準備をする
ベテスダ、
中央地区、
インナーリング、
2420AA、
ハビラは、旅に必要なもの全部、絶対持ってくもん全部詰め込んで、歩き出したんだよね。でも、どれくらい続くのか、どこまで行かなきゃいけないのか、全然分かんなかったんだ。もしかしたら、相棒は世界一周させる気なのかもしれないし。もしそうなら、永遠に終わらない旅になるし、お金もないから、世界を旅するのはちょっと大変だよなーって。
トリベリアスでは、商売とかないんだ。食べ物とか全部共同で、家族の人数とかランクで分けられてる。トリベリアスには貧乏人なんてほとんどいなくて、ハビラみたいに美徳が一つしかない一番下のランクの人たちは、普通は追放されるから、みんな大体同じレベルでバランスとれてるんだよね。長老たちは別だけど、彼らも美徳は二つしかないから、同じレベルから抜け出せないし、もっと上に行くこともできない。だから、何か起こって落ちない限り、ずーっと停滞したままなんだよね。
そんなこと考えながら、ハビラは、もう着なくなった茶色いトリバンローブと、クローゼットにしまってあった服をいくつか出した。ドレスとか靴とか、カッラが着てたみたいなズボンもあったりして、この家の前の住人はみんな女だったのかなーってハビラは思った。
「あ、もしかしたら、女の人が服いっぱい持ってて、捨ててっただけかもね」その声が言ったけど、ハビラは無視した。まだ、ここを出ることに腹が立ってたし、黙って、必要なもの詰めながら、それを表現してたんだ。
お母さんが教えてくれた石鹸をいくつか取っておいた。美徳も使えるけど、普通に風呂に入るのもいいもんな。ちょっと考えてから、石鹸をしまって、透明で匂いのないオイルを何本か取り出した。石鹸作りの時にできるやつだ。化粧品関係はこれで全部かなって確信して、シートに包んでから、下の階に降りて、食べ物を詰め始めた。
キッチンでは、キッチンから持ってきた小麦の粒をすりつぶして焼いたパンをいくつか詰めた。偶然見つけたんだけど、マッシュポテトと合わせると、おいしいフラットブレッドになるんだよね。
それから、庭になってたリンゴとか梨とか、果物も取った。神殿の庭のベリーとかプラムもあったし。最初に行った時より簡単に入れたし、好き勝手に取ったんだ。
水も必要だよなーってハビラは思って、キャビネットからボトルをいくつか出した。それをいっぱいにしてから、キッチンの隣のパントリーの棚にしまってあった大きなナップザックにしまった。バッグはめっちゃ大きくて、服とか全部入るし、枕とか毛布も余裕で入るくらい。でも、重くするのはやめようと思ったんだ。重すぎたら、それだけで大変だし。だから、余分な靴とかは捨てて、特別な能力があるローブ一枚だけで、バッグは軽くなったんだ。
織られたバッグを見て、満足そうに笑った。内側はシルクでできてて、クリスタルがついてるんだけど、きっと、入れてるものを保護する役目があるんだろうなーって思った。でも、ほんとはどうなんだろうね。もしかしたら、クリスタルはバッグを軽くする役割をしてるのかもしれないし、全然違うことするのかも。まあ、どっちにしても、あとで起動して、本当の目的を調べてみよう。
「他に何かあるかな?」って、見落としたものがないか探した。ポケットも叩いて、何か重要なものがないか確認したんだ。普通なら、肌につけるオイルとか、そういうもの持ってるはずなんだよね。もしかしたら、先生にもらった仕事の続きをやるための巻物とかも持ってるかもしれないけど、ここには何もなかった。それに、あの声の主が優しく教えてくれたように、いつも使ってるオイルがなくても、ハビラは奇跡を起こせるんだ。
確かに、回復のプロセスはすごく楽になるけど、それは、最初の美徳が弱すぎて、力を使うにはパイプが必要だからなんだよね。
「もうちょっと自分を卑下するのはやめなよ。誰か、それは良くないよとか、美徳にも良くないよとか、言ってくれなかった?」
「言ってくれたけどさ、みんなが言ってることと、ほんとに思ってることって全然違うの知ってるから、まともに聞くの難しいんだよね」
「なんでそんなこと分かるの?美徳が与える力の中に、人の心を読む力なんてあったっけ?」
「たぶん、目を見たときに感じる同情のせいかな。あの、相手を可哀想に思ってるけど、同時に、自分は同じ立場じゃなくてよかったーって思ってるみたいなやつ」
「友達も?」
「うーん…いや。それにしても、なんで私の考え読めるの?」ハビラは、一番仲の良い友達のカイラとモリラのこと考えながら、そう聞いたんだ。カイラは、ハビラのことすごく応援してくれて、モリラは、いつも冷静で、何があってもハビラに起きたことについて、当たり前のこととか、もっと色んなこと指摘してくれたんだよね。モリラは、いつも物事がハビラにどう影響するのか、見抜いてて、もっと頑張るように言ってくれたりもしたけど、結局、うまくいかなかったんだ。モリラは、すごく大人で、すごく集中してて、あの二人と同い年だなんて、想像できなかった。
あの女の子は、心の奥底で年寄りみたいで、友達、特にずっと年下で、もっと気まぐれなカイラに対して、お母さんとかお姉さんみたいな役割を演じることが多かったんだ。あのカイラは、真っ直ぐな道を歩ませるために、しっかり見てないといけないんだよね。
ハビラは、友達がすごく恋しくて、特にいつもあんなに一生懸命守ってくれた金髪の女の子が恋しかった。カイラの精神力とスタミナはすごくて、ハビラは、カイラが本当に信じてて、大切にしてるもののために、天国も地獄も動かせるんじゃないかって思ってたんだ。
「ほんとに元気でいてほしいなー、まあ、今は言えないんだけどね?」声が肩をすくめるのを想像して、自分の後始末を始めた。美徳、つまり最初の美徳の助けなしじゃ、時間がかかるけど、やってみるしかない。全部台無しにするよりはマシだし、前回、やった時に、どうなったか分かってるし。でも、今回は時間がないんだ。日没までにここを出たいなら、何かミスったとしても、それを直す時間はないんだから。
ハビラは、場所を綺麗にしておきたかったんだ。もう二度とあの場所に戻らないかもしれないけど、どうなるか分からないから。
永遠のように感じた後、ハビラは家を元の状態、少なくとも、見つけたときくらいには戻すことができたんだ。太陽はもうすぐ沈んで、出発するのにいい時間になった。つまり、誰にも見つからずにここを出たいなら、ね。
暗闇がハビラの隠れ蓑になって、ハブが赤外線センサーでハビラの存在を感知できたとしても、ハビラは、そうしたいと思えば、兵士たちは追いつけないって確信してた。キリオンにも会えなくなるのは寂しいけど、しょうがないこともあるし、ハビラの出発は、あんなに優しかったあの人に、すごく安らぎをもたらすはずなんだ。