第118章 エルチェン?
メディアがぶちかました「すごい」ニュース、いつも期待を裏切らないよね。記者会見が終わってから、まだ30分も経ってないのに、「ソン・ムー」っていう有名ワードが検索ランキング1位に!
毎年恒例の将棋大会の人気は全然落ちない。大会前、特に記者会見後なんかは、ネット民のコメントがドバッと押し寄せてくるんだ。褒め言葉もあれば、反対意見もあって。
みんなの態度はマジでわかりやすくて、過去何年も上位にいたベテランにはめっちゃ期待するんだけど、今年初めて出場する新顔には全然違うんだよね。
180度変わる態度は、皮肉っぽいか、ストレートに批判するか。自分たちの推しが活躍できるよう、今のうちに自信を使い果たしちゃえばいいのに、って思っちゃう。
「グー・イェ、リトルレディが検索ランキングに載ってるけど、しばらく降りてこなさそうだな」
ナンバイもネットの急な変化に気づいて、メディアの「才能」に感心するしかない感じ。
前のリー・ハオとチウ・マンマンの一件があって���ら、リトルレディがアーロン家のたった一人の宝物だってことは、ほとんどの人が知ってるはずなのに、こういう人たちはマジで勘違いしてるよね。「傷が癒えたら痛み忘れちゃう」ってやつ。
「ソン・ムーって人、なんか見覚えあるな? アーロン家の令嬢だったりして!」
「アーロン家の令嬢?冗談でしょ、アーロン家に令嬢なんて聞いたことないんだけど。ゴシップ?」
「この子、将棋できるのか? 遊びでやってるだけじゃないの? ハハハ…マジで笑っちゃう!」
「…」
ネット民、事前に打ち合わせでもしたみたいに、みんな同じような意見になっちゃってて、ほとんどが誹謗中傷。ナンバイでさえ、見てて嫌になるようなこと言ってる人もいた。
「ほんと、何でもありだな、リトルレディ、どうせ小悪魔だし…」
ナンバイはスマホの画面をガン見して、聞こえるか聞こえないかの声でブツブツ言ってた。ちょっとシワの寄ってた眉は、どんどん歪んでいって、心底嫌悪感を感じてるのがわかる。
「リトル・ムーエル、先に上がって着替えてきな、風邪ひいちゃうよ」
でも��蚊の鳴くような声でも、グー・ジンシウには聞こえてたみたい。
グー・ジンシウは顔を向けて、優しい声で、ソン・ムーのフワフワの髪を優しく撫でて、目が細まってて、ソン・ムーへの愛情がダダ漏れ。
その場の空気は一気にあったかくなったんだけど、ナンバイは突然の展開に全然驚かない。
こんなに二面性のあるグー・イェには、もう慣れっこなんだよね。ソン・ムー相手の時だけ見せる、この両極端なモードの切り替え。
「うん…じゃあ、先に上がってるね」
ソン・ムーの目には、ちょっとだけ寂しそうな色がよぎったけど、すぐに落ち着きを取り戻して、唇を尖らせて、すごく嫌そうな顔で背を向けて去っていった。
普通の人は、何もおかしいと思わないだろうし、グー・ジンシウの優しくて甘い姿に、一瞬で騙されるだろうね。
でも、ソン・ムーは「普通の人」じゃない。これを聞いて、グー・ジンシウが何か隠してるんだって気づいた。ナンバイにだけこっそり話して、自分には言わせないようにするなんて。
「バタン」って、重いドアが閉まる音がして、高いヒールがタイルを叩く音が、だんだんリビングから消えていく。
ソン・ムーがいなくなったのを確認してから、グー・ジンシウは安堵したように口を開いた。
「ネット上の悪質な言葉を抑えて、リトルレディの個人情報とバックグラウンドは絶対に秘密にして、間違いがあってはならない」
グー・ジンシウの目には、恐ろしい怒りが光ってて、残酷でゾッとするような雰囲気で、息苦しくなる。
「はい、グー・イェ」
ナンバイは、リトルレディのためだってことはわかってるのに、どうして隠しておきたいのか理解できなかったけど、何でも隠して「名前も残さず良いことをする」人になって、影でひっそり守るのが、グー・イェらしいんだよね。
落ち着かないと、グー・ジンシウは心の中でそう思った。
一方、ソン・ムーは自分の部屋に戻ってからも退屈で、ベッドの上で何度もゴロゴロしてた。
彼女の堂々とした表情を見れば、全てわかる。試合前の焦りとかじゃなくて、ただ「生意気」って言葉しか感じないんだよね。
「下で何話してるんだろ? こんなに長い時間…俺、対人練習を何十回もやったのに。下で盗み聞きすればよかった」
ソン・ムーは後悔しまくってて、スマホを見るのも飽きて、今すぐにでも壊したいくらいだった。
「ネットのコメントはなるべく見ないで、将棋の腕を磨きなさい」
ソン・ムーが、まだ終わってない計画を実行しようと下に降りようとした時、グー・ジンシウが部屋のドアを開けて、ポケットに手を入れてスタスタと歩いてきた。
ソン・ムーがスマホを持ってるのを見て、少し歩くスピードを上げて、スマホを奪って、当然のように自分のポケットに入れた。
「な、何してんだよ、サードブラザー! 私は思ってるほど弱くないし、あんなコメントに影響されたりしないんだから」
ソン・ムーはベッドから飛び起きて、腰に手を当てて、目の前のグー・ジンシウを睨みつけた。顔は真っ黒で、墨を落とせるくらい。
「一番難しいのは…明日の試合が終わったら、ちゃんと返すから」
グー・ジンシウは決意したみたいで、真剣な顔で、譲る気配なし。
「サードブラザー~、私も練習にスマホが必要なんだよ、返してくれない? コメン��は見ないって約束するよ」
ソン・ムーの目はすごく真剣だった。顔の横に指を3本立てて、誓いを立てて、絶対に勝つぞって感じだった。
大きなうるうるした目が何度も瞬いて、まつ毛がキラキラして、深い瞳がほんのり輝いてて、まるで何かすごく悪いことでもあったみたいな顔してる。
強気な作戦がダメなら、今度は弱気作戦だ。ソン・ムーはグー・ジンシウが両方とも通用しないなんて、信じてないんだから。
「ほんと、困ったやつだな…」
案の定、グー・ジンシウは体に電気が走ったみたいだった。心の奥底で、軽くノックされた感じ。逃げるような目は、今の彼の良心の呵責を証明してる。
グー・ジンシウの呼吸が早くなってるのもわかる。最初の規則正しいリズムとは全然違ってて、乱れてるみたい。
「ありがとう、サードブラザー、やっぱりサードブラザーは私のこと大好き! 今日はすごい疲れたから、先にシャワー浴びてくるね」
そう言って、ソン・ムーはバスルームに飛び込んで、そして「バタン」ってドアを閉める音がして、グー・ジンシウを部屋に残したまま、���かなくなった。
「マジでポジティブだな、俺と一緒にいたくないのか?」
グー・ジンシウは額に三本の黒い線を作って、顔は真っ青で暗かった。
この時、壁一枚隔てたバスルームで、ソン・ムーはこっそりドアをロックして、すぐにスマホを見たくなった。
画面が光った瞬間、メッセージがどんどん流れ込んできた。「Weiboユーザー、誰々さんがあなたをフォローしました!」
この情報ウィンドウは、10秒くらいは止まらずにビートを刻んでて、ソン・ムーは震える手で興奮してて、こんなことが本当に自分に起こってるなんて信じられなかった。
「いや、夢に違いない…あ、痛い…」
ソン・ムーは無意識に手を上げて、腕の肉をつまんだ。痛い顔を歪めて、痛みを押さえて、うずくまって起き上がろうとしない。
ソン・ムーは震える手でWeiboを開いた。一番最初に見えたのは、自分のファン欄に、とんでもない数の赤い点があったこと。
「いや、私、ソン・ムーって、何者だよ。こんなにたくさんのファンがいるなんて。この幸せは突然すぎる」
手に持ってるスマホは、前と��違って、まるで貴重な「家宝」みたいに、大事に持ってて、すごく気に入ってる。
ソン・ムーをフォローしてる人は、将棋ファンが一番多くて、そのうちの三分の一は将棋好き、つまりアマチュア。もう三分の一はプロ棋士で、中には大物もいる。
残りは、ただ面白がって参加してるフォロワーとか。ただのネット民で、大したことない奴ら。
「神様、なんでこんな人に、何百万ものファンがいるんだよ…マジで、この百万長者のネット有名人の頭がおかしいんじゃないかって疑っちゃう」
ソン・ムーは心の中でため息をついて、眉をひそめて頭を振った。まるで、自分をフォローしてるこの百万長者のネット有名人の頭がおかしいんじゃないかって疑問を投げかけてるみたいだった。
ネットでソン・ムーをフォローしてる人が多いだけじゃなくて、彼女に対するコメントもたくさんある。やっぱり、検索ランキング1位だし、みんなの話題になりやすいよね。
「このコメントも同じだ。マジで人のこと犬みたいに見てるな。新人が何か悪いことした? 新人だから技術もなくて、強さもないって���と?」
ソン・ムーの指は画面を動かし続けて、コメントが目の前を通り過ぎたけど、彼女の心に深く刻まれた。
目の前の悪意のあるコメントに対して、言葉はすごく汚いけど、ソン・ムーは全然気にしない。「7秒記憶」みたいなやつで、前に進む時には忘れちゃうんだよね。
「一番いいのは、実際に行動すること。ただ、顔を叩きつけてやるだけだよ」
ソン・ムーは眉を上げて、スマホを横にポイッと投げ捨てた。良いお風呂に入って、楽しもうと決めた。
幸せになるのが一番。他人の意見なんて気にしない。これが私のソン・ムーの性格なんだから。
「グー・イェ、今ニュースが入ってきました。リトルレディの対戦相手は、将棋界でトップクラスの選手の一人、チェンだって。まだ若いけど、才能があって、将棋に関してはすごいらしいですよ」
その時、ナンバイから電話がかかってきて、ちょっと焦ったような声が聞こえた。ナンバイはこの件にすごく気にしてるのがわかる。ニュースをすぐ知って、グー・ジンシウに報告してるんだから。
「チェン? どんなやつだ?」
グー・ジンシウの声はすぐに冷たくなって、ワシのような目が前の方をじっと見つめて、暗い目は底知れぬものになった。