れてく気はない」 俺はそう言って、床に座ってた状態から立ち上がった。「あいつを連れてって、家まで送ってくれない?あいつ、俺のベッド占領しすぎなんだよ」 俺がそう言ったら、ゲイザーに思いっきり後頭部を叩かれた。
「女連れ込んどいて、俺に押し付けようって、お前マジで異常?」 ゲイザーはイライラしながら言った。
「さっき意識失ってたんだよ。あんなとこに放置しとくべきじゃなかった」
「あいつ誰?」 ゲイザーが尋ねた。俺は横に座って、サイドテーブルにあったナイフを取って、それを弄んだ。
「あれだよ、お前にも言ってた、橋から飛び降りようとしたら急に現れたザ・ウーマン」 俺はそう言って、手に持ったナイフの刃を見つめた。
「マジであいつのこと!?」 ゲイザーはショックを受けたように言った。俺は答えなかった。
「あと、あいつが市長のこと『パパ』って呼んでたらしい」 俺がそう言うと、ゲイザーは動きを止めた。ゲイザーの顔は真剣になって、俺らに先に部屋を出るように合図した。俺はすぐに彼に従い、家のキッチンに行った。
「さっきの爆発、俺らの仕業じゃないよな」 俺がキッチンのとこに着くと、ゲイザーは言った。ゲイザーはすぐに隣にあったワインのボトルとグラスを2つ取った。
「それ飲んだらダメだ、毒入ってるから」 俺はそう言って、ゲイザーが持ってたワインを奪い取って、別のボトルと交換した。ゲイザーは静かにワインを開けて、俺らのグラスに注いだ。
「俺も市長を撃ってない」 ゲイザーがそう言ったから、俺は彼を見た。「お前に命令されたからって、もう遅いんだよ。俺は市長が倒れるのを見ただけだし」 ゲイザーは椅子に座って、ワインを飲みながらそう言った。
「部屋にいるザ・ウーマンが、市長に爆弾を渡すように命令されてたらしい」 俺はそう言って、ゲイザーが注いでくれたワインを飲んだ。
二人とも黙ってしまった。俺はまた思い出したんだ。部屋にいたザ・ウーマンが、建物の内外で騒ぎが起きてる時に、父親のところに連れてってくれって懇願してたこと。
「ボスはまだ何も命令してないけど、俺はもうそれについて何か言っちゃったんだ」 ゲイザーがそう言うから、俺は彼を見た。
「ってことは、まだ自殺する時間はあるってこと?」 俺が尋ねると、ゲイザーは俺を見下ろした。
「ザ・ウーマンをもてなせ…」
「私、どこにいるの?」 その声がどこからか聞こえてきたから、ゲイザーと俺は階段の方を見た。そこには、俺が担いでたザ・ウーマンが立っていて、また泣いているのが見えた。
「デイモンの家だよ」 ゲイザーが答えたから、ザ・ウーマンは俺らの様子を見た。二人とも正気な視線で、俺は変な感じがした。
「あ、あ、あの…」 ザ・ウーマンは、俺の方を見て、小さくそう言った。俺は彼女を見て、眉毛を上げただけだったんだけど、突然彼女は俺に近づいてきて、急に抱きついてきた。俺は驚いて、ゲイザーの方を見たけど、ゲイザーもザ・ウーマンの行動に驚いてた。
「お、お願い、お願いです。パパのところに… 一緒に行ってください」 ザ・ウーマンは泣きながら言った。俺は何を答えたらいいのか分からなくて、ただ彼女が俺に抱きついてくるのを見てた。
「助けてください」
俺はすぐに飲み込まれて、ザ・ウーマンが俺を抱きしめた時に、記憶が押し寄せた。ずっと忘れてたもの。
ザ・ウーマンは俺が彼女を突き飛ばした時、驚いたようだった。ゲイザーでさえ、バランスを崩しそうになったザ・ウーマンを支えながら、俺を見てた。
俺は目をそらして、グラスのワインを飲んだ。
「助けて!助けてください!」
俺は目を閉じて、自分を落ち着かせ始めた。
「デイモン」
「アハズ!」
「デイモン!」
「デイモン!」 俺はゲイザーが叫ぶのを見て、ゲイザーを見た。隣にいるザ・ウーマンも俺を見てた。
「顔、赤くなってるよ」 ゲイザーが落ち着いた口調で俺に言ったから、俺は視線をそらして、冷蔵庫に行って水を取りに行った。
「ごめん、デイモンがちょっと浮いてるんだ」 ゲイザーがザ・ウーマンに言ってるのが聞こえた。俺は振り返って、持ってきた水を飲み始めた。
「さっき言ってたことだけど、心配しないで。お前のパパのところ、一緒に行くから」 ゲイザーがザ・ウーマンに言った言葉に気を取られた。ゲイザーは、ザ・ウーマンを見て微笑んだ。
「俺はゲイザー、こっちがデイモン」 ゲイザーは笑って、ザ・ウーマンに自己紹介した。俺はまた水を飲まざるを得なかった。
「私、エレラです。エレラ・ドノバン」 ザ・ウーマンは自己紹介した。俺は冷蔵庫に寄りかかって、二人の様子を見ていた。