Chapter-20: メイト?
ケインの視点:
--フラッシュバック--
ほとんど目を開けられなかった。もう血をいっぱい失って、すごく弱ってたんだ。あの暗い影、吸血鬼、それか何者かは知らないけど、まだ俺の首をきつく掴んでた。体はぐったりしてて、まだ相手のチョークホールドの中にいた。さっき現れたブライソンが、犯人の喉に手を当ててる。
「お前、あのクソガキに構うなと、言ったよな!」 ブライソンが叫んだ。
吸血鬼の血まみれの顔に不気味な笑みが浮かんだ。「いいだろう。食事の前にちょっと運動するのも悪くない。」 奴はうなり声を上げ、俺の顔に牙を剥き出しにして、俺の弱った体を地面に投げ捨てた。
ブライソンは最初のパンチで前に出たけど、その後はもう、ただのボヤけた塊になった。目を開けていようとしたけど、無理だった。弱すぎて、動くことすらできなかった。頭がクラクラして、体がすごい重く感じた。何度か抵抗した後、俺は暗闇に身を任せた。
どれくらい時間が経ったのかわからないけど、やっと意識が戻った。うめき声を上げて、目を開いて周りを見渡した。影が俺の近くにしゃがんで、心配そうな目で俺を見てる。あれは、ブライソンだったと思う。だって、俺の友達を殺したあのクソ野郎の顔は、絶対に忘れられないから。
「おい!起きろ」 ブライソンがそう言って、俺の肩を軽く揺すった。「生きろ、少年。生きるんだぞ。」
俺は何か返事をしたけど、自分が何を言ったのかも覚えてない。弱すぎたし、疲れ果ててたし、今は死を受け入れる方が魅力的に感じられたんだ。
奴はすぐに俺の首に指を当てた。「脈はほとんどないし、すごく冷たい。これしかない。他に方法がないんだ。」
何が言いたいのか聞きたかったけど、唇は動かない。ただ奴を見て、次の行動を待ってた。奴は頭からフードを外して、やっと、少しぼやけてるけど、奴の顔を見ることができた。
驚いたことに、奴は口を開けて、俺はそれを見た。奴も持ってたんだ。あの牙を。奴は前に倒れ込み、俺は奴が俺の首に牙を突き立てるのを感じ、その夜二度目のあの恐ろしい痛みを首に感じた。
すべての命が体から出ていくのを感じた。むしろ、魂がフワフワ浮いていくような感じだった。しかし、完全に暗闇に飲み込まれる前に、俺は何か硬いものが手のひらに押し込まれるのを感じた。
--フラッシュバック終わり--
まるで昨日のことのように、あの夜の詳細を覚えてた。あの恐ろしい連中と、奴らが俺の友達にしたこと、その記憶は俺の心に焼き付いてるんだ。
ドアが開いて、ブライソンが入ってきた。
「ハンナには無理やり鎮静剤を打ったから、今は寝てるよ。本当にパニックを起こしちゃって」 俺の心配そうな顔を見て、奴は俺の肩に手を置いた。「心配すんな。すぐに見つけてやるからな。」
「奴がどこにいるのか、どうやってわかるんだ? つまり、どうやって俺の居場所を知ったんだ? そもそも俺がメイトを見つけたことを、どうやって?」 俺はイライラして髪をかきむしった。
「あいつも吸血鬼だろ、ケイン。奴には奴なりのやり方があるんだよ」 ブライソンが言った。
俺は振り返って、リビングの窓の外を見た。たとえ奴が地の底に隠れてたとしても、俺は見つけ出してやる。見つけ出して、拷問して殺してやる。俺のメイトに目をつけたことを後悔させてやる。
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シャ・サマーズの視点:
意識が戻ると、頭がものすごい痛みでズキズキしてた。視界はぼやけてるし、目を開けるのもちょっと大変。体もすごく痛い。誰だかわからないけど、地面に叩きつけられたんだな。ものすごく苦労して起き上がって、周りを見回した。薄暗くて汚い部屋の冷たい地面に寝かされてたんだ。下水みたいな匂いがして、マジでキモかった。
動こうとしたけど、手首につけられた重い金属のせいで動けない。何だよ、これ? 恐ろしくて自分の手を見た。鎖に繋がれてる! あのクソ野郎!
どうして、女の子を壁に鎖で繋げるんだよ? つまり、あたしってそんなに脅威なの? ジョン? あたしを誘拐したの?
うめき声をあげた。あたしを誘拐して、知らない場所に閉じ込めても、奴の役に立たないだろ。母と息子は、あたしから何も聞き出せないはず。金属の輪から手を外そうとしたけど、うまくいかない。ちょっと力を込めてみた。
「いてっ!」 全然うまくいかない上に、自分を傷つけちゃっただけだった。
バカなジョンと、そのキチガイババア。
金属のドアが開いて、例の暗い影が部屋に入ってきた。この場所のドアですら、めちゃくちゃ薄汚れてて古い。目を細めたけど、誘拐犯が誰なのか、暗すぎてわからない。奴は手袋をした手でライトをつけた。
突然の明るさに目を覆ったけど、すぐに目が慣れてきた。ジョンのでかい顔を罵倒しようと見上げたら、驚くことに、奴じゃなかった。
イライジャがあの気持ち悪い笑顔を貼り付けて立ってた。ゆっくりと歩いてあたしに近づいてくる、獲物に近づく捕食者のように。あたしが襲われた夜のことが、頭の中にフラッシュバックした。すべての自信が吹っ飛んで、恐怖に震えて後ずさった。
「あらあら、これはこれは。誰がいるのかな? あたしたちの可愛いシャ」 奴はぞっとするほど甘い声でそう言った。あたしの顔の近くにしゃがみこみ、光が奴の顔に当たった。奴の顔をちゃんと覚えてなかったけど、今見てると、あの夜の恐ろしい記憶が蘇る。もうジョンをそんなに怖くなくなってた、だって、奴がどこまでやりかねないか、わかってるから。
でも、イライジャ? なんであたしを誘拐したの? あの夜の復讐?
奴の漆黒の髪、青白い顔、赤い唇をじっくりと見た。完璧なドラキュラの役になりそう。あたしを鎖で繋いでるんだから、マジでやってるのかも。
でも、一番恐ろしいのは、あの血走った目だった。暗くて、完全に生気がなかった。あの路地で襲ってきた男のことを思い出させた。
奴は、あたしを面白そうに見てた。あたしが恐怖で震えているのを見て、楽しんでるみたい。それがあたしを怒らせた。
「なんであたしをこんなとこに連れてきたんだよ!」 あたしが奴に叫んだ。奴は頭を振ってクスクス笑った。
「相変わらず気が強いね」 あのフレームを頭に叩き割った夜のことを言ってるんだな。「あのフレーム、気に入らなかったんだよね。ちょっと血が出ちゃったんだ。俺には楽しくなかったな。」
「自業自得だよ、クソ野郎」 あたしはそう言って、ぞっとした。もう怖がるのは終わりだ。
「お前が復讐したがってるのはわかるけど、俺は下等な存在と争うのはしないんだ」 奴はため息をついて立ち上がった。「メイトが俺が欲しいものをくれるまで、お前を相手してやるだけだ。そしたら、お前は行っていいし、俺は俺の道を行く」 奴は「メイト」って言葉を、人類で一番嫌悪感を感じるものについて話してるみたいに言った。
あたしは眉をひそめた。メイト? つまり、あたしの親友のこと? マジか! 奴はハンナを狙ってるのか?
「あー、メイトって、どういう意味? どんなメイト?」 あたしは不安になって、奴の答えが怖くて、そう尋ねた。もしハンナのことでも言ったら、あたしは奴を殺す。
でも、奴は答える代わりに、突然笑い出した。奴の異常な笑い声が、この不快な部屋の壁中に響き渡った。
「めっちゃ面白い」 奴はそう言って、膝の上に身を乗り出した。あたしの眉はさらにひそまった。マジで、奴は悪い上に、キチガイでもあるんだ。まさに、それが必要だったんだ。
あたしが一緒に笑わなかったことに気づくと、奴は笑うのをやめた。どんなジョークだったのか知らないけど、奴はため息をついて頭を振った。
「いつものウィルソン。お前は、あの『メイト絆』のクソを隠しておくだろうけど」 奴は小声でそうつぶやいた。
「何が起きてるの!?」 そして、「ケインのことをどうして知ってるの!」 あたしは叫んで、心臓がバクバクしてた。
奴はしゃがんで、あたしの顔を見て言った。「ダーリン、お前の大切な、大切なボーイフレンドは、実は吸血鬼なんだ。」
あたしは奴の顔を1分間じっと見つめてた。それから笑い出した。絶対キチガイだわ。
「あたしがそれを信じろって? あいつは吸血鬼じゃない」 あたしはまくし立てた。奴はあたしにこう言うために鎖で繋いだのか? サイコ。
「マジで?」 奴はそう言って、立ち上がった。「どうやらウィルソンは、自分の仲間について何も教えてないみたいだね。あたしが紹介してあげたらどう?」
あたしの笑いは消え、代わりに不安がやってきた。もし奴がジョンを通してあたしを知ってるなら、なんでケインのことを言及し続けるんだ?
奴は手袋とフードを外して、地面に落とした。それからまたあたしの前にひざまずいて、あたしの髪の毛を掴んで、奴の顔を見続けさせた。
それからあたしはそれを見た。奴の虹彩の色が黄色に変わり、スリットになった。奴は口を開けて、2本の長い牙が生え始めた。
全身が動かなくなり、恐怖でその場に釘付けになった。本当に吸血鬼だったんだ!
「気に入った? 磨いておいたんだ」 奴はうなり声をあげた。「一噛みで、お前の血を吸い尽くせるんだよ、ベイビー。」
奴はあたしを離して、また立ち上がった。体が震えてた。たった一度の人生で、こんなにたくさんのことを経験するんだろうか? もしあたしが殺人的な親族と吸血鬼に同じ人生で出会うなら、もっと使えそう。
あたしは子供の頃から、ずっと吸血鬼についてたくさん読んでた。両親とのあの事故の後、あたしは吸血鬼が本当にいるんじゃないかっていう理論に夢中になった。ヘレナが、あたしを地獄に突き落とし始めた頃には、考えなくなったけど。
「メイト絆って、どういう意味? それは何?」 あたしは奴を怒らせて、奴が飲みたがらないか怖くて、どもりながら尋ねた。
「正確にはわからない。メイトっていうのは、自分の心臓が繋がってる相手のことだって言うんだよ。あの『一生のソウルメイト』みたいなクソ」 奴は不快そうな女の子の声で言った。
「あたしはいつも、メイトなんてバカで、弱くて、無価値な存在だって思ってる。役に立たないだけじゃなくて、危ない時に命を救うとか、そういうバカげたことまでしなきゃいけないんだ。でもさ、ウィルソンは弱くて、哀れなメイトのために自分の命を危険にさらすようなバカなんだ。だから、俺はあいつと、あのバカなブライソンを始末してやる。あいつらはそれを受けるに値する。」 そう言って、奴はまだ笑いながら部屋を出て行った。
全部を理解するには、今のあたしには多すぎた。ケインが吸血鬼だったことにショックを受け、あたしに話してくれなかったことに腹が立ち、あたしを助けようとしてケガするんじゃないかって心配になった。
でも、こんなクレイジーな状況の中で、あたしはそれよりも、奴の安全を願ってる自分がいた。