第5章
ご飯食べ終わって、SNSチェックしようと携帯取り出したとき、目の前の席に誰か座ったんだよね。誰かなって顔上げたら、ちょっと顔しかめた。「もしかして、ストーカー?」
タイラーは軽く笑った。「まさか」 頭を振って携帯に戻って、彼を無視した。「あのさ、お前のことどこかで見たことあるなーって思ってて、昨日家に帰ってきてやっとわかったんだよね。」って続けて言った。「お前、俺の隣に住んでる子じゃん」
携帯をテーブルに置いて彼を見た。「うん、そうだけど、残念ながら何も出ませんよ。だから、もう放っておいてくれない?」
彼は面白そうに笑った。「ツンデレだねー、お前って」
ちょっとイラついて、ため息。「何か用?タイラー」って聞いた。
「うん、実はね」って。彼が話し続けるのを待ってたら、彼が立ち去ってくれるかなって。「お前に提案があるんだ」
鼻で笑った。「私がお前に何か興味持つとでも?」
「だって、どっちも得するじゃん。こう考えてみてよ。お前は俺を手伝う、俺はお前を手伝う」って答えた。
「どうやって私を助けるの?」って聞いて、テーブルに腕を組んだ。
「俺の彼女になってくれること」って答えた。
その提案に、私は目を見開いた。「は?」ちょっと大きな声出しちゃって、何人かの視線が集まった。私がそれに同意すると思ったなら、彼は頭おかしいよ。
彼は私の反応を見て笑った。「心配すんな、本物じゃないから。偽装交際だから」
「なんで?」って不思議そうに、普通の声で聞いてみた。ってか、そんなこと思いつくってどんな人?
彼はテーブルに手を置いて、誰も聞こえないように小声で言った。「あのさ、俺たち付き合ってるフリしたら、お前の元カレは、お前が前に進んだって絶対気づくし、やっと諦めてくれるでしょ。それがお前の望みでしょ?」
一瞬黙った。確かに、ローガンにはもう構ってほしくない。でも、タイラー・キングと付き合うなんて、気が狂ってるみたいじゃない。「なんで私を助けたいの?あなたは何が得するの?」って聞いた。
「うちの母親が、落ち着いた彼女を見つけて、あっちこっちにフラフラするのやめろってうるさいんだよね。だから、彼女がいるフリしたら、ようやくお見合いとか止めさせて、彼女作れってプレッシャーからも解放されるかなって。」って、いつものニヤリ顔で言った。
私は目を回した。やっぱり、そういうことか。彼は有名なプレイボーイで、簡単に諦めたりしないんだ。ミスター・プレイボーイ様には、落ち着いて女の子をものにするなんて嫌なんだろうね。「なんで私を選んだの?」って、色々整理しようとして聞いた。
「だって、この計画で何か得するのは、お前しかいなかったから。」って答えた。「昨日お前がキスしたとき、思いついたんだ」
彼はすごく確信してるみたいだけど、私は、反対に自信がない。タイラーとこれやるのは、悪い予感しかしない。あげたらキリがない理由で。
タイラーはテーブルの向こうに手を差し出した。「それで、どう?話まとまる?」
私は彼の差し出した手を見て、顔をしかめた。これ、やるべき?やる価値ある?絶対嫌だけど、ローガンに私たち終ったって知ってほしい気持ちもあった。良くないってわかってるけど、またとないチャンスでもあるんだ。全部無視して、手を伸ばしてタイラーと握手した。「話、まとまった」
ゆっくりと笑顔が彼の顔に広がり、私は人生最大の過ちを犯したってわかった。彼の笑顔はニヤリ顔に変わり、絶対後悔するって確信した。
マジで、面倒なことになりそう。
週末が過ぎて、もう日曜日の夜。私はお気に入りの本の一つ、『ハンガー・ゲーム』をベッドで読んでた。何回読んだことか、数えきれない。
本に夢中で、最初、窓をコツコツ叩く音に気づかなかった。2回目に聞こえたとき、本を置いて耳を澄ました。しばらくして、また聞こえた。うん、絶対気のせいじゃない。
本をベッドサイドテーブルに置いて、ベッドから降りた。窓の方に行ってカーテンを開けた。窓を開けて外を見た。タイラーは窓枠に座ってて、いつものようにくつろいでる。手に小石をいくつか持ってた。
「窓割るつもりだった?」って聞いた。
「いや、そんなに強く叩いてないから」って、彼はまるで何でもないかのように肩をすくめた。
「何?用件は?」って、単刀直入に聞いた。
「明日、学校まで送るよ」って言った。
私は困惑して眉をひそめた。「なんで?」
「俺たち付き合ってることになってるでしょ?」って彼が言った。「彼氏は彼女を学校まで送るもんでしょ」
正直、彼が考え直したと思ったんだ。週末、全然連絡なかったから、ようやくわかって、このデートごっこはありえないって気づいて、やめたんだって。間違ってたみたい。
「わかったわかった」って答えた。
「了解」って言って、窓枠から自分の部屋に飛び降りた。何も言わずに、窓を閉めて姿を消した。
私も窓を閉めて、カーテンをまた閉めた。ベッドに戻って本を手にとった。また読み始めたところで、ノックが聞こえた。「どうぞ」って答えた。