第5章:アルバイト
アルバイト |
次の日の朝、早く目が覚めた。レイナが朝ごはんを買いに出かけて、あたしはパソコンで書類作ったり、自分のプロフィール埋めたりするのに忙しくて残ってた。学校始まる前にアルバイト探そうと思ってさ。
終わったら、身支度を始めた。いつものルーティンで、お風呂入って、着替えて、お粉を顔にパタパタして、唇にリップ塗った。
茶色の封筒に書類入れて。昨日行ったレストランにこれ渡しに行こうと思って。多分募集してると思うんだよね。だって従業員3人しか見なかったし—レジの人とウェイトレス2人。ダメ元でやってみようかな、どうなるか分かんないし。
カバン閉じようとしたら、レイナがドア開けて、左手にビニール袋、もう片方の手にプラカップ2個持ってる。
「食堂にめっちゃ学生いるんだけど、まだ朝の7時なのに」ってボソッと言って、テーブルの上に袋とカップ置いた。
「そーなの?C.Uの学生は早起きなんだね。だって、遅くまで起きてるのって、ビッチとクズだけだと思ってたもん」
「だよねー、あとさ、デンマークの王子様が来たって噂あるよ」
「は?マジで?デンマークって、王族のための学校とかあるじゃん。なんでここに?」
レイナは紅茶のカップ開けて一口飲んで、あたしにもう一個くれた。あたしはそれを受け取った。
レイナは肩をすくめた。「分かんない。下の階で、なんかオタクみたいな人たちが話してるの聞いたんだよね」って言った。
デンマークって、そのコミュニティとか施設とかで有名じゃん。国王も、世界中で色々プロジェクトやってて有名だし、デンマークで一番面白いのは、フェアリーランドに連れてってくれる魔法の部屋があるって噂があるんだよね。あたしはいつも本で読んでるけど。その魔法の部屋のこと信じてる人もいるし、信じてない人もいる。
あたしも、証拠がない限り信じないけどね。
「ま、とにかく、昨日行ったレストランにまた行ってくるね。これ渡しに」って言って、持ってた封筒を持ち上げた。
「いいよー」ってレイナが返事して、食べ始めた。
「これ渡して、すぐ戻ってくるから、一緒に色々見て回ろうよ」
「もし、すぐに採用されたら?」ってレイナが聞いてきた。
それもあるかも。「そしたら、働き始めるけど、まあ、他の時にゆっくり見れるし」
「そっか、いいよ。結果はまたLINEしてね。あたしはここにいるから」ってレイナが言った。
あたしは頷いて、食べ続けた。食べ終わったら、リップちょっと塗り直して、外に出た。レイナはあたしを階下まで見送ってくれて、手を振ってくれた。
レストランのチャイムがチーンって鳴って、あたしは入った。まだ朝の8時で、お客さんそんなに多くなくて、みんな食べてる感じ。食堂にいっぱい人がいたのは、そういうことだったんだね、レイナが朝ごはん買ってきたとき。
「こんにちは」ってレジの人に挨拶した。「あのー、店長さんいますか?」って丁寧に聞いた。
女の子はニッコリして、ちょっと待っててって言った。戻ってきたら、40代くらいの女性と一緒で、眼鏡かけてる。
「おはようございます」
女性は返事しなかった。あたしを上から下まで見てきた。眼鏡を下げてあたしを見る。あたしは、気まずく笑った。どうしたらいいか分かんなくて、また笑った。
「何しに来たの?」って、威圧的な声で聞いてきた。
あたしは咳払いして、きちんと立って。「あの、仕事に応募しにきました」
女性は左眉を上げた。「私たちに人手が必要に見える?外に募集の貼り紙とかあった?」って、きつく聞いてきた。
あたしは目を見開いた。怒ってる?何かしちゃった?でも、従業員3人しかいないし。
「あ、あの、ただ、やってみようと思って。昨日、3人しか働いてるのを見なかったので、もしかして必要かなって。ごめんなさい」
あたしは振り返った。ヤバい、恥ずかしい。歩きだそうとしたら、その性が止めた。
「採用!」
え?何?今なんて?採用?あたしはすぐに振り返って、その女性と向き合った。「あ、本当ですか?」
女性は腰に手を当てて、あたしを見てる。「今言ったこと、なかったことにしてもらう?」
あたしは首を振った。「いいえ、ありがとうございます」って言って、頭を下げた。
「もし良ければ、今から始めてもいいわよ」って言った。
彼女は、あたしに背を向けようとしたとき、あたしが止めた。「あの、これ、確認とかしないんですか?」って、茶色の封筒を見せながら聞いた。
「必要ないわ。あなた、観察力あるでしょ。観察力は、自己認識だけじゃないのよ。自分を観察することも大切だけど、他人を観察することでまた違う角度から吸収できる。自分と他人を観察することで、より豊かな洞察力が生まれてくる。そして、そういう従業員が必要なの」って言って、あたしの心臓がドキドキした。「カーラ、あなたは2番のレジね。で、あなたは」ってあたしを指して、「1番のレジ」
カーラとあたしは頷いた。