チャプター28 フィリーの暴走
ユン・ハンが別荘に来てから、静かだったのがうるさくなっちゃったんだよね。毎朝、王様の叫び声が聞こえるんだよ。理由なんて説明するまでもないけど、ユン・ハンが毎晩真夜中に王様の部屋に忍び込んで、王様の隣で寝てるからなんだよね。もっと怖いのは、ワンが服を着たまま寝てるのに、次の日の朝起きたら裸になってたりするんだから。もう考えなくてもわかるじゃん? 今日、ワンもついに我慢できなくなったみたい…
「ユン・ハン、ちょっとは大人しくしてくれない? 君の方が俺より年上なんだからさ、ね? そもそも、君は男なんだし。こんなこと広まったら、マジで俺たちの評判ガタ落ちだよ。俺だって、なんだかんだ言って超巨大グループの取締役なんだから。家ではあんな感じで、外でもあんな感じって、ちょっとやりすぎじゃない? 他のことは別に言わないけどさ。君の方が俺より年上なんだから、色んなこと俺より詳しいはずでしょ。」 ワンは真剣にユン・ハンに言ったんだよね。ユン・ハンには、少しは大人しくしてほしいんだって。少なくとも、人前で堂々とチューするのはやめてほしい。他の人たちから変な目で見られるのは、マジで耐えられないらしい。 ブラッドムーンはすごく応援してるけど、ワンはマジで… ああ、ブラッドムーンのあの子はガチの腐女子だから、こんなエロい展開に反対するわけないよね? ワンはブラッドムーンのこと大好きで、何でも頭下げてくれそうだけど、この件だけはマジで無理。だって、俺はゲイじゃないんだから!
「うっわ、ワン、そんな真面目に言わないでよ…」 ユン・ハンはワンの忠告なんて全く聞く耳持たず、 右から左へ受け流してる。 ぶっちゃけ、ユン・ハンはワンのこと大好きなんだけどね。ゲイじゃないけど、ワンへの気持ちを口に出せないんだよ。だって、子供の頃からワンを見てきたんだから。ワンが200歳になってから、すごい変化があったんだけど、それがユン・ハンを純粋な乙女みたいな気持ちにさせちゃったんだよね。元々、ユン・ハンは子供の頃から病弱で、大人になってからもっと酷くなっちゃったんだ。ユン・ハンは今でも覚えてるんだよね、あの日を…
その頃、王様の身元を知ってる人はいなかったから、ユン・ハンはワンと仲良くしてたんだ。あの日、二人はあの世から逃げ出したんだよね。人間界で、ユン・ハンはワンの後をずーっと追いかけてた。ワンが行くところならどこでも。だって、この場所のこと何も知らなかったからさ。このままずっと一緒にいられるって思ってた時に、ユン・ハンの家族がユン・ハンを探しに来たんだよね。ユン・ハンの気配を辿って、当時住んでた家を見つけたんだ。でも、そこにいたのはユン・ハンだけだったんだ。ユン・ハンはワンを危険な目に遭わせたくなくて、彼らに従ったんだ。その途中で、ワンと再会したんだよね。ワンはすごく怒ってて、 ユン・ハンを抱きしめて、「自由になりたいなら、俺と一緒にいろ」って言ったんだ。あの時、ユン・ハンは感動したんだよね。ワンより年上だけど、今のユン・ハンはワンには全然敵わないんだ… ワンの言うことを聞かないといけないんだよ。それに、自由になりたかったし。だから、ワンと兵士たちと戦ったんだ。あの時、ユン・ハンは傷ついて、ワンはユン・ハンを守るために本気を出さなきゃいけなかったんだよね。だから、あの時、ワンの能力が爆発したんだ。それで、ワンの身元がバレたんだ… 兵士たちには勝ったけど、あの世の人たちがどうやってワンの身元を知ったのかは分からないんだよね。追っ手がワンを捕まえに来て、ワンとユン・ハンはイングランドに逃げたんだ。寂れたお城に住んで、そこで完全に自分たちの気配を消せるから、追っ手たちはなかなか捕まえられないんだよね… でも、良いことばかりは続かないんだよね。だって、前回ユン・ハンが兵士にやられた傷が治ってなくて、ユン・ハンは生まれつき体が弱いから、寝たきりになっちゃったんだ。その間、ワンはずっとユン・ハンの看病をしてて、ユン・ハンにワンの血を吸わせたりもしたんだ。そのうちに、ユン・ハンのワンに対する気持ちが、無意識のうちに変わって行ったんだ… 男女の愛とは違うけど、それに劣らないくらいの気持ちになったんだよね。
もちろん、俺もそういうこと知ってるよ… 結局、俺の方が彼らより長く生きてるし、誰もがユン・ハンのワンに対する気持ちを見てるじゃん? ワンは今、そういう気はなくて、中国にはいたくないみたいだし… だったら、あの魔界に帰るしかないよね!もちろん、死んでも彼らをイングランドに帰らせたりしないけどね! 「ワン、こっち来て。話したいことがあるんだ。」
「なんだ? 言ってみろ。」
「もし今、ユン・ハンを何とかしたいなら、あの世に帰るしかない… ユン・ハンはきっと、あの世には帰りたがらないと思うよ。」だって、ユン・ハンは魔界のことマジで嫌ってるんだから、そうでなければ、あの時、ワンと一緒に魔界から逃げ出したりしないよな。「いいアイデアだけど、一緒に魔界に帰ろうぜ。ブラッドムーンをここに置いていくのは嫌だし!それに、今日から始めよう。」マジでナイスアイデアだよな。魔界に帰れば寒さから逃れられるし。今、魔法的なことが起きてるんだから、魔界に帰るのは必須だよ。
なんでそんなに焦ってるんだ? あんな冷酷な悪魔なんて見たくないよ!あいつに俺はひどい目に遭わされたんだから! しかも、一番悲惨なのは… ブラッドムーンにバレちゃったらしいことなんだよね。寝言で俺が話してるのを聞かれたらしくて、それで脅されてるんだ… 俺、寝言を言う習慣なんてないんだけどな。「まあ、いいや、ブラッドムーンに知らせてあげるよ。」
階段を上ったんだ。フィリーとブラッドムーンの部屋は二階… ワンの部屋と俺の部屋は一階なんだよね。ぶっちゃけ、ここの階段の作りがマジで怖いんだよね。一歩踏み出すとギシギシ音がするから、二階には行かないようにしてるんだ。いつか階段の下敷きになりそうで。ブラッドムーンの部屋に着いたら、すごいオーラを感じたんだ。すぐさまブラッドムーンのドアを開けたら… ビックリしたんだよ。そう、ブラッドムーンがフィリーに抱えられてたんだ。ブラッドムーンから血を吸ってるシーンを見て、俺はマジでビビったんだよ。 瞬時にエアボンバーでフィリーを吹っ飛ばして、 ブラッドムーンが落ちる瞬間に、一瞬でキャッチしたんだ。ブラッドムーンの首のところに、血が流れてる二つの歯型を見て… 突然、俺は目が眩んだんだよね。すごく綺麗で、魅力的だった。いや、やばい、我慢できなくなる… ブラッドムーンをベッドに寝かせて、手で二つの歯型を触ってみたんだ。手が離れた時には、二つの歯型はもう治ってた。それからワンの気配を感じて、ワンが物凄いスピードで近づいてきてるんだ。「何なんだ!ブラッドムーンの血の匂いがするぞ!それに、フィリタに何があったんだ!」 ワンがそう言うと、冷たいオーラが漂ってた。何かを察知したんだろうね。このままじゃ、ワンにフィリップを攻撃されかねない。「ワン、落ち着いて… 後で説明するから。まずはフィリーの血をコントロールしな。」明らかにフィリーの血が滾ってるのが感じられるし、なんかすごく興奮してるみたいだけど… ブラッドムーンの毒血を吸った後の反応にしては、おかしいよな。 突然、俺はハッと目が覚めたんだ。だって、フィリーは純血の吸血鬼で毒を濾過する能力があるんだから、ブラッドムーンの血を吸った後の最大の反応は、興奮じゃなくて… 悪い予感…
ワンはフィリップをソファーに寝かせて、 ワンは地面に座り込んだんだ。その瞬間、ワンは青白い光を放って、 ワンとフィリーの間を包み込んで… 俺はブラッドムーンの隣に座って、 ブラッドムーンの上に自分のオーラを被せたんだ。 フィリーがどうして突然ブラッドムーンの血を吸ったのか、確かめようとしてて。暖かなオンジ色が、ロ・ランとブラッドムーンを包んでる。突然、春の水のように記憶が俺の頭の中に流れ込んできたんだ… 断片的な記憶が組み合わさって、完全な記憶になる… この記憶を読んでみると、フィリーの心はブラッドムーンの血を欲しててたまらないってことだった。
もしかしたら知らないかもしれないけど、ブラッドムーンの血って、最初の三文字は実は毒血なんだよね。その後の血はマジで純血だから、ブラッドムーンの血があんなに魅力的で、あんなに人を引きつけるんだ… 俺は魔法的な存在で、子供の頃から血を飲んで育ったから、血にはすごく敏感なんだ。だから、ブラッドムーンの血にほとんどコントロールされなかったんだ。自分のコントロール能力はすごく強いって思ってたけど、今になってみたら、ブラッドムーンの前じゃそんなの屁みたいなもんだった。「フィリーはどうなの、ワン?」 彼らの答えは一緒なのか気になるんだよね。フィリップは、実際にブラッドムーンの血を渇望してるんだ。
「フィリップがブラッドムーンの血を欲してるのは、君も知ってるはず… でも、なんか変な感じがするんだ。」 奇妙な感じ、無理やりやらされてるような… コントロールされてる? 何が目的? ブラッドムーンの純血を手に入れること… ブラッドムーンの純血って、何に使うんだ? そもそも、ブラッドムーンの純血って、彼らの純血と違うのか? でも、一体誰なんだ?! 「まるでコントロールされてるみたいだ、ってこと?」 突然の声に、ロ・ランとワンはマジでビビったんだ… なぜなら、それは悪魔の声だったから!