第33章:最終章
最後の章
予定通り、ドリーさんと私はデンマーク行きの飛行機に乗った。 寒くても、手が汗と震えが止まらない。 どんな気持ちなのか全然わからないんだ。 嬉しい気持ちと同時に、すっごく緊張してる。 ドキドキがうるさいくらい。 私の隣でドリーさんはもう寝てる。
やば、飛行機に乗るの初めてなんだよね。 ドリーさんには本当にお世話になってて、どうお礼を言えばいいのかわからない。 ドリーさんはすごく優しいのに、なんで結婚しないんだろうって思っちゃう。 ドリーさんは全部手に入れるべきなのに、なんだろう…言葉にできないけど、悲しさが漂ってる気がする。 ドリーさんの目を見ていると、辛い過去とか、そういうものがあるのかなって思っちゃうんだよね。
それを聞きたいんだけど、なんか恥ずかしいんだよね。 厚かましいかなって。 それに、一線は越えたくないんだ。 まだそんなに親しいわけじゃないし、今回だけじゃなくて、今までも助けてもらってるし。 リナスに対しての私の気持ちで悩んでた時も、ドリーさんは良い言葉をくれて、どうすればいいのか教えてくれたし。
デンマークには2日間だけってドリーさんに言ったんだ。週末明けたら授業が始まるから。 好きなリナスとの叶わない恋のために、勉強を犠牲にするわけにはいかないんだ。 できるなら、両立したい。 でも、勉強の方が大事。
それに、あのリナスは、なんで何も言わずにいなくなったのか、ちゃんと理由をくれるはず。 でも、くそ、私たちのステータスって全然違うんだよな。 彼は空で、私は地面。 届かないんだ。 私たちの関係はどこまで続くんだろう? 最後まで一緒にいられるのかな? もし彼が誰かと結婚することになったら? 私、どうなるんだろう。
私がしてる犠牲が無駄にならないといいな。 悲しくてボロボロになって家に帰りたくない。 でも、今は、彼の話を聞くまで、まだ彼を信じようと思ってる。
彼が私を信じてって言ったんだ。 関係におい、信頼ってすごく大事。 私は彼を愛してるし、どんなことでも全部聞いて受け入れる覚悟だよ。
ドリーさんによると、宮殿の中にも一緒に入ってくれるらしい。 セキュリティは厳しいけど、ドリーさんは元女官だったおばあ様がいたから、宮殿ではすごい人なんだって。 ドリーさんのおばあ様って、いくつくらいだったんだろうって思ってる。 あと、ドリーさんの年齢も気になる。40代半ばくらいなのかな。 きれいだし、小柄で、肌がツヤツヤしてる。 目は青くて、顔はハート型で、私が一番好きなのは、ストレートの黒髪なんだよね。
「大丈夫? ベッカ」 ってドリーさんが聞いてきた。 ちゃんと座って私を見てる。 「ちょっと寝たら? まだ時間あるよ。 あと3時間くらいで着くから」
「大丈夫です、先生。 まだ眠くないです」 って返事した。
ドリーさんは私に微笑んで、「緊張してる?」
私はうなずいた。
まあ、普通だよな。 ドリーさんは自分の毛布をたたんで、前に置いた。
「話、聞きたい?」 ってドリーさんが聞いてきた。 私は目を見開いてうなずいた。
「私も、大学時代に好きな人を追いかけてた時、あなたと同じような状況だったって言ったら信じる?」
なんて答えていいのかわからない。 ドリーさんはまた微笑んだんだけど、ちょっと苦い味がした。
「彼も、リナスみたいに王子様じゃなくて、私を置いて何も言わずにいなくなったの」 って言って、軽く笑った。 「何年も探し回った。 見つけ出すまでずっと探し続けたのに、運命が私たちを引き裂いて、私を苦しめたみたい。 だけど、希望を失わなかった。 毎晩、彼が見つかるように神様に祈ったんだ。 そしたら、叶えてくれた。 彼がいる場所へ導いてくれたのに、運命ってやつは…私たちに、最後に、彼を見つけた時にはもう、彼はこの世を去って、神様の元にいた」
「あの、その…」
「大丈夫、平気。 あなたとリナスのことについて、色々知ろうとしてるあなたを見てると、自分の辛い過去をちょっと話したくなっただけ。 あの人が私を置いていった理由がわかった時、私の世界はゆっくりと壊れて、気が狂いそうになった…恋ってすごいよね? 不可能なことを可能にするくらい、自分を見失うこともあるんだから」 って言って笑って、ドリーさんの目に涙が溜まって、それが私の目に焼き付いてる。
「彼は、約束を守れないかもしれないって怖くて私を置いていったんだ。 がんが見つかったんだって。 私に話すことができなくて、臆病者になることを選んだんだ。 大好きな人に信じてもらえないってどんな気持ちか、わかる? 辛いんだよ、ベッカ。 私は彼を愛してるから、理解してあげたいけど、彼は自分の恐怖を選んで、闇に隠れたんだ」
なんて言ったらいいのかわからない。 止まらなくて泣いてしまった。
「ちょっと」 ってドリーさんが笑った。 「泣かせちゃった? 大丈夫だよ、もう受け入れてるから」
「でも、新しい人を探そうとしなかったんですね」 って私が言った。
ドリーさんは首を横に振った。 「もう誰に対しても心を開くことができなかったの。 試したけど、いつも一人でいる自分に気づいて、一人を選ぶことにした」
ドリーさんの話を聞いて、もっと彼を信じようって思ったんだ。 もっと彼の話を聞いて、全部話してもらうようにしようって。
デンマークに着いた時、黒いリムジンが待ってたんだ。 またしてもびっくり。 こんな高級車に乗るの、人生で初めてだし、映画でしか見たことない。 ラッキー。
ドリーさんのおばあ様のところに行って、ランチをごちそうになった。 あったかく迎えてくれて、私がデンマークに来た理由を知ると、おばあ様は面白そうに笑った。 午後3時にそこに行こうって言われて、すごい楽しみと同時に、緊張もしてる。
簡単だと思ってたけど、そうじゃなかった。 宮殿の地面に足を踏み入れた瞬間、膝がガクガクして、転びそうになったんだ。 ドリーさんが倒れる前に支えてくれたからよかった。 ドリーさんが、ベッカにクレアニットのセミパフドレスを着せてくれたんだ。 私の脚と胸元がよく見える。
「気をつけてね、ハニー。 言ったこと、覚えてる? リラックスして」 ってドリーさんが言って、私はただうなずいて落ち着こうとした。
ドリーさんのおばあ様が私たちの前にいて、横には2人の男性が立ってる。 マジか、私には王族って似合わないな。 私は普通の女の子で、パンツとかブラウスとかシャツが好きだし。
「おはようございます、殿下」 ってアガサおばあ様が言った。
50代くらいの男性が私たちを歓迎して、ホールに案内してくれた。 広々としてて、思わず息を呑んだ。 上を見上げると、天井には巨大なシャンデリア。 ゼロがたくさん付いてるんだろうな。
「いらっしゃいませ、なぜいらしたのですか。 ドリー、隣の美しい若い女性は誰ですか」 って、リナスに似てるから、王様だろうって思った男性が言った。
私は彼に微笑んだ。 「ベッカと申します、殿下」 って、丁寧に挨拶した。
「お会いできて嬉しいです、お嬢さん」 って彼は言った。
「それで、息子さんの様子は、殿下?」 ってドリーさんが、金の生地とビーズで覆われた豪華なソファに座って聞いてきた。それらが私の目にキラキラ光ってる。
「相変わらず頑固だよ。 つい最近ここに来たばかりだ」
ドリーさんが私を見てきた。 「それで、どこにいるんですか? しばらく会ってないから」 って言った。
王様はため息をついた。 「アリーナ」
「あら。また警備員と喧嘩してるんでしょうね、殿下」 ってアガサおばあ様が言った。
王様はうなずいて、また微笑んだ。 私は、彼に会うまで落ち着いて座ってられそうにない。 ドリーさんは私の気持ちがわかったみたいで、リナスを探しに行くって言ってくれた。 ドリーさんは重要な来賓だから、王様も断らなかった。
「美しい女性も一緒に連れて行くといい、ドリー」 って王様が言った。
やったー!