第81章
ザナヤのPOV
「ザヤ…」カリが私の名前を呼んでいるのが聞こえて、少しだけ顔を上げた。
「なあに?」って聞いたら、彼女はちょっとしかめっ面。
「また、ぶっ通しで見てるでしょ。目、悪くなるわよ、バカ」って、私の隣にどすんと座る前に呟いた。私が座っている横にあったボウルからポップコーンをわし掴みして、口の中にいくつか放り込んでた。
私が観ていた映画を一時停止して、彼女に眉をひそめた。
「何?」って彼女が呟いたんだけど、その笑顔がぎこちなくて、あのセスのことで私が爆発して以来、彼女と他の子たちがそんな風に振る舞っていることに、急に罪悪感を感じ始めた。
携帯がビープ音を立てて、新しいメッセージを受信したことを知らせてきたので、私は横を向いた。カリは明らかにそれに気づいたみたい、だって私の携帯はテーブルの上に置いてあったんだもん。
ストームが「大丈夫?」ってメッセージを何度も送ってきていたんだけど、私は一度も返信してなかった。
彼は私のことを心配してくれているだけだってわかってる、だって彼は私をまるで妹みたいに扱ってくれてるんだもん。彼の優しさはすごくありがたいんだけど、それだけじゃ気分は良くならない。
一週間。
マジで一週間も経ったのに、セスからは一言もメッセージがない。電話も何もない。ストームのメッセージを読んだけど、彼はとりあえずセスに距離を置くようにって言ってた。
私が彼にどんな距離を置かなきゃいけないのか、そもそも彼にそんな距離が必要なのか?
まあ、前回彼が言ったこと全部考えたら、彼は自分だけで消え去って、必要な距離全部取ればいいんだよ。
私がどんなにイケてるか分かったら、私をポテトみたいにポイ捨てするような人なんて、いらない。
彼なんていらない。だって、私は強い女なんだから。
「結局、いつか彼と話す必要があるんでしょ?」ってカリが言った。黙って忘れてしまいたかった。考えたくない、彼のこととか、私の状況とか。
「自分の元カレを避け続けてるくせにね?」って私がニヤリと笑ったら、彼女もニヤリとした。
私はソファーに背中を預けて、目の前の空っぽの空間を見つめながら、彼の言葉を思い出していた。
彼が口にした言葉は、美しくて、無私無欲だった。
でも、それは私のためではなくて、明らかに私よりもずっと大切な人たちのためのものだった。
そして、私にはそれが理解できるんだ。
理解できるのに、まるでトラックに轢かれたみたいに痛いってのが嫌だ。
彼が私と出会う前に、彼と一緒にいた人たちがいたんだ、まだ苦労していたあの瞬間から、もうすぐトップにいるまでの間。
いや、彼らはトップにいるんだ、そこで頑張ってきた私たちの先輩たちと一緒に。
そして、私たちが政略結婚したっていう事実が、何度も頭に蘇ってくる。
彼が私を愛しているってことはわかってる。感じるんだ。彼が私を気にしていないって言ったら嘘になるし、彼は気にしてる。
たとえ一週間も話してなくても、彼がまだ気にかけてくれてるってわかってる。
私の勘がそう言ってる。
でも、私も傷つく権利はあるんじゃない?
少なくとも今は、私が実際にどこに立ってるのかわかってる。
色んな問題に遭遇して、それを一つ一つ乗り越えてきたとしても、私たちが持っている絆は、最終的に彼が私を選ぶほど強くはないってこと。
でも、私は彼に選んでくれって頼んだことなんてない。
彼は自分で決めたことで、それは私たち二人のためなんだ。
昨夜、色んなことを考えた。
私の自己価値、そして私がどこまで与えられるのか。
もしWHISTLEとセスの間で選ばなきゃいけないとしたら、私は彼のためにメンバーを捨てる覚悟ができてる?
私はカリの方を向いた。彼女の表情は、私が数分間ぼーっとしてたのに気づいたっていうくらい、長い間私を見てたってことを物語ってた。
「もしストームが、今すぐあなたと一緒にいたいって言ってきたら、私たちWHISTLEを置いていく?」
彼女は一瞬、あっけにとられた顔をして、視線をまたテレビに戻した。
そして、私は沈黙に包まれた。
なぜセスがあんな考えに囚われていたのか、すごく知りたかったから、他の人の意見も知りたかったんだ。
できる限り、いつからなのかも分からない、私たちが保とうとしてきた関係を救おうとしているんだ。
「辛い」って私の声が震えた。
一週間も溜め込んでいた感情が、ゆっくりと私の防御を崩していく。
いつもの泣き虫、ザヤ。
昔からの癖はなかなか直らないってのは、本当みたいだね。
「わかってる」って彼女が答えた。
「ストームが私をまるでゴミみたいに捨てた時、私の世界は目の前で崩壊したって感じたの」って彼女が話し始め、彼女の声の苦味が味わえる気がした。
「彼は私を、まるで何もないみたいに置いていったの」
「カリ」って、私は彼女の手を心配そうに握った。
一瞬、罪悪感を感じた。
カリはすごくうまくいってたのに。なんで私は自分の問題を彼女の前で爆弾投下しなきゃいけないんだろ?
「うん、私も多分、ストームに同じことされたんだと思う」って彼女は作り笑いをしてたけど、それはギリギリで保ってるってわかってる。
私は彼女に、ストームは彼女を置いていったんじゃないんだよって言いたい気持ちだった。
でも、それは私が言うことじゃない。
カリが言ったことについて、ストームに話さなきゃいけないって、頭の中でメモした。
「正直、あなたに対して申し訳ないって感じてるの」って彼女が言い始めて、私は彼女の顔に流れる静かな涙を見て、心が痛んだ。
「過去にしたことについて、本当に謝ったことがなかったの、セスとの連絡を止めろって頼んだこととか。私は自己中心的だったし、あなたは私にノーって言えたのに、それでも従ったのは、あなたが気にかけてくれたから」
彼女は頬の涙を拭いて、私は一言も発しなかった。代わりに、私は落ち着いて聞き続けた。
「あなたが一人で辛い思いをしてる時は、私たちはそこにいなかった。あなたの友達である私たちは、あなたが一人で苦労していることにも気づいてなかったの。そして今でも、あなたはもっと大きな障害に直面しようとしている」
ため息が私の唇から漏れた。
「あなたは強い女よ、ザヤ。覚えておいて、友達と家族はいつもあなたの味方。そして、あなたがどんな決断をしようと、人生のこの段階をどう乗り越えようと、WHISTLEがあなたの味方だってことを忘れないでね」って彼女は私に微笑んだから、私も同じように微笑んだ。
「でも、セスなしで生きていく覚悟はできてる?」って彼女が聞いてきて、私は目から涙が溢れないように唇を噛んだ。
「わからない」って私は囁いた。「っていうか、彼が私なしで本当に生きていけるなら、それはもう関係ないこと?」
喉が締め付けられて、痛み出し、手も震え始めた。
「セスがあなたを愛してるってことは、知ってるでしょ?」
「わかってる。でも、彼は今、私と一緒にいるために、私を十分に愛してないんだと思う」って私は言って、口の中から苦い味がした。
「ってことは、あなたはセスを手放す覚悟ができてるってこと?」って彼女は私をじっと見つめた。
私の口は沈黙の中でうごめき、彼女の質問に答えることができなかった。
私たちが5分間くらい沈黙していた時、彼女がくすくす笑うのが聞こえた。
「本当に、物事って皮肉なものよね。私がストームと別れて、あなたがセスと別れる可能性がある。でも、マックスはスカイに追われてるし、東京はどこにいるのか全然わからないけど、多分グレイの人生を邪魔してるんじゃないかな」って彼女が言って、私は微笑んだ。
「私たちのグループって、いつも彼らに惹かれてるみたいだよね?」って彼女は締めくくった。
「それが面白いのかどうかもわからないけど、本当にそうだね」って私は同意した。
その時、携帯が点滅したのが見えた、またメッセージが来たんだ。
今度は、私の心の中でとても大切な人の名前が表示されて…
お腹がグルグルして、体の毛が全部逆立った。
「話がある」
これで終わり?彼は今、私を置いていくの?