第45章
ザナヤのPOV
「うわ、マジかよ、あいつら本当に付き合ってたんだ。」
「でも、セスのやつ、ずっと前にサリーと付き合ってなかったっけ?」
「時間軸がおかしいよね。セッちゃん、サリーと付き合いながら、彼女と浮気してたってこと?」
「そう思う?」
「かわいそう。たぶん、それが彼女が病院送りにされた理由なんだろうね。セスに振られたのが受け入れられないんだよ。」
ステージの横を通り過ぎるとき、スタッフたちの噂話を聞いて、お腹がキリキリしちゃった。
病院から出てきてから、もう2週間。今日は大学のフェスティバルでパフォーマンスする予定なんだ。
他の女の子が言ったこと聞いて、思わず二度見しちゃったよ。
「あのネックレス、もうしてないことに気づいた?」
「でも、サリー、さっきパフォーマンスしてたとき、同じネックレスしてたはずだよ。」
ありえない。
そんなの無理だって。あれ、ストームに渡して、セスに渡してもらうように頼んだんだから。
「気にしないで。」カリが私の手を掴んで、私達の曲のフォーメーションに向かってる。
大勢の人が歓声をあげているのを聞いて、私の顔には笑顔が広がった。
曲が始まったら、周りのネガティブなことは全部シャットアウトして、体が覚えているように踊った。
アドリブも色々入れて、楽しんでたんだ。
みんなの前でパフォーマンスするの、本当に久しぶり。もう永遠にやってない気分だったし、大勢の歓声を聞くとアドレナリンが爆発する。
みんなが一緒に歌ってくれるたびに、自然と笑顔になっちゃう。
この気持ちは絶対に手放せない。みんなにオープンに愛されるって、最高だよね。
最初の曲が終わって、息を整えようとした。
「みんな、楽しんでるー?!」って、大声で叫んで、みんなを盛り上げようとした。
もちろん、みんなはすごく喜んでくれた。
「こんな素敵な場所で、みんなの前でパフォーマンスできて、本当に嬉しいです!これからもWHISTLEを愛してください!私たちもみんなのこと、大好きだよ!」って、私とメンバーは、定番のハートマークを作って叫んだ。
東京が興奮してキャーキャー言ってる。歓声がどんどん大きくなって、私の胸のつかえが取れた感じ。
ファンのみんな、大好き。
横にいるメンバーを見て、意味深な笑顔がこぼれた。
「これはStayです。」って、みんなに伝えたら、またスタジアムが歓声で包まれた。
すぐに4曲全部終わって、みんなにバイバイした。
もっと長くいたかったな。
メンバーは楽屋に戻ったけど、私はトイレに行こうと角を曲がった。
最悪の選択だった。
一人で行くべきじゃなかった。だって、私の「一時的な」王子様を奪ったビッチが目の前に立っていたんだから。
私を見て、ニヤリとした。
マジでビッチ。
周りを見渡したら、誰もいなかった。
まあ、こんな状況じゃなかったら、あんな顔してこないよね。
「ザナヤ…」って挨拶してきたから、思わず飛びかかって、この悪魔の顔面を張り倒すのを必死で我慢した。
私は決して暴力的じゃないけど、怒る権利はあるよね。
「こんにちは。」って冷たくうなずいた。彼女のドラマに付き合ってる時間はないんだ。
前に進んで、彼女のことは見なかったことにしようとしたんだけど、そうはさせてくれなかったみたい。
次に何が起きたかというと、彼女が私の腕を掴んで、私を止めようとした。
私は足を止めて、彼女と向き合った。彼女に眉を上げて見たら、ちょっとたじろいだみたい。
でも、彼女の決意はすごく強かったらしく、また私を見た。
「セスに会うのはやめて。私たちは今、一緒にいるの。」私の眉毛がこれ以上上がったら、スタジアムの屋根に届きそうだった。
「もう会ってないよ。あなたのものだよ。」って冷たい声で言った。マックスなら、彼女の大好きなミルクアイスクリームを凍らせられるくらい。
「信じないわ。セスがあなたに会いに病院に行ったんでしょ。」って言われたから、ストームが言ってた通り、セスが本当に私を見舞いに来たんじゃないかって疑いが深まった。
知らないふりをした。だって、私自身もよく分かってないんだから。
「会ってないし、どうでもいいわ。」って、彼女の手を振り払って、向き直って言った。「それに、なんであなたの彼氏に話さないの?私を困らせるの?なぜ?自分の男をコントロールできないの?」
どこから勇気が出てきたのか、自分でも分からない。
「だから、彼に会うのはやめて!」って彼女が叫んで、私は怒りで目を細めた。
図々しい。
「会ってないって!でも、私たちが付き合ってるって知ってから、そうしたんでしょ!」って、彼女に一喝したら、彼女はたじろいたみたい。
涙が出てきちゃった。
私の涙を見て、彼女はびっくりした顔をした。
「私たちは友達だったのに。私たちが付き合ってるって知ってたのに。」って、悲しそうにつぶやいた。
「あなたを信じてたのに。」って、確信を持って言ったんだ。
「あなたが彼と付き合ってる時に、みんながそう思ってたのに、私は何も言わなかった。だって、あなたをまだ友達だと思ってたから。」
変な笑いが漏れた。
「私の気持ちのこと、考えたことある?私がどんな気持ちになるか、考えたことある?」って責めた。
心の中で感じてた全ての痛みが、ゆっくりと私を追い詰めてくる。
友達に裏切られるのはつらいし、ましてや、一番大切な人を奪われるなんて、もっとつらい。
ジェイミンとの結婚がどう終わったのか、誰も知らないのに、まだ胸が痛むんだ。
「あ、あ…彼を…愛してるの。」って、彼女は地面を見つめて言ったから、私は天井を見上げた。
「ああ、マジか。」ってつぶやいた。
「まあ、おめでとう。」って言った。「だって、彼はあなたを愛してるんでしょ。だから、二人は一緒にいるんでしょう?」って言ったら、彼女の目に何か奇妙なものが映った気がした。
罪悪感?
用を済ませることを忘れ、振り返ろうとしたら、キラキラ光る金属が視界に入って、彼女の方を向いた。
私の手は自然と、彼女の首にぶら下がってるものに伸びて、それを見た瞬間、目が見開かれた。
私の結婚指輪だ。
「なんでこれ持ってるの?」って尋ねた。今度は、残っていた全ての我慢が、薄い空気の中に消え始めた。
彼女は、私が掴む前にネックレスを奪い取った。
「セスがくれたの!」って、少し怖がって言った。
「彼が何だって?」って、混乱して聞いた。
「彼がくれたのよ。いつも、ずっと、セス・デボン。」って言った。
私の世界が目の前で崩壊していくのを感じた。
心臓はいつもの10倍の速さで鼓動してる。
「そんなのありえない。あなたにあげるわけがない。」ってつぶやいた。彼女に言うより、自分自身に言い聞かせてる感じだった。
「本当よ。だから、もうやめて。彼は私のものだから、自分の立場をわきまえて。」って言って、私を一人残して立ち去った。
嫌だ。
ポケットからスマホを取り出して、ストームの番号にダイヤルした。
前回何かあったときのために、彼がくれたんだよね。
「ザヤ?」掠れた声で、寝てるのかな。
「ストーム、あのネックレス、セスに渡した?」って、パニックになって聞いた。
「ジャケットに入れておいたよ。なんで?返してほしいの?」って。
やっぱり、私の結婚指輪を彼女にあげたんだね。
涙が頬を伝って流れた。
「泣いてるの?」って、彼は驚いた様子だった。
「ストーム、セス、サリーにあげたんだ。」って伝えた。
妹が兄に何かを訴えるみたいな言い方になっても、別に気にしない。セスと私の本当の関係を彼は知ってるんだから、今、彼しか頼れる人はいないんだ。
「何だって?」って、電話の向こうでガサガサ聞こえた。
「ストーム…もう終わりにしたい。もう耐えられない。」って伝えて、電話を切った。
セスと私は、もう一緒にいることはできない。
このドラマは、いつか私を殺すかもしれない。
スマホでメッセージを打った。
「これで終わりにしましょう。」
って、彼の番号に送ったんだ。
頬の涙を拭った。メンバーのところに戻らなきゃ。心配してるかもしれないし。
だから、今度は彼を諦めるんだ。
永遠に。