第7章
アヴィエナのPOV
「続けろ」って、冷たい声で言った。何してんの、あいつ?あいつのブランドだってことは知ってるけど、撮影には滅多に来ないじゃん。あたし達の目が合っちゃって、スタッフもあたしとあいつを交互に見てた。あたしは首を横に振って、トムの方に向き直った。トムはあたしを抱きしめる腕にさらに力を込めた。
「お前のために来たのか?」ってトムが聞いてくるから、笑っちゃった。ありえない。あいつ、家にすら帰らないんだから。あたしに会いに来るためだけに、ここにくるわけないじゃん。それに、あたし達はそういう関係じゃないし。お互い、そこにいないと契約上会えないってだけだし。
リバーがあたしを見てる気配はまだするけど、撮影はもう始まってるから、あたしは彼の方を見るのはやめた。それに、お互いに話さなきゃいけないって契約もないし。
トムはあたしに話しかけるために顔を近づけてきたけど、あたしの目はカメラに向いていた。トムとはすごく長い友達だから、もう慣れてるんだよね。あたし達はもうこのシステムに慣れてる。シチュエーションとか、もっとすごい時だってあるし。あたしも落ち着いてられる、別に何の意味もないから。これは完全にビジネスだし、仕事なんだし。
「元カレが、あたしを殺す気で見てるぞ」ってトムが言って、あたしは笑った。ありえないって。あいつの目はいつもそんな感じなんだよ。あたしにはわからないけど。いつも怒ってる顔してるけど、それが普段の顔なんだし。
リバーを見たときには、笑っちゃった。トムが言ってたこと、見てみたかったんだよね。彼はまだ腕を組んで、あたし達が何かミスでもしないかのように、じっと見てた。
「もっとセクシーに、カメラを見て、アヴィエナ」って、フォトグラファーが言った。あたしは頷いて、仕事に取り掛かった。トムの肩に手を置いて、カメラを見たけど、リバーがいるから、つい彼の方を見ちゃうんだよね。あいつの顎が強張ってる。なんか、まずいことしてるみたい。すごい不機嫌そうな顔してるから。
「もう一回」フォトグラファーは、特にリバーがいるから、完璧にしたかったんだろうね。リバーは何も言わないし、邪魔もしない。ただ、真剣な目であたし達を見てる、っていうか、トムの手を見てるんだよね、あたしに抱きしめる力、もっと強くなってるし。トムならいつものことだし、慣れてるし。悪意とかないし。
リバーと目が合った時は、息もできなかった。
撮影が終わって、本当にありがたかった。すぐにあたしのPA、テッシーが来てくれた。
「おめでとう、アヴィエナ!めっちゃ綺麗!」って、あたしに笑いかけてくる。
「あと、誰かから、これ、アヴィエナに」って、ファンがくれたっていう、大きな花の束を渡してくるから、あたしは笑った。
「ありがとう、テッシー」って言って、花を見た。
「あたしの服、テッシー」
「あ、はい!」って、頭かいて、走り去った。あたしは首を横に振った。テッシーはカビテの隣人で、まだ学生だけど、仕事してお金が欲しいって言うから、アシスタントとして雇ったんだよね。
「気に入った?」って、トムが近づいてきた。あたしの隣に。テッシーが車のあたしの服を全部持っていっちゃったから、着てたTシャツを渡してくれた。
「また、これ?」ってあたしが聞いたら。
「うん!新しいドラマ、おめでとう」って言うから、あたしは笑った。
「ありがとう!アンティの花屋、偵察に来たんだ?」って、あたしは笑った。家族も優しいんだよね、あいつは。
「どういたしまして。次の撮影、まだあるの?」って聞いてくる。
「まだあるよ。もう迎えに来ないでよね。アンティが待ってるから。もう行きなさい」って笑ってトムを押したら、トムは笑ってあたしから離れて行った。セットからも、あたしに手を振りながら、笑って出て行った。あたしも同じ気持ちだった。海の青い瞳と目が合った瞬間、だんだんあたしの唇から笑顔が消えていった。
あいつは、スタッフと話してたけど、あたしの方を見てた。あたしは、あいつと目を合わせないようにした。気づかないふりをした。
そこに、待機してたテッシーがやって来た。
「車で着替えるね」って言うと、テッシーは頷いた。あたしは彼らに向かって歩いて行った。リバーの横を通った。まあ、広い場所なのに、ドアにバリケード張ってたけど。
あたしが彼の前を通り過ぎようとした時、彼はあたしの腰に触れた。
「挨拶に来たのに、無視かい?」あたしはそこで立ち止まって、彼を見た。ボケちゃったのかな?家ではあたしのこと全然気にしないのに、あたしに挨拶しにきたって?冗談でしょ?
「え?」あたしは信じられないって顔で彼を見た。周りの人たちは、彼の言葉にすぐにざわつき、肩をすくめた。あたしは顔が赤くなるのを止められない、また、次の日には話題になるだろうし。あいつが何を考えてるのかわからないけど、遊ばないでほしい。あたしは彼を睨みつけた。彼の唇にはまだニヤケ顔。
「お前も、俺に挨拶しないのか?妻」って、そんなに大きな声じゃなかったけど、あたしの隣にいたスタッフには、絶対聞こえたはず。特に耳が聞こえそうな人たちは、リバーとあたしを見てたし。あたしは、彼を睨みつけた。なんで、そんなに話さないのに、こんな大勢の前で、一緒にいるって言うの?
彼は顔をあたしに近づけてきた。あたしの耳元で止まった時、全身の毛が逆立つような感じがした。
「あいつに触られた後で、もう俺の妻だってこと忘れちゃったのか?」って、あたししか聞こえないような声で囁いた。は?なんなの、こいつ?頭おかしいんじゃないの?
彼はあたしの腰を強く抱きしめたから、あたしはどうしても彼のことを見てしまった。
「結婚式に、みんなを招待したい」って、彼がスタッフに視線を向けたとき、あたしは完全に唖然とした。スタッフは、まるで顎が外れそうな顔をしてた。
「サベラーノさん、ご結婚されるんですか?」
「え?なんで?」
「誰と?」
あたしは、リバーに夢中になっていた女性たちの目に、衝撃が走るのを見た。あの男は誰にとっても魅力的だから、仕方ないんだけど。
「あたし達の結婚式に」って、あたしは今度は笑顔で言った。こんな状況で、最高の女優にならないわけないでしょ?
あたし達の発表が信じられないって顔をして、口をあんぐりと開けてあたし達を見てた。あたしは笑って肩をすくめた。
リバーの視線は、まるであたしの魂を見ているようだった。
「行こう。次の撮影に連れてってやる」って、あたしはそれに対して眉をひそめた。
「なんなの?」まだ囁きながら、彼に問いかけた。
「なんなのって?」
「妻にすごく忠実な、いい夫みたいなことしてるけど?」あたしはまだ笑いながら、彼を見て首を横に振った。彼はあたしのからかいを無視したから、あたしは思わずニヤリとしてしまった。あたしは、彼に続いて、そこを去った。彼があたしの体を見てるのに気づいたから、すぐに隠した。
「なんで、そんな風に体見てるの?」あたしは叫びたかったけど、落ち着いて、何事もなかったように振る舞うことにした。
「服を脱げ」あたしは目を見開いた。普段タガログ語を話さないのに、こんな風に話すんだ。
「え?」あたしはもっと自分を抱きしめた。
「変態!」彼しか聞こえなかったってことを強く約束するよ。彼は、あたしが着ていたTシャツをまるで大問題だって顔で見てた。顔色も悪くなってたし。
テッシーがまた近づいてきた。あたしに話しかけようにも、どうしたらいいのかわからないみたいだった。
「アヴィエナ、先に着替えてきて。撮影にすぐ行こう」って言った。
「先に行ってて。リバーが連れてってくれるから。あたしは、彼の車で着替えるわ」って言って、彼の服を受け取った。テッシーは、驚いた顔であたしを見てた。
「アヴィエナ、一緒なの?」って、聞かずにはいられないみたいだから、あたしは笑って肩をすくめた。
「テッシー、もっと頻繁に会うことになると思うよ。彼はあたしの旦那なんだから」って言うと、テッシーは顎が外れそうになるのが見えた。あたしは、ただ小さく笑った。
すぐに、お姉ちゃんが来て、あたし達を呼んだ。リバーにも話しかけてた。
「あたしも一緒に乗ってもいい?」って、お姉ちゃんが言った。
「すみませんけど、アヴィエナと二人で話したいんですけど」ってリバーが言ったから、お姉ちゃんは仕方なく承諾した。
あたしは、彼の車について行った。ドレスに着替えるだけだし、そんなに難しくない。
あたしが先に入ると、すぐに彼がついてくるのが見えたから、彼の方に向き直った。
「着替えるわよ。あたしを見てるつもりじゃないでしょうね?」って聞いたら、彼は首を横に振って、出て行こうとしたから、あたしはもう一度話しかけた。
「でも、いいけどね。多分、女の子たくさん見てるでしょ?」って笑顔で言って、着ていたTシャツを脱いだ。またビキニ姿になっちゃった。彼が怒ってるのが見える。
「お前、男の前で着替えるのかよ?アヴィエナ、一体どうなってんだよ?」って、怒って聞いてくる。あたしは彼を睨んだ。ちょっとからかっただけなのに。すぐ怒るおじいちゃんみたい。彼がどんな顔してるのか笑うべきか、それとも苛立ちで首を横に振るべきか、あたしにはわからなかった。
「だから何?触ることすらできないんでしょ?ただ見てるだけ」って、あたしは笑ったから、彼はさらに顔を真っ赤にした。
彼は、イライラしたように助手席に座った。彼の車を見たときには、まるでハンドルが何か悪いことでもしたかのような顔をしてた。あたしは思わず唇を尖らせた。
「なんで怒ってるの?急いでるのに、着替えなきゃいけないんだから」あたしの体って、そんなに醜いし、今はそんな反応するの?あたしも砂時計体型だってことは知ってるんだけど。
そこに着くまで、彼はあたしを無視したままだった。
「あたしだってセクシーボディなのに!なんでそんな反応なの?」って、あたしは聞いた。
「そうじゃないって誰が言った?」なんで、あたしのこともそんなにセクシーに聞こえるの?