第6章
セスのPOV
「おいおい、おまえ、姫抱っこで運ぶ必要あんのかよ」モノが俺を小言を言った。
あいつが何を言いたいのかはわかる。俺たちのこと見て、勘違いする奴もいるだろうし。
「あいつ、まだ駆け出しだろ。おまえら二人のこと見られたら、叩かれるぞ」レイズもそう言った。
俺たちは今、寮に戻ってきたところだ。先に男どもが行っちゃったから、俺とスカイは仕方なく後からついてきたんだ。
「レイズ、セスを責めるなよ。ザナヤはマジで具合悪かったんだ。ソファーに背中つけた瞬間にぶっ倒れたんだから」スカイを見て、ちょっと感謝する。俺のことフォローしてくれたからな。
デモの溜め息が聞こえた。
「わかってるよ。ただ、セス、おまえだけじゃなくて、あの子のことも心配なんだ。この業界じゃ、付き合ってるってバレたら、一番叩かれるのはいつも女なんだよ」
「でも、俺ら付き合ってないし」俺は答えた。いや、実際は結婚してるんだけど。心の中でそう呟く。
「わかってるけどさ、なんか、お互い知り合いっぽいじゃん」モノが変な顔で俺のこと見てくる。
俺はあいつの目を避けた。「何の話?俺ら知り合いとか、ありえなくない?」
男たちに話してやりたいけど、無理だ。迷惑かけたくないし。
「でも、好きなんだろ?」スカイがそう付け加えた。眉毛が上がってる。
グレイがクスクス笑った。「あーあ、セスも大きくなったなー!」
俺はグレイに飛びかかって、軽く殴った。
「おまえより年上だっつーの」俺が言うと、他の奴らは俺らがじゃれ合ってるのを見て笑ってる。
ストームは隅に座ったままで、目を開ける気配すらない。
「でも、無理もないよな、ザナヤ、マジで可愛かったし」スカイが叫んだから、睨んでやった。
「ほら!」スカイが俺を指差した。「今の睨み見た?」
「セス、マジでゾッコンじゃん」デモが笑った。
「ちげーし。あいつ、倒れそうだったから助けただけだろ。お前らだって同じことするだろ!」俺はそう言った。
「まあな。で、まだそんなに親しくないのに、姫抱っこする勇気はないと思うけどな。だって、その日会ったばっかりみたいなもんだし」
他のやつらも同意した。
「あいつのこと見てみろよ。まるで彼女を世話してる彼氏みたいだったぞ。あーあ」
またしても、スカイを睨みつけた。グレイを抱きしめて、さっきのことについてキャッキャ騒いでる。
「うっせー。別に、あいつのこと好きじゃねーし」俺はそう言った。
「そうか、そうか。そう思ってれば、夜もよく眠れるだろ、セス」
時々、モノってマジで勘が良すぎて嫌になる。
別に、あいつのこと好きとかじゃないし。まあ、前は嫌いだったけど、あれはもう1年前のことだし。
結婚することになったって聞いた時、別に反対とかしなかったんだ。で、あいつを見て。知ってたんだ、あいつのこと。BPエンターテイメントの練習生で、もうすぐデビューだって。
そしたら、他の女たちが、多分あいつのいとこたちだと思うんだけど、俺らの結婚について話してて、俺ら似合いすぎるとか、もし結婚したら一番話題になるカップルになるとか、そんなことばっかり言ってて、それでムカついたんだ。
あいつが、俺と結婚できるように、裏で何かやったんじゃないかって思ったけど、いきなり俺のこと突き放してきたから、わけわかんなくなっちゃったんだよな。
多分、心の奥底では、あいつはそんなやつじゃないって思ってるけど、最近の奴らは信用できないし。
結婚して1ヶ月後、俺は酔っぱらってて、スマホ見てたら、あいつの名前が連絡先に登録されてるのを見つけたんだ。
バカザナヤ
それで登録してんだよな。
情けないってわかってるけど、まだムカついてたんだ。あいつのせいで、俺はソファーで寝る羽目になったし。一晩中、背中が痛かったんだから。
気づいたら、あいつにくだらないメッセージをいっぱい送ってたんだよね。
起きた時、自分が何したのか気づいて、めっちゃ呪ったよ。でも、あいつは返信してくれなかったんだよな。既読にはなってたんだけど。
レイズに、めちゃくちゃ怒鳴られて大喧嘩になりかけた。
で、Serene Musicであいつを見たんだ。
顔が変わってた。もともとあった可愛いほっぺはなくなってたし。痩せたけど、顔のパーツがシャープになってた。
マジで綺麗。そう表現するしかない。
で、やっぱり、俺のこと嫌ってるんだよな。
あいつには言わないけど、あいつがここまで来たこと、マジで誇らしいんだ。
あいつらの曲、ヒットしてるし、俺と男たちにも、才能あるってマジでわかるんだ。
さっきも、マジでよかった。具合悪かったのに、ちゃんとパフォーマンスできてたし。
あいつのメンバーが到着して、俺とスカイはすぐにバイバイしたんだ。
メンバーたちは、俺らのこと見て、ちょっと混乱してたと思うけど、質問するのをやめて、先にザナヤの世話をすることにしたんだと思う。
俺はスマホを取り出して、あいつにメッセージ送るかどうか悩んだ。
でも、好奇心には勝てなくて、結局送ることにした。
まず、男たちが俺のこと見てないか確認した。
俺:調子どう?
ちょっとドキドキする。返信くるかどうか、わかんないし。
5分後…
10分後…
30分…
まだ返信なし。
「おい、ザナヤ、トレンド入りしてるぞ」
俺は顔を上げて、グレイが他の奴らにスマホ見せてるのを見た。
俺もスマホ見てみたら、グレイが言ってることわかった。ハッシュタグが作られてたんだ。
#元気出してザナヤ
リンクを見てみたら、他の3人の女の子がライブやってて、ザナヤは一緒にいなかった。
マジで具合悪いのかもしれない。
他のSNSも見てみたけど、まだ、あいつのこと考えちゃうんだ。
え?メンバーと一緒にいるんだろ。絶対、世話してくれるよな?
目を閉じてリラックスしようとしたけど、すぐに、具合悪そうなザナヤの姿が頭に浮かんでくる。
「うー!」俺はイライラして溜め息をついた。
「おい、どうした?」デモが隣に座って聞いてきた。
おまえに話せたらいいんだけどな。
「別に。ただ、頭がちょっとクラクラしてきただけ」
「まじ?じゃあ、休んどけよ、セス」デモがそう付け加えた。
俺は席を立って、自分の部屋に向かった。でも、ある考えが頭に浮かんだんだ。
ちょっとおかしいかもしれないけど、もういいや。
連絡先から番号を選んで、ダイヤルすることにした。
ツーコール後…
「あらー、うちのイケメン息子殿、元気にしてる?」
声を聞いて、俺は笑った。
「お義母さん、またね…」