第40章
セスの視点
「それで、どうだった?」 事務所から帰ってきた俺に、レイズが尋ねた。
溜息が唇から漏れ、俺はソファに身体を投げ出した。さっきまで色々あったから、疲れ切ってたんだ。
うちのボスが俺に電話してきて、何があったのか聞いたんだ。
俺が先輩のために何をしなきゃいけなかったのか知って、彼も先輩に自分の事務所に電話したらしい。
俺たちの間の緊張はすごくって、先輩だってことを忘れずに尊敬しなきゃって、何度も自分に言い聞かせたよ。
彼のマネージャーもクビになったみたいで、懇願して泣きそうだった。マジで。
全部うまく収まって、ボスも落ち着いたみたいで、俺はホッとしたよ。
全部上手くいくはずだったんだ。
でも、ボスは俺とザナヤの関係について話してきたんだ。
どうやら、たくさんのレポーターがうちの会社の電話に電話してきて、俺がサリーかザナヤと付き合ってるのか確認したいって言ってるらしい。
俺はザナヤとの関係をマジで公にしたかったんだけど、ボスは違う考えだった。
今の時点では、俺たちの関係は隠しておいた方がいいって。
「ねえ、セス…」 俺は顔を上げて、みんなが俺を見てるのに気づいたんだ。
「大丈夫だよ。全部上手くいったし、先輩のマネージャーもクビになったし。」 俺が呟くと、ストームはニヤリとした。
「ざまぁみろ。でも、先輩も謝ってほしいな。あいつのやったことは間違ってるし、サリーも自分の間違いに気づいてほしいな。サリーは友達だし、HAPPINESSとWHISTLEも友達だったんだから。」 レイズが言った。
俺は手で顔を洗った。
この前以来、サリーとは話してないんだ。話せないんだよ。ザナヤにまた悲しい思いをさせたくないから。
彼女はもう十分泣いたし、もう泣いてる姿は見たくない。
心が張り裂けそうなんだ。
「ねえ、本当に大丈夫なの?」 スカイが俺の隣に座った。
俺は彼とみんなを見た。
今回だけは話してもいいかな。
「ボスは、しばらくザナヤと会うのをやめてくれって言ってる。」 俺が言うと、みんな俺を心配そうに見ていた。
「まあ、仕方ないよね。お前の彼女との関係は、最近のゴタゴタもあって、見過ごされてないんだから。」 デモが付け加えた。
「セス、今日ネット見た?」 グレイが俺に話しかけてきた。
「いや、なんで?」 俺は混乱して彼に尋ねた。
「お気に入りの黒いスウェット、彼女にあげた?」 彼は眉を上げて尋ねた
俺は頷いた。
この前、ザナヤにあげたんだ。彼女にセクシーな服を着てほしくないから。
俺の彼女をじろじろ見てる男たちのこと考えると、マジで血が沸騰するんだ。
彼女はアイドルだから、そういう服を着るのは普通だって分かってるけど、どうしても我慢できないんだ。
「まあ、彼女のチームの誰かがそれを着てる写真をアップしたのか知らないけど、どうやらファンが気づいたみたい。」 彼は事実を語るように言った。俺は唸った。
ザナヤに言うの忘れてた。でも、もちろん彼女のせいじゃない。
俺だけなら、彼女には俺の服だけ着ててほしいんだ。
グレイは俺に彼の携帯を渡して、写真を見たんだ。
それは自然なショットで、彼女はマジで綺麗だった。
俺は彼女が俺のものだって誇りに思わずにはいられなかった。
俺は、俺とザナヤの写真にネックレスが写ってることに気づいて、眉をひそめたんだ。
クソ。
結婚指輪。
「セス、スカイが聞いてたんだけど、お前とザナヤは約束の指輪とかしてるの?」
ストームの質問に、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
いや。あれは結婚指輪なんだ。まあ、それは言えないな。
これで面倒なことになるかもしれないけど、まあいいや。また嘘をつかなきゃ。
「そうだよ。」 俺が確認すると、みんな頷いた。
「じゃあ、気をつけなきゃな。ファンがどんなものかよく分かってるだろ。すぐにバレるぞ。」 スカイが口を挟んだ。
「それに、ボスの決定について、ザナヤと話さなきゃな。二人でまた揉めたくないだろ。」 レイズが付け加えた。
そうだ。
ザナヤに電話しなきゃ。
時々会えなくなるのは辛いけど、これはしなきゃいけないみたいだ。彼女もこのことで色々言われてるって分かってるんだ。
彼女は大変な思いをしてるけど、絶対に認めないだろうな。
俺は携帯を取り出して、ザナヤに電話することにしたんだ
俺は眉をひそめた。
なんで出ないんだ?
何度かコールした後、電話に出たときに俺はホッとした。
「ザナヤ、ベイビー。用があっ―」 バックグラウンドから何かの音が聞こえて、俺の声は遮られた。
「ザナヤ?」 俺は席から飛び上がった。
誰かがバックグラウンドで泣いているのが聞こえたんだ。
「セス…」
バックグラウンドから声がした。
「東京?」 混乱して尋ねた。「ザナヤ?」
俺は、お腹がグルグル鳴っているような、不安な気持ちになったんだ。
「うん。泣き止まないの。」 彼女は少し心配そうに言った。
「なんで泣いてるんだ?」 俺は席から立ち上がり、靴を探しながら玄関に向かった。
「言わない方がいいと思う。ザナヤ、怒るかもしれないし。」 彼女が呟いた。
「グレイの番号、教えるよ。」 俺は彼女に言った。彼女がグレイの番号をしつこくザナヤに聞いてたのはよく知ってるんだ。
「ネックレスなくしたの!!!」 彼女はすぐに叫んだ。
マジかよ。
「わかった。寮に行くよ。」 俺は彼女に言って、電話を切った。
「どこ行くの、セス?」 グレイが声をかけてきて、俺は振り返ると、みんなが玄関で俺についてきてるのに気づいたんだ。
俺はしゃがんで靴紐を結んだ。
「ザナヤのとこに行かなきゃ。」 俺は彼らに言った。
「でも、ボスの言ったこと、聞いたでしょ?」
俺はモノの言葉に唸った。
クソ。
もう忘れかけてた。ザナヤが泣いてるのを聞いたら、一瞬頭が真っ白になったんだ。
俺は胸が締め付けられるような気がして、それもまた辛いんだ。
俺は振り返って、彼らを絶望したように見た。
「今回だけ、お願い? 彼女は今、俺を必要としてるんだ。」 俺は懇願した。
彼らが溜息をつくのが聞こえた。
「真夜中までに戻ってきて。全部ちゃんと済ませて。分かってると思うけど、これはお前ら二人だけの問題じゃないんだから。」 モノが説明した。
みんなは俺の状況を哀れむように、悲しそうに俺を見た。
俺はすぐに彼女たちの寮に向かったんだ。
移動中は全部マジで神経質になったよ。すぐに彼女に会って慰めてあげたいって気持ちと、何人かに見られてるからちょっと怖いって気持ちが半々だったんだ。
バレてないといいんだけど。
建物のエレベーターに向かって走って、すぐに彼女たちの部屋の前でノックしてた。
俺が来るのを待ってたみたいに、二回目のノックですぐにドアが開いたんだ。
「セス。」 東京が俺のためにドアを開けて、俺はすぐに中に入った。
ザナヤが床に座ってて、背中をソファにつけて、両腕で膝を抱えて顔を隠してるのを見たとき、俺の心はズタズタになったんだ。
「ザナヤ…」 俺は彼女の名前を呼んだ。彼女の姿を見て、胸に鋭い痛みが走った。
彼女の頬は涙で濡れてて、目は赤く腫れてる。
俺に気づくと、彼女の泣き声は大きくなった。今は大声で泣いてる。
「ベイビー!」 彼女は俺を呼んで泣いて、俺は彼女に駆け寄り、腕の中に抱きしめたんだ。
彼女は普段俺のことをベイビーって呼ばないから、絶対何かおかしいんだ。
「ヘイ…」 俺は彼女を落ち着かせようと、背中をさすりながら、優しく言った。
「私-ッック-私のネッ-ッック-ネックレス。」 彼女は泣き続けてるから、言葉がはっきりしない。
でも、もちろん、彼女が何を言ってるのか分かったよ。指輪のことなんだよね。
「分かってる、分かってるよ。心配すんな。新しいの買おう。」 俺は彼女を慰めたんだ。
「でも、同じじゃない! それ、私たちのだったのに!」 彼女はもっと激しく泣いた。
「ザナヤ…」 俺は囁いた。
彼女の身体が震えてる。
一瞬怖くなったんだ。発作みたいになってるんじゃないかって。
「私が悪かったんだって思ってるんでしょ。」 彼女が付け加えた。
「違うよ。もちろん! なんで怒るんだよ? 大好きすぎて、そんなことで怒ったりしないよ。」 俺は彼女に言って、もっと強く抱きしめたんだ。
彼女は少し落ち着いたみたいだけど、まだ泣き続けてる。
「でも、やっぱり指輪が欲しい。」 彼女は唸った。
俺は彼女の行動に笑ってしまった。
「新しいの買ってあげるよ。いい? 泣き止んで。」
俺は彼女から身体を離して、彼女の顔にかかった髪をどけたんだ。
頬の涙を拭った。
綺麗だな。
彼女はボロボロだけど、彼女を見ただけで、俺の心臓は相変わらずドキドキしてるんだ。それに、目が腫れてても、メイクしてなくても、彼女はマジで息をのむほど綺麗なんだ。
今、俺がどんな気持ちになってるか、お前が知ったらどうなるんだろう。俺はそう思ったんだ。
彼女は俺を見て、ぷいっと口を尖らせて、相変わらず黙って泣いてる。
「じゃあ、こうしない? 部屋に行って顔洗って、リビングで待ってるよ。デートに行こう。」 俺が微笑むと、彼女の目に星が輝いてるのが見えたんだ。
「俺のお気に入りの場所に連れてってあげるよ。」 俺が付け加えると、彼女は両手を組んで、子供みたいに俺を見たんだ。
「デート?」 彼女は少し興奮して尋ねて、俺はただ頷いて微笑んだだけだ。
彼女はマジで可愛いんだ。
「イェイ!」 彼女は歓声を上げて、俺の唇に軽くキスをしてから、すぐに部屋に走っていったんだ。
俺は彼女の行動に顔が赤くなって、東京がくすくす笑うのを聞いて、恥ずかしくなった。
「先輩、マジでメロメロですね。」 彼女が呟いて、俺はただ後頭部を掻いたんだ。
ザナヤ、俺に何してるんだ?