フラッシュバック ll
なんだかムカつくことがあったからちょっと落ち込んでたんだけど、それでも笑ってバスを降りたんだ。隣の**マン**のやつが悪いんだよ! あいつの金なのに、あたしの金も使ってきてさ、マジでイライラする。財布返してくれればいいのにって思ったよ。
でも、財布は返してくれたんだよね。一応、運賃取られたわけだし。なんかムカつく、あたし詐欺にあった気分。
でも、そんなことがあったとしても、あたしは嬉しいんだ! 無事に降りて、**ファーザー**がトップやってる町に着いたから! **ファーザー**がここのトップで、この町を動かしてるんだって聞いたし、**ファーザー**が正しいことしてるって思ってるから、誇らしい気持ちだよ。
「ねー、ここ、市役所ってどこ?」
あたしは、道端で魚を売ってる**ウーマン**に尋ねてみた。**ウーマン**はあたしを見て、それから市役所への道を教えてくれた。あたしはすぐに「ありがとう!」って言って、市役所に向かった。市役所の前に着いたとき、あたしの笑顔はさらに大きくなった。
**ファーザー**がトップやってる市役所のデザインの大きさと美しさに見入っちゃった。乱れた服をさっと直して、市役所に入ったんだ。**ガード**の人たちが外で挨拶してくれたから、あたしも笑顔で挨拶したよ。インフォメーションデスクの前で止まって、そこにいる**ウーマン**に話しかけた。
「こんにちは、いい日ですね。質問してもいいですか?」
あたしが聞くと、**ウーマン**は上から下まであたしを見て、それから頷いた。きっとあたしが若いからだよね。
「**市長**室ってどこですか?」
あたしが聞くと、**ウーマン**はすぐに眉をひそめた。
「**市長**に何の用ですか?」
って聞かれたから、あたしはポケットから写真を取り出して笑顔で**ウーマン**に見せた。
「**ファーザー**に会いに来たんです」
って言ったら、**ウーマン**は小さな笑い声を漏らして、それから真剣な顔であたしを見た。
「**ミス**、市役所には精神科はないんですけど、もしよければそちらにお連れしましょうか」
って言われたから、あたしは顔をしかめた。
「え?」
って聞き返すと、**ウーマン**は深呼吸をして、あたしにイライラしてるみたいだった。
「言ったでしょ、**市長**は忙しい――」
「**アリゾナ**のスケジュールは全部埋まってる? 全部キャンセルして」
あたしの後ろから声が聞こえたから振り返ると、**ファーザー**が携帯電話を持っていて、隣にはフォーマルな服を着た**ウーマン**がいたんだ。マジで、**市長**が来るんだ!
「**パパ**!」
あたしが笑顔で呼ぶと、**ファーザー**はあたしを見て顔をしかめながら、あたしが近づいてくるのを見てた。
「**パパ**――」
言い終わらないうちに、黒いフォーマルな服を着た**2人の大男**が現れて、あたしの前に立った。あたしは二人を見たけど、二人とも黒いサングラスをしてて、耳にはイヤホンみたいなのが繋がってた。
「**市長**には近づかないでください」
そのうちの一人がそう言ったから、あたしの唇は震えた。
「え、す、すみません? で、でも、**パパ**なんだけど」
って言ったら、二人は顔をしかめて、まるで面白いことでも言われたかのように笑った。
「何が起きてるんだ?」
あたしは、あたしの後ろにいた**ファーザー**を見た。
「**市長**、彼女はあなたの娘さんみたいですよ、って言ってます」
一人が笑いながら言ったから、**ファーザー**はあたしを見た。お腹が出てて大人っぽくなったけど、絶対**ファーザー**だって確信したよ。
**パパ**があたしの前に来たから、あたしは笑顔になってすぐにチャンスだと思って、**パパ**をきつくハグした。ついに! 何年も会ってなかった**パパ**をハグしたんだ。小さい頃はいつも**マザー**に**ファーザー**はどこにいるの?って聞いてた。**マザー**はいつも、遠い場所で仕事をしてて、家に帰って来るには時間がかかるって教えてくれた。でも、あたしはだんだん、**マザー**が子供の頃に言ってたことは嘘だって分かってきた。
**ファーザー**はあたしに、**ファーザー**が別の家族がいるってことで、つらい思いをさせたくなかったんだ。
あたしは**パパ**に対して全然つらい気持ちはないよ。過去に何があったか分からないけど、大切なのは、**パパ**がそばにいてくれて、こんな時にハグできたってこと。
「**パパ**、ずっと待ってたんだよ――」
「私から離れろ」
あたしは**パパ**に突き飛ばされて、ショックだった。目つきとかジェスチャーとかから、嫌悪感が伝わってきた。あたしの前で手にアルコルをかけて、まるであたしがすごく悪いことでもしたかのように睨みつけてきた。
「お前は誰だ? 突然近づいてきて、最近は病気が流行ってるって知らないのか? 汚いな」
って言われて、あたしは言葉を失った。
「**市長**、会議室でお願いします」
ちょうど来た**ウーマン**があたしを見た。嫌悪感が滲み出てて、あたしは自分自身を見た。あたしは別に悪いところなんてないし、臭いわけでもないのに、なんでみんなそんな風にあたしを見るの?
「彼女をここから連れ出せ、みんなの注意を引いてる」
**パパ**は、制服を着た**マン**に言ったから、あたしの唇は開いて、すぐに警戒した。
「でも、**パパ**、あたしは**アリゾナ**の娘、**エレラ**だよ」
あたしは言い訳するように言った。**パパ**はあたしを見て、少しずつ胸の喜びが蘇ってきた。でも、**パパ**のオーラが暗くなるのを見て、あたしが長い間忘れていた名前を言ったかのように消えてしまった。
「私たちから去ってくれ」
**パパ**は冷たく周りの人に言った。みんなは混乱しながらも質問することなく、すぐに**パパ**の命令に従った。
「ついてこい」
って**パパ**は冷たく言ったから、あたしはすぐに荷物を持って**パパ**の後ろをついて行った。市役所の外に着いて、**パパ**は道を変えたから、あたしも曲がって、市役所の裏側、あたしたち二人だけがいる場所にたどり着いたんだ。あたしは**パパ**があたしを見て笑顔になったから、それを見て嬉しかった。でも、すぐにその笑顔は消えて、**パパ**があたしに向けた視線を見たとき、あたしも笑顔をなくしたんだ。
あたしへの嫌悪感が伝わってくるような視線だった。
「**パパ**――」
「『**パパ**』なんて呼ぶな、私には娘はいないんだ」
って冷たく言われて、あたしは傷ついて、恥ずかしさで頭を下げた。まるで、**ファーザー**の前で恥をかいてるみたいだった。
**パパ**の言葉で、あたしの涙がすぐにこぼれ落ちたんだ。
「でも、**パパ**――」
「分からないのか? 言っただろ、『**パパ**』なんて呼ぶな、私には娘はいないって。お前のいた場所に帰れ」
あたしは**パパ**を見た。**パパ**はあたしを嫌悪していた。
これは、あたしが期待していたことと違う。あたしは**パパ**が優しく受け入れてくれて、大きなハグで迎えてくれることを願ってたのに、どうしてこんなことに? なんでこんなことになってるの?
小さい頃、あたしの**祖父**はいつも**パパ**に会うと恥をかくからやめろって言ってた。あたしはいつも**パパ**をかばって、「**パパ**は優しいから、あたしにそんなことしないよ」って言ってたけど、今、**おじいちゃん**の言う通りだ。**パパ**はあたしに恥をかかせたんだ。
「お前の**マザー**のところへ帰れ、もう払っただろ? 話は済ませたはずだ、なんで今更ここにいるんだ?」
って**パパ**は怒って、財布を取り出して何千円も取り出して、あたしの顔を叩いて、お金が地面に落ちたんだ。
「ほら、出て行け、もう来るな、それで十分だろう」
って言われて、あたしはしゃがんで、落ちたお金を見た。あたしは**ファーザー**の愛を買うことはできない。あたしは**パパ**の関心と愛情が欲しいだけなのに、あたしはお金じゃないんだ。
「次ここに来たら、牢屋に入れるぞ、分かったな?」
って**パパ**に言われて、あたしは**パパ**を見た。**パパ**はあたしから背を向けた。
「あたしはただ、**ファーザー**と一緒にいることを経験したいだけだったのに」
って言うと、**パパ**は立ち止まった。あたしに背を向けたままだ。
「あたしは、あなたの関心と愛情が欲しかっただけなんだ。お金はいらない」
あたしの涙がこぼれ落ちた。言った言葉で。あたしのかばんを握る力がさらに強くなったんだ。
「**マザー**が言ってた、あなたはあたしに前に約束してくれたよね、あたしと**マザー**のところに戻ってくるって――」
「出て行け、もう来るな」
って冷たく言って、**パパ**はあたしから離れていった。