会ったこともないのに、なんか偶然、君が俺を助けてくれたんだ。なんでか知らないけど、君とは繋がってる気がしたんだ。俺みたいな弱っちい奴を、王様ってやつが、相棒にしてくれることってあるのかな?
突然、君は自分の弱さも気にせず、変なオオカミを守ろうとした。だから、俺の相棒にならないか?一緒にやってくれないか?
第一章
異世界、そう、俺の世界が人間界とパラレルだってことに驚かないでくれよな。フィクションみたいだけど、信じようが信じまいが、確かに存在するんだ。この世界は「人狼王国」って呼ばれてる。人間でもオオカミでもない、二つの種族が混ざった生き物のことだ。俺たちの間には、こんな言葉が伝わってるんだ。「誰でも心の中にオオカミを飼ってる。それは、危機に瀕した時にしか現れない。だから、いつでも覚悟しておけ」って、人狼王宮の石に刻まれてる言葉なんだ。
俺の世界のやつらは、みんな王様の話をするけど、誰もその姿を見たことがない。王様は強くて、運動神経抜群で、狩りが大好きだけど、冷酷だってことは知ってる。まだ結婚してないんだよな。それに、王様は「俺の心を掴める奴は、まだいない」って言ってるらしい。あと、群れを持たない「カミ」って呼ばれるオオカミたちの集団もいて、そいつらは王様の掟を破って、若い男の子とか女の子を誘拐したりするらしい。それを止めようとする奴は殺される。
あー、そうそう、俺のこと、自己紹介してなかったな。ごめん、俺の名前は「レルム」って言うんだ。15歳。王国の外れにある小さなカフェで暮らしてる。人狼の群れの中にいるんだけど、13歳からずっと一人で生きてて、責任も自分で負ってるんだ。みんな俺のことバカにしてくるんだよな。だって、変身する時に、俺の体が弱くて、肋骨が1、2本折れちゃうんだから。生まれつきなんだ。治らないし。相棒なんて見つかるわけないって思ってる。だって、人狼は俺みたいに弱い奴を相棒にはしないだろうし。でも、俺には他の奴らと違う能力があるんだ。自分のオオカミと話せるんだよ。名前もつけてて、「エミー」って言うんだ。
最近、カミの襲撃のせいで、俺が住んでる郊外はまたパニックになってる。そろそろ、そいつらの規模を大きくしなきゃならないらしいんだ。郊外の人たちは、子供たちを隠そうと、森の真ん中にある大きな広場に集まった。強い護衛に先導された輪になって、子供たちの親たちが続いて、女の人たちが続いて、そしてもちろん、いつものように、父さんが死んでから、誰も俺のことなんか覚えてないんだ。いじめの時とか、暇つぶしの時だけなんだよな。俺は急いで庭に行くと、護衛の一人が道端で血を流して倒れてたんだ。まだ近づいてなかったんだけど、なぜか、俺は群れのリーダーと取り巻きが、俺から数メートル離れた場所にいる護衛たちと話してるのが見えたんだ。会話の内容は…
「今どうするんだ?」
「襲撃が前より酷くなってるぞ」
「お前らなら、あの黒い森に入って、あいつらを始末できるだろ」
「黒い森に入るだと?あそこに入ったら、誰も帰ってこれないぞ」
司令官の部下の言葉は正しいんだ。だって、黒い森は俺たちのものじゃないんだから。ヴァンビルっていう種族のもので、誰も入ることを許されてないんだ。そいつらは闇の王で、夜はそいつらのものだってことはみんな知ってる。人狼王とそいつらの王の間には条約があるんだ。司令官は許可するとは思えないな。案の定、司令官は護衛隊長に、人狼王宮に行って、支援を求めるように命令したんだ。俺が動き始めた時、群れが子供たちを連れて戻ってくるのが見えたんだ。今回カミのオオカミは失敗したみたいだ。近づいていくと、女の子の一人が俺を見て言ったんだ。
女の子:「あ、レルムだ」
レルム:「なんだよ、レベッカ?」
レベッカ:「お前みたいな弱っちい人狼が何してるのかと思ってさ」
俺は無視して急いで行った。あいつと口論してたら、また変身して肋骨が2本折れて終わるからな。そういうのもう嫌なんだよ。別に俺のオオカミが弱いのが悪いわけでもないし、俺が悪いわけでもない。
あいつらから離れてから、俺は自分のオオカミと話し始めた。
レルム:「俺のせいでもないし、お前のせいでもないよな」
エミー:「そうだね。レベッカとかあいつらのことなんか気にしなきゃいいのに。あたしはもう疲れ果ててるよ」
レルム:「なんで落ち込んでんだよ?」
エミー:「なんでかわかってるでしょ。最後に走り回ったの、いつだった?」
レルム:「うん、で、変身して卒業するときはどうなるのか知ってるだろ?」
エミーは返事をせずに黙ったままだったから、俺は個室に行って、本を読むとか、何か役に立つことをしたんだ。群れの生活とは違って、俺は読書が好きなんだ。
王宮の中、訓練に費やされる場所で、屈強な若い男が立っていて、たくさんの護衛が彼に襲いかかってるんだけど、彼は巧みにそれを撃退しているんだ。彼はアルファ(王)になるために育ったんだ。人狼とヴァンビルの間で、俺は和平条約にサインしたんだ。王国を様々な人狼の群れに分割していたものを統一することができたからな。王国を裁くためには、冷酷さを見せて、物事をコントロールする必要があったんだ。でも、何年も経ったけど、まだ俺の相棒になる女の子に出会えてないんだ。王国のあらゆる群れの中から探したんだけど、見つからなかった。だって、俺は優しくて、知的で、教養があって、守ってくれるような女の子がいいんだ。でも、俺みたいな冷酷な王に、どうやって近づけば、一緒にやってくれるって思ってくれるんだろうか。ビクター王
訓練を終えてから、会議室に行った。王国の北郊外のリーダーの一人である大臣が来て、助けを求めていたんだ。
ビクター:「北郊外の群れの状況はどうなんだ?」
大臣:「良くないです。昨日、カミのオオカミの襲撃が増加しました。護衛の一人が死にました」
ビクター:「酷いな。でも、まずは黒い森に入る許可を得なければならないな」
それから、彼は部下に許可を得るように命じた。そして、彼は立ち上がって自分の部屋に向かい、独り言を言った。((今までも苦情はいくつかあったけど、今回は限度を超えている。俺はこれを許すことはできないけど、北郊外の大臣が到着したことを知ってから、自分のオオカミが落ち着かないんだ。だから、自分のオオカミは、これらの郊外の護衛の強さを知っていて、これが今まで邪魔しなかった理由なんだ。でも、不安な時は、彼と話さなければならないんだ。でも、彼に俺のことを見られたくないんだ))だから、自分の部屋に行ったんだ。
ビクター:「どうした、リョウ?」
リョウ:「この群れになにかある気がする」
ビクター:「着いたら全部わかる。でも、しっかり準備しろ、黒い森で、お前が必要なんだ」