第25章
アヴィエナの視点
「何言ってんの? 殴られたいの?」 車に乗ってから聞くと、彼はぷいっとそっぽを向いた。
「あのバカ、お前の顔も見てねえ。お前の胸ばっか見てやがった!」 怒ってまくしたててる。
「別に良くね? どうせ触んないし」 そう言って笑った。だって、そういう風に見られるのは慣れてるから。正直、そういう視線は嫌だし、怖い時もあったけど、もうそれが普通だって考えるようにしてた。仕事の一部だって。それがいやなんだ。本当は、そんな奴らを嫌うべきなんだろうけど。
「は?」 リバーの顔を見たら、すごいしかめっ面になってた。イライラしてるのが声にも出てた。
「いいじゃん、知らない人だし」 そう言ったのは、これ以上顔を険しくさせたくなかったから。
「マジで、お前をそういう風に見てる奴らは全員〇す。ふざけんな」 明らかに機嫌が悪そうだから、少しでも二人の雰囲気を良くしようとした。
「あとで何食べる? 好きなやつ作ろうか?」 そう彼に声をかけた。
無視されたから、ちょっとだけ不機嫌になる。
「マジで? ちょっと会うようになっただけなのに、まだ怒ってるの?」 そう言った。やっと仲直りしたばっかりなのに、またすぐに壊れそうな気がした。
「誰だって怒るだろ、アヴィエナ」 睨みつけながら言われた。僕と話してる時でさえ、本当に嬉しそうじゃないんだよな。
「何が嫌なの? 男ってどうしてこんななんだろう? 男は、他の男が自分の女にちょっかい出すとキレるくせに、自分たちは興奮してポルノ見てるんでしょ?」
撮影が始まるから、言い合いはそこで終わり。セットに行く前に、テントで着替えた。
すぐにリバーがそこにいた。セットにもう自分の席があって、しかもディレク・インディゴの隣にいるのを見て、唇が震えた。なんか顔見知りみたいだし。指で遊ぶ前に、思いっきり唇を噛んだ。別に理由はないのに、今すごく緊張してる。こんなのいつもの私じゃないから、自分でもよく分かんない。ため息をついてから、演技を始めた。
リバーは王様みたいに見てるから、どうしても顔をしかめてしまう。マジでムカつく。今日のアシスタントだって言ってたのに、結局みんなが彼を特別扱いしてる。スタッフも彼の周りではすごく気を使ってる。
彼がそういう風に扱われるのに慣れきってて、文句も言わないから、ただただ呆れて目を回すだけ。
みんなが私たちの結婚を知ってから、私は特別扱いされるようになったけど、今は違う。本当に彼を特別扱いしてるみたい。
今も私を見てるだけだから、また彼に呆れて目を回しちゃう。
真剣に仕事しようとしてるのに、どうしても彼のいる方を見てしまう。私が台詞でつっかえると、眉を上げてくるし。ディレクはただそれを繰り返すだけ。
終わって自分の席に戻ると、もうリバーの隣だった。
「良いボーイフレンドがいて良かったな、ヒハ」 プロドが私に言った。私はただそこで笑って肩をすくめた。休憩だし、まだシーンはたくさんあるから、話せる時間はあった。
「いちごのチーズケーキ食べたい」 リバーに言った。だって、彼は私の隣で黙ってたから。まだ怒ってるのかな。
「買ってきて」 近くに店があるから、そう言った。
何人かのスタッフが私を見てた。
「マダム・アヴィエナ、買ってきますよ」 そう言われたけど、私は笑っただけ。
「大丈夫。リバーがやってくれるから」 そう言ったから、何もしてくれなかった。特にリバーが私の命令に従って立ち上がったから。まあ、彼を困らせたかったってのもあるんだけど。彼は私と話さないから、何か言わせるためには、こんなことでもするしかないんだよね。結局、彼は私に逆らえなかった。
本当に彼は行った。彼が戻ってきたとき、クルー全員がいちごのチーズケーキを持っていた。
「飲み物は? 食べ物は買ってきたのに、飲み物がないじゃん」 そう言うと、彼は私を見てから、また立ち上がって私の欲しいものを買ってくれた。私は、彼が私から離れていく背中を見つめていた。
「飲み物ありますよ、ミス・アヴィエナ。たぶん、何度も行ったり来たりするのは疲れたんでしょうね」 そう言われたけど、私は彼らに微笑んだだけ。
リバーは飲み物を持って戻ってきた。私の大好きなイチゴをくれた。
「他に何かいる? 欲しいものは?」 そう彼は聞いた。すごく真剣な質問に聞こえた。
「文句あるの?」 そう聞くと、
「ないよ。ただ、他に何が欲しいのか知りたかっただけ」 ちょっと笑って私に言ったから、私は不機嫌になるのを避けられなかった。彼があんな風に笑うと、命令しにくいんだよね。
「食べられないの。台本持ってるから」 そう言うと、彼は頷いた。
「これがお前のPAの仕事の一つ?」 私にいちごのチーズケーキを渡しつつ、そう聞いた。
「文句あるの?」 そう言って、彼を睨むと、彼はただ首を振った。
「お前だけの仕事だよ」 そう言ってから、彼に呆れて目を回した。彼は何も言わず、私が買ったいちごのチーズケーキをくれただけだった。
彼には、さらにたくさんの頼みごとをしたから、何人かは私たちを見ていた。彼の評判を傷つけないように、こっそり彼に用事を頼んだりした。
「夕食を用意したから、一緒に食べよう」 ディレクが私たちに言った。ディレク・インディゴは良い監督だから、ほとんどの俳優が彼の映画やドラマに出たいって思ってるんだ。
「ありがとうございます、ミスター・コーネル。私たちはもう行きます。妻が僕のためにご飯を作ってくれるんです」 リバーは、ディレクにさよならを言いながら笑った。
リバーと二人で帰った。車の中で、私は彼にちょっとした頼み事をした。彼のアシスタントとしてのキャリアは、今日で終わりじゃないみたい。
「さっき言ってたこと、考えたんだけど、お前の言う通りだ。男ってゴミだ」
「うん。お前も含めて」 そう頷いたから、彼も頷いたので、私は彼を睨んだ。冗談なのか、それとも本気なのか分からなかった。
「俺も含めて」 彼は頷いた。
「ポルノ見るの?」 人はそれが普通だと言う。
「見てないけど、お前のこと、すごく想像してるよ」 私は唇を突き出した。彼を睨むしかなかった。
「ほらね? マジで最低。お前も同じじゃん!」 私は、彼に呆れて目を回すしかなかったから、彼は頷いた。でも、どうして私はこんなに恥ずかしいんだろう? 彼が認めたせいで、顔が赤くなるのを感じる。
「いつから?」 そう聞いてみた。
「初めて一緒に寝たときから」 彼はニヤリとしてから目をそらした。この人、すごい正直だね?
家に着くまで、二人ともぎこちなかった。このバカは、ためらいもなくそれを認めた。ただ、そう言っただけ。
家に着いて、彼の料理の準備を始めた。彼がカウンタートップに座って私を見つめているのを見て、驚いた。彼の言葉から立ち直り、私はニヤニヤが止まらない。
「まさか、このキッチンでも私を想像してるの?」 そう言って笑ってみた。
「何?」 彼は私を睨みつけていた。私は彼をからかって笑ったけど、彼が私に近づいてきたから、すぐに静かになった。
彼のキスに、ただただメロメロになってしまった。こいつ、本当に私をどうすればいいのか分かってるな。もはや、キッチンでやってはいけないことまでしていることに気づかず、ただ疲れてしまった。
終わってから、彼を睨みつけた。
「何だよ? 俺は自分の空想を実現してるだけだよ」 そう言って笑ったから、私はすぐに彼の脇腹をつねった。彼は私から離れようとしたけど、それもできなかった。
その後は、片付けをして、また料理をした。彼も手伝ってくれた。他に何ができるか考えられることなんてなかったのかもしれないけど。
「家事が下手なくせに、なんで料理するのは好きなんだ?」 そう聞かれた。
「食べ物が大好きだから!」 彼は私の言葉に笑った。でも、それは本当のことだった。私はアニメと食べ物が大好きなんだ。
まだ私を見つめていたから、私は彼を睨んだ。
「もう、フィリピンで有名なアニメーターの一人に会う予約は取ってある。本当に学びたいなら、彼から学べるよ」 そう言われたから、私は思わず動きを止めて、彼を見た。
「マジで?」 疑うように聞いてみた。
「モーガン?」 そう聞くと、彼は頷いたから、私は彼を抱きしめるのを我慢できなかった。
「大好き!」 喜びで飛び跳ねそうになったから、彼は私の額をちょんちょんと指で弾いた。
「お前はダメだ。彼、もう彼女いるから」 そう言われたから、私は笑うしかなかった。
「彼の作品が好きなの。って言うか」 そう言って、彼を睨みつけてから、しゃがんで彼の額をちょんちょんと指で弾いた。
「じゃあ、ちゃんと説明してくれ」 彼はまだ笑いながら、私の腰に触れた。私も彼に笑った。
「ありがとう…」 彼を見つめながら、そう言った。
「どういたしまして。何でも言って」 そう言って、彼は私のおでこにキスした。
「シェフはどう? 色んな料理を学ぶために、誰かに会いたい?」 そう聞かれたから、私は首を振った。
「それは趣味だから」 そう言って笑った。
リバーと私は、最近すごく親密になってきて、それも悪くない。お互いを空気みたいに扱うよりは、こっちの方がいい。誰も気にしない相手とかね。
ご飯を食べた後、シャワーを浴びて、スクービードゥーを見ようとしてたら、リバーが私に電話してきた。
「今日、映画見に行くんだ。チケット買った」 そう言われて彼を見た。
「え? もう遅いよ! 今日はもう映画館開いてないよ!こんな時間に来る人いないよ!」 そう言って、時計を見た。
「うーん、だからこの時間に行くんだよ。誰も邪魔しないから」 私はそれによって唇を突き出した。
「家で見れるじゃん!」 そう言った。映画館で見るのは違うって分かってるけど、絶対高いじゃん。どれだけ買ってくれても、お金がなくなるわけじゃないって分かってるけど、それでも! もったいない。
まだ着替えさせてくれないし。結局、スティッチのパジャマを着る羽目になった。幸い、パーカーと長袖だったから、映画館に着いても寒くなかったし、マスクもあったけど、もう必要ないみたい。だって、本当に誰もいなかったから。私たちだけ。私たちもVIPに座ってるし。映画が始まったとき、私は唇に笑みを浮かべるしかなかった。
リバーは寝てしまった。本当に、映画一本も持たないんだから。私の唇の笑みが自然に弧を描き、彼の顔に近づいた。
「ありがとう、ミスター」 そう囁いて、彼の唇にキスをした。