第46章
歩きながら、あの頃のことばっかり考えちゃって。一緒に過ごした時間全部思い出してたら、思わず顔がニヤけちゃった。ホント、あの頃が懐かしいな。
いつも私をからかってたこととか、まるで恋人みたいに抱きしめてくれたこととか、キスした時の感じとか、全部。彼のキス、結構好きだったんだよなー。
でも、彼にとってはただのキスだったんだよね。
ため息。なんでこんなに複雑になっちゃったんだろ?
考え事しながら歩いてたら、あっという間に家に着いちゃった。玄関開けたら、リビングでサラが本読んでた。
「やっほー、サラ。」って言って、後ろ手でドア閉めた。
サラは読んでた本から顔上げて、「あら、おかえり」って。それから眉間にシワ寄せて、私の方じーっと見てる。「なんか疲れてる?」
「大丈夫だよ。ちょっと歩きすぎただけ。」って説明した。
「なんで?タイラーは?」って、サラは不思議そう。
タイラーと別れたこと、まだお父さんにもサラにも言ってないんだよね。まだ言いたくないし。でも、私がいつもタイラーと一緒にいるの知ってるから、一人で歩いてるのって変だよね。とっさに嘘ついた。「タイラー、学校でちょっと用事あって。」って、何気なく。「私を待っててほしいって言われたんだけど、どうしても歩きたくて。気持ちよかったし。」
サラはニコッとした。「そっか、よかったね。」
「サラは調子どう?」って、朝から体調悪かったの思い出したから。
今朝、キッチン行ったら、サラが朝ごはん作ってくれてたんだよね。でも、ちょっとしたら急に吐きそうで、キッチンから出て行っちゃったんだ。戻ってきたときには、私が朝ごはん作り終わってて、食べてたんだけど。
「うん、もう全然大丈夫、ありがとう。たまにああいうのがあるのよ。すぐ治るわ。」ってサラは言ってくれた。
「よかった。」って言った。正直、いつも吐いてる姿なんて想像できないし、でも、赤ちゃんがちゃんと育ってる証拠だって分かってるから。「私、宿題始めるから、二階行くね。」って言って階段に向かった。
「うん、行ってらっしゃい。」サラはまた本を読み始めた。
その夜、部屋で本読んでたら、開いてる窓から何かが動くのが見えたんだ。本から視線外して、タイラーの部屋の窓から覗いたら、タイラーが上半身裸で部屋の中を歩いてるところだった。
数分見てたんだけど、また本に集中しようとしたんだ。彼に見られても嫌だし。しばらくしたら、姿が見えなくなっちゃった。たぶん、バスルーム入ったんだと思うから、窓から完全に視線外した。
もう読む気になれなくて、本閉じてベッドサイドテーブルに置いた。それからベッドから起きて、電気消して寝た。
次の日、学校の駐車場歩いてたら、誰かが私の名前呼んだんだ。振り返ったら、ローガン・カミングスが私の方に向かって歩いてくるところだった。
「ちょっと話せる?」って、私の前に立ってから聞いてきた。私は頷いて、言いたいこと言っていいよって合図した。「ただ、ごめんって言いたくて。」
ため息。「ローガン、もう何度も言ってるよ。そういうの、もううんざり。」って遮った。
「いや、その、やり直そうとか、そういうことじゃないんだ。」って。「前、お前に言われたこと、よく考えたら、お前の言う通りだって。」
「マジで?」急に変わったからびっくりした。
彼は頷いた。「うん。どうしようもないこと、無理やり押し付けてただけだった。」
「ほんとだよ。」って同意した。
彼は顔しかめた。「分かってる。ほんとにごめん。お前にはもっといい男がいるべきなんだ。」
彼の目を見て、私をからかってるんじゃないかって疑ったけど、変な感じはしなかった。「分かった。」って、他に何て言えばいいのか分からなかったから。
しばらくそこに立ってから、「あのさ、全部俺のせいじゃないんだ。」って言った。
私は頷いた。「うん、でも、そうなっちゃったんだよね。私たちはそういう関係じゃなかったってこと。それはローガンも私も分かってる。」
「今はな。状況を受け入れられるように、頑張るしかない。」って素直に言った。「お前が他の人を見つけたかもしれないってことも。」
「だね。」って頷いた。「なんで急に変わったの?」
「お前に言われたこと、色々考えてみたんだ。お前に嫌われるのも嫌だったし。」って告白した。
「嫌いじゃないよ。やったことは好きじゃないけど。」って正直に言った。
「あー、ほんとにごめん。」ってまた謝ってきた。
私は肩をすくめた。「終わったことはしょうがない。変えられないけど、前に進むことはできる。私はそうしてるし、ローガンもそうするべきだよ。」ローガンは頷いた。「じゃあ、もう行かなきゃ。」
彼はポケットに手突っ込んだ。「そっか。バイバイ、エミリー。」
「バイバイ、ローガン。」って言って、彼から背を向けて歩き出した。
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その日の夜、宿題終わらせてから、近くの公園まで散歩することにしたんだ。ちょっと一人で、色々考えたかったから。
公園を15分くらい歩いて、ベンチに座ることにした。しばらく座って、公園にいる人たちを眺めてた。今は何も考えてなかった。景色を眺めて、頭を空っぽにするのが気持ちよかった。