第21章:クイズ
クイズ |
キスって、付き合うってこと? だって、ただのチュウだったけど、あれはキスだったし。それに、なんであいつが私にキスしたんだよ。まだ付き合ってないのに。「まだ?」って、心の隅っこが聞いてくる。「つまり、彼氏が欲しいってこと?」って、頭の中でこだまする考え。
マジか! あいつのせいで頭がぐちゃぐちゃで、全然寝れないじゃん! 隣のレイナはもうイビキかいてるし、私は…まだ全然目が冴えてる。なんだろうけど、あの日のこと忘れようとして、狭いベッドの上でゴロゴロしてる。でも、無理なんだよね。あの考えが消えてくれないみたい。
あのクソヤロー! 明日、覚えとけ! 後悔させてやる!
ほっぺをつねられて目が覚めた。目を開けたら、レイナがいた。「おはよー、ベッカ。リナスのせいで寝不足? 昨日は遅くまで起きてたみたいだけど?」
「何時?」って、私は腕を伸ばしながら聞いた。
「7時半—」
「7—何時?」って、聞き間違えてないか確認したかったんだ。
「7時半。」
「えー!マジか!」って、私は思わず口に出しちゃった。遅刻する! 今日クイズあるのに、あと30分で授業始まるし。スリッパ履いて、タオル持って、バスルームに駆け込んだ。
「ほら!リナスにOKしちゃえば、あいつのことそんなに考えなくなるのに!」レイナが叫んだ。こんなところで聞こえるなんて、他のルームメイトにはもっと聞こえてるんじゃない? あいつってやつは…もう!
「黙っててくれない? ちょっと一人にして!」って、私はドアをノックして、マジギレ寸前だって伝えた。レイナの笑い声と、ドアが閉まる音が聞こえただけ。
シャワー浴び終わったら、膝丈の黒いデニムスカートに、Vネックの白いシャツを着た。白いスニーカーを履いて、パウダーとリップティントを塗って、さあ出発! でもその前に、一瞬だけ自分の姿を鏡で見てから、トートバッグを持って家を出た。
朝ご飯食べる時間なかった。だって、あと1分で遅刻しちゃうんだもん。遅刻とか、ありえないし。
教授より先に教室に着けて、ホッと一息。ナナと私は席が違うんだよね。ナナは左側で、私は教室の後ろの右側。
前日に予習しといてよかった! じゃないと、Fとってたかも。
数分後、教授がクイズの紙を持って入ってきた。それを各列に配って、生徒に回させた。
リナスは、この科目は一緒じゃないんだよね。ほとんどの科目は一緒じゃないんだけど。文学だけ一緒なんだ。くそ、またあいつのこと考えてる。あいつの学科すら知らないのに。あいつのこと、何も知らないんだよな。ただ、ここの学生だってこと、金持ちだってこと、地下格闘技やってること、ウェイターやってるってこと、それだけ。それだけなんだよ。まあ、私も一緒だけどね、あいつは私のこと何も知らないし。
私達、お互いを知る時間とか必要? でも、たぶん、そんな機会はないんだろうな。だって、後でリナスに、もう私を口説かないでって言うつもりだし。もっと相応しい人を見つけて、幸せになってって。私なんか…ただのモブだし。あいつらの世界には絶対合わない。
でも、神様はいつも計画があるんだよね。もし、いつか、あいつらと話すことになったらどうしよう。私は心の中で笑った。バカみたい。
クイズはそんなに難しくなかったから、終わったらすぐに提出して、さよならって言った。ナナを廊下で待ってた。
「マジで、クイズ難しかったんだけど」って、ナナはドアを開けて出てきて言った。
私は笑った。「予習してたら簡単だったじゃん」って。
ナナが私の左腕に腕を回して、一緒に廊下を歩き始めた。生徒たちは外で話してた。私は深呼吸した。「リナスの学科って知ってる?」って、私は突然聞いた。自分でもびっくりしたけど。
「え?」って、ナナが聞いた。
「何でもない」って私は答えた。
「リナスと学科って言った? うーん、私も知らないんだよね。知ってることって言ったら、あいつは高学年で、イケメンで、かっこよくて、喧嘩強いってことくらいかな」って、ナナは言って、くすくす笑った。
「あいつのこと好き?」って私は聞いた。
「うん。なんで? あんたは、そういうタイプの男に惹かれないの? マジで、あいつの筋肉見た? ちょっと動くと、筋肉がピクピクしてて。彫刻みたいな顎、綺麗すぎる目、それにシックスパックどころかエイトパックの腹筋が、上半身裸のときとか…ヤバくない?」って、ナナは男の姿を想像して、自分の唇を噛んだ。
「マジ、完全に変態だよ」って、私は言って笑った。
「だって、事実だし。で、あいつの彼女になったら、マジで…その子はラッキーだよ」ってナナはった。
私は咳払いをひとつした。「そう思う?」
ナナは立ち止まって、私を見た。私は下唇を噛んだ。「何?」って私は片方の眉を上げて聞いた。
「あんたは、あいつに惹かれないの? だって、一緒に仕事してるじゃん。いつも会ってるんだし、もしかして、恋してるように見てたりするの?」
「は? 違うよ!」って私は答えた。何言ってんだ?
「気にしないで。C.Uのチアリーディングチームの有名なリーダーが、あいつのこと好きなんだと思うんだよね。確か、名前は…何だっけ?」ってナナは考えたふりしながら、次の授業に向かって歩き始めた。
「あ!思い出した…ケイシャだよ」
「ケイシャ、誰?」
「ケイシャ・ジョーンズ。卒業生で、まだC.Uには戻ってきてないんだ。ニューヨークでインターンシップしてるんだって。たぶん、来週には帰ってくると思うんだけど」ってナナは言った。
「リナスより年上?」
「気になる?」ってナナはからかってきた。私は頷いた。「わかんない。たぶん、同い年じゃないかな」
私は何度も頷いた。もし、ケイシャがあいつのこと好きで、それに、あの女の子はチアリーディングチームに入ってるくらい有名なんだとしたら…リナスは知ってるのかな? 聞いてみるべき?