第9章
ザナヤのPOV
セスの腕が壁にドン!ってなって、あたしの体を挟むようにして、あたしの手首をギューって掴まれたから、ちょっとビビっちゃった。
「何してんの?」あたしは、急に怒り出したセスにちょっと怖くなって、そう聞いた。
Senere Musicsでのレコーディングが終わって、あたしはトイレから出て、女子たちのとこに戻ろうとしてたんだ。そしたら、いきなり強い手に引っ張られて、壁にバン!ってやられたんだよ。
背中がちょっと痛かったけど、すぐにそんなこと忘れちゃった。だって、目の前にいるのはあたしの旦那様、セス・デボンで、目がめっちゃくちゃ怒ってるんだもん。
あたし、彼のこと怖くなったの、初めてだよ。こんな風になること、今までなかったし。
「お前、何様?」セスはあたしに聞いてきた。あたしの目をじっと見つめながら。
「何の話?」あたし、何で彼が怒ってるのか、全然わかんない。あたしの寮であったあの一件以来、全然話してないし。
うん、あのこと、覚えてるよ。ちょっとバカみたいだったけど、もうどうしようもないでしょ?
あたしが起きた後、女子たちが質問攻めにしてきた時、あたしは夢じゃなかったんだって気づいた。
彼に言ったことを思い出して、あたしは5分くらい心の中で叫びまくったよね。じゃないと、女子たちが心配するから。
「セスのこと、家族と仲良いなんて、全然言ってなかったじゃん!」カリが聞いてきた。
「え?」
あたしがキョトンとしてたら、マックスと東京が笑ってる。
「ま、秘密主義なとこあるけど、セスは昨日の夜に来て、あなたの好きなもん全部持ってきたんだよ。マジでびっくりしたわ!」カリは感情こもってない感じで言った。
「で、一晩中あなたのお世話してたんだよ」東京は眉をクイッてしながら言った。
「あれ、夢じゃなかったんだ…?」あたしは口をあんぐり開けてつぶやいた。
あたしは顔を両手で覆って、心の中で叫んだよね。
バカ、ザナヤ!!!!
あたしは顔を上げた。3人が笑い転げてるのが見えたから。
「あなた、彼のことめっちゃ抱きしめてたよ、覚えてる?」マックスがそう言った後、あたしの目は恐怖でいっぱいになった。
そして、あたしが彼に「いて」ってお願いしたこと、思い出した。
やばい、ザヤ、マジでピンチ。
「セス、イビキ聞こえたと思うよ」
あたしはカリに枕を投げつけた。彼女の言ったことに対して。
あたしはスマホを取り出して、ママからの未読メッセージを見た。
ママ: なんで旦那さんに寮のこと教えないの?すごく心配してたわよ。元気になったら電話してね。気をつけて、うちの子。パパとママは心配してるから。愛してるわ。
後で電話しよっと。
あたしは、キャーキャー騒いでる女子たちを睨んだ。
「キモイ」あたしはそう言った。もし彼女たちが、あたしと彼の間のことを知ってたら、きっとビックリするだろうね。
あたしは彼にメッセージを送ることにした。
だって、お礼を言うくらい、別に大したことじゃないでしょ?
あたし: 昨日はありがとう。迷惑かけました。
あたしの心臓はドキドキし始めた。彼、メッセージ見てくれたかな?
5分経っても、返信なし。10分…何もなし。
そしてあたしはスマホを投げ捨てた。何期待してたんだろ?ママがそう言ったから、来ただけなんでしょ。別に、それ以外で来る理由なんてないじゃん?
「マジで困らせたいの?チャラチャラすんな!お前、そんな立場じゃないだろ!」
彼の鋭い声が聞こえてきて、あたしは現実に戻された。
あたしは眉をひそめた。血が沸騰してきた。
何様だよ?あたしがチャラく見えるの?
「いつチャラついたの?それに、あんたに関係あること?あたしたち、別に本当に付き合ってるわけじゃないじゃん!」あたしは彼に言い返した。
彼はあっけに取られたようだった。
「何だって?」彼はあたしに尋ねた。
「だって、どうせあたしと結婚したままじゃないでしょ。あたしの知る限り、あんたは、あんたと彼女が結婚することになったら、すぐに離婚するんでしょ」あたしはつぶやいた。
あたしはバカじゃないから。この関係が永遠に続くわけじゃないこと、知ってるよ。いつか、彼は飽きて、いなくなるんだ。
彼があたしを置いていくんだ。
「へえ」彼はつまらなそうに髪をかき上げながらつぶやいた。「だから、お前がやってることを、あたしのせいにしてるんだ?信じらんないよ」
あたしは目を回した。
「なんであたしがチャラついてるって言い張るの?誰とチャラついたって言うの?」あたしはちょっとイライラしながら聞いた。
正直、彼があたしを悪い子みたいにしようとしてるのが、ちょっと傷つくんだよね。
「見てたんだよ!お前がチェイスに番号教えてるの!もし人に見られたらどうするんだ?あたしたちの家族がどう思うか、考えてないのか?」
あたしは両手で顔を覆った。
ああ、そういうことか。一瞬、彼が嫉妬してるのかと思ったけど、やっぱり、家族のことしか考えてないんだね。
あたしは彼を睨んだ。
「あたしたちは一緒にパフォーマンスするんでしょ。ただのパフォーマンスだよ。思い出すけど、あんたは今、たくさんの女の子と噂になってるけど、あたしは何も言ってない」あたしは少し声を荒げて言った。
本当だよね。ファンが彼を色んな人とくっつけようとしてるのを見るのは、すごく嫌なんだ。彼らが本当に付き合ってるんじゃないかって、動画まであるんだよ。あたしは、それについて尋ねることすらできないのに。
彼はあたしの突然の激しい言葉に驚いたようだった。彼は両手を下ろして、彼の目が急に優しくなった。
「あー、うーん」彼は下を見た。
この子は黙ることだってできるんだね?
「見たんだけどー」
あたしたちが顔をそっちに向けた時、サリーとジョイがHAPPINESSっていうグループから来て、あたしたちが一緒にいるのを見て驚いた。特にサリーは、セスの目にすぐさま目が釘付けになった。
そうなんだよね。彼女たちは付き合ってるって噂されてるんだ。
女子たちはあたしたちを見て驚いた。
あたしは彼の腕から逃れようと、自分の腕を動かした。
「先輩、こんにちは」あたしは頭を下げて挨拶した。彼女たちも同じように頭を下げ返してくれた。
あたしはまたセスを見た。彼はぼーっとしてる。「先輩、床で滑った時、助けてくれてありがとうございました。ありがとうございます。じゃあ」あたしは彼に頭を下げて、あの緊張感漂う路地裏から逃げ出したんだ。
あたしたちは何かあるんじゃないかって、人々に思われたくないんだ。特に彼の彼女が目の前にいるかもしれないから。
それを想像するだけで、あたしの心は痛む。
彼とあたし、それってちょっとありえない話でしょ?
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