第34章:フィナーレ:パート1
王様が言ってた競技場に向かう途中、リナスのパパ、私の心臓はいつもよりドキドキしてたんだよね。深呼吸しちゃって、ドリーさんに気づかれちゃった。「落ち着いて」って言われたし。
簡単だといいんだけど。まさかこんな状況に巻き込まれるなんて思ってもみなかった。恋って本当に難しい。ずっと、二人の関係はひっそりと、秘密の関係でいいって思ってたのに。こんな映画みたいなこと、経験することになるなんて思ってもなかったんだ。でも、どんな時でも、私は強くあろうって思ってる。そして、恋をするってことは、犠牲を払うことだって知ってる。どんな危険も冒すし、恋のためなら何でもする。関係を長続きさせるために、何だってするんだ。
あたりをウロウロしてた。廊下ごとに、黒いスーツを着た警備員がいる。私が知ってる限り、王室の警備員って、イギリスのエリザベス女王の親衛隊みたいに、赤と黒のパンツを履いてるはずなのに。でも、違ってた。年々、流行が変わるからね。流行に合わせて服を着るんだ。みんな黒いイヤホンをつけてるけど、王室の警備員って言ったら、アラームがない限り、像みたいにじっとしてるべきなんだよね。それに、目の前で何しても、彼らは無視するんだ。助けが必要な時以外は。
それで、誰かのサングラスを外してやろうかな、なんて思ってたんだけど、ここから追い出されたくないし。もし銃で撃たれたら、その場で死んじゃう?そんなことになったら。
「ドリーさん、魔法の部屋って本当に存在するんですか?」って尋ねて、彼女の歩くスピードに合わせた。
ドリーさんは軽く笑った。「それは昔の話よ。今は現代社会だしね。私が若い頃には、そう言われてたわね。魔法の部屋の話はいつも聞かされてたけど、今まで一度も見たことないの。どこにあるのかも知らないし。」って答えた。
「あー。レイナとか友達がいつも話してるから、ちょっと気になって。ほら、王子様とか好きじゃん?」って言った。
ドリーさんは笑った。「レイナの性格、好きだわ。いつもポジティブ思考だし。あなたもそうあるべきよ。何でもネガティブなことと混ぜるのは難しいけど、避けることはできないから。どんな時でもポジティブでいると、自信が高まるし、元気がでるわ。」
私は頷いた。「はい、わかりました。」
「はい、着いたわよ。」って言って、銀色のドアの前で止まった。ドアの質感は豪華さを物語っていて、デザインも素晴らしい。両側に2人の警備員が立っていて、1人の警備員がドアを開けてくれた。ドリーさんが「ありがとう」って言って、私は頭を下げた。
なぜか分からないけど、部屋に入った瞬間から、出来事がスローモーションになったみたいだった。警備員がドアを開けた時、リングの中で黒いサンドバッグを殴りながら大声を出している男に目が向いた時…ドリーさんが話さなかったら、私はまだ像みたいだったかもしれない。
「リナス」ドリーさんが彼を呼んだけど、男は止まらなかった。私は深いため息をついた。イライラして、ドレスの裾を引っ張った。短い服には慣れてないんだ。いつも膝丈より長いドレスを着てる。でも、似合うって言われたし、おばあちゃんのアガサをがっかりさせたくないしね。モデルみたいに華奢じゃないけど、スタイルはいいんだから。
リングに近づいた。神様、私の目を許してください。リナスは上半身裸で、背中がすごくセクシーだった。見たいもの、キラキラ光る腹筋を考えてしまって、自分を叩きたい気分になった。神様、私の心が浮気心に染まり始めたら、許してください。
「リナス…」ドリーさんが呼んだ時、彼は私たちの方を向いた。
彼の拳は空中で止まり、私の目を見て目を見開いた。彼の反応を見て笑いたかったけど、まだ彼には非があるってことに気づいた。私は腕を組み、眉を上げた。
彼は手を下げて、じっと立っていた。何も言わない。私たちに近づいてきて、素早くジャンプして、私たちの距離を縮めた。
彼の腕が私の腰に回って抱きしめられた時、私は息を呑んだ。「やあ」って彼は言っただけだった。
彼を抱きしめ返しながら、涙が頬を伝った。ドリーさんが私に微笑んで頷いてくれた。出て行きなさいって合図してくれて、私は理解して頷いた。
ドリーさんは外へ出て行った。
リナスは警備員と戦ってるんだと思ってたけど、ただのサンドバッグだったんだ。
「ごめん。ごめん」って何度も言って、私を強く抱きしめてきた。汗だくになってるのに、まだいい匂いだった。
「まず着替えたら?」って私が尋ねた。彼は抱擁を緩めた。
「ごめん」って彼は言って、私はただ微笑んだ。「さあ、部屋に連れてってあげるよ」って言って、私は頷いた。