第17章
アタシはノソノソと彼について外に出て、彼が外で言ってたことなんて全然耳に入ってこなかった。
頭は全然違うとこに飛んでたし、考え事も同じ。
**フィリップ**がウチに来るなんて最悪なアイデアだった、マジで最悪。
なんで、まずアタシに連絡を取ろうとしなかったんだろ?
アタシが仕事終わりにいつもバスに乗って帰るバス停、知ってるくせに。
アタシの仕事場も教えてあるし、そこに来て探すことだってできたんだよ?
**フィリップ**に会う方法はウチ以外にもいっぱいあったのに、よりによって一番最悪な場所を選んだせいで、**ルイス**にどう顔向けすればいいのか、もう全然わかんない。
「大丈夫? アタシを見て嬉しくないわけ?」って、**フィリップ**が色々入ったオシャレなバッグをアタシに渡しながら聞いてきた。
「ううん、嬉しいよ、やっと会えたからね。マジで心臓止まるかと思ったし。ただ、まさかウチに来るとは思わなかったから…」
彼は笑って、アタシの頬を優しく触ってきた。
「他に良い方法が思いつかなかったんだ。本当に心配だったんだよ。あんな風に現れてごめんね。ただ、君に会いたくて仕方なかったんだ。それに、君の従兄弟って、別に悪くないよ。優しいし、気が利くし、面白いし。なんで今まで紹介してくれなかったんだ? 何が怖かったの?」
「別に…ただ、**フィリップ**がウチに来るのはちょっと落ち着かないの。**ルイス**は良い人だけど、時々面倒なことするし、アタシはトラブルなんて全然望んでないんだよね。**フィリップ**にはわからないかもしれないけど、アタシたちの関係はウチから遠ざけておいた方がいいの。ここで会うのは落ち着かないの…」って、アタシは歯に衣着せぬ物言いで言った。
「**エイプリル**、でも、別に怖がることは何もないよ。隠れんぼみたいなのは嫌だって言ったでしょ…君が住んでる街で、一緒に住んでる家族を知るのは、アタシの願いが叶ったことなんだ。**ルイス**はいつでもウェルカムだって言ってくれたし。なんでそんなに神経質にならなきゃいけないんだ? 大丈夫だよ、**エイプリル**、嬉しいし、自由な感じだよ。いつでも君の家に遊びに行けるし、君の家族と時間を過ごせる…**ルイス**は、アタシが今まで会った中で唯一の家族で、もうアタシを受け入れてくれたんだから、心配しないで。もう誰も隠れる必要はないんだから…」
**フィリップ**にウチに来るのをやめさせたり、**ルイス**に会わないように説得しても、怪しまれるだけだって思ったから、この話題はやめることにした。
後で座って、別の方法を考えよう。
彼はアタシにキスして、車で去っていった。
アタシは家に戻って、**ルイス**と対面することになった。
リビングに入った途端、彼は手を叩き、ものすごく笑い始めた。
手を叩くのをやめて、笑いながらアタシに言った。
「あれが、お前の秘密の恋人か? 残念ながら、もう秘密じゃないんだよな。あいつがお前の病的な行動の原因で、ごまかすために色んなこと嘘ついてたんだろ? でも、見ろよ、バレたんだよな? まさかこんなことになると思ってなかったんだろ? 太陽の下に隠されたものなんてないんだよ、ダーリン**エイプリル**。アタシは今まで、お前を**フィリップ**とシェアしてたんだって、気づきもしなかったよ。お前は、自分の体をあいつにタダであげて、アタシはそれを力ずくで奪い取らないといけないんだよな? 見てみろ、お前は晒されてるし、一番面白いのは、アタシは全然怒ってないってこと。むしろ、すごく嬉しいんだ。街で一番の男になれるチャンスができたから…ハハハ」
「お願い**ルイス**、**フィリップ**だけは勘弁して。アタシには何してもいいけど、**フィリップ**を巻き込まないで。言うこと何でも聞くし、頼むよ…」
彼はまたヒステリックに笑い始めた。
「じゃあ、お前は男のためにこんな風に懇願できるってこと? 手合わせて、秘密の恋人をやめさせてくれって頼んでるよ…ハハハ! まだ何も始めてないのに、もう懇願してる。まあいいや、お前への真実の愛のために、言う通りにしてやるよ。ただし、一つだけ条件がある…」
アタシは何があってもいいように、その条件を聞くのが待ちきれなかった。
もしかしたら、一緒に寝てくれとか言われるかもしれないけど、もう何も怖くない。
好きなようにすればいいけど、**フィリップ**だけは許してほしい。
アタシは条件を言われるのを待っていたけど、彼は座ってテレビのリモコンを手に取った。
「**ルイス**、何がしたいの? **フィリップ**だけは許してくれれば、何でも受け入れるよ。言うこと何でも聞くし、お願い…」
「お前はそうするだろうな、**エイプリル**。だって、お前には本当に選択肢がないんだから。良いことでも悪いことでも、この場合は…お前は、自分の罪を隠すために何でもするだろうな。お前の**フィリップ**は、アタシたちが親戚だと思ってるんだろ、お前の**フィリップ**は、お前は良い子だって思ってるんだろうな、でも、そうじゃないだろ。お前の**フィリップ**は、お前が両親から逃げたこと知らないんだろ…いや、知ってるのか? 恋人と駆け落ちしたことも知らないだろ、その相手がアタシだってことも。そして、もう何年も一緒に住んでるんだぞ、間違ってるか? そして、お前が家に彼を入れなかった理由は、おじさんと住んでるって嘘をついたからだろ…親戚と、でも実際はここには親戚なんていないんだよ。お前はただ、恋人と一緒に家出してきた世間知らずのティーンエイジャーで、カップルとして一緒に住んでるだけだろ。家族に何かを証明したかったんだろ、誰も命令できないって理解させたくて、自由のためなら何でもする、結果なんて気にしない。親の気持ちとか、お前の駆け落ちが何を引き起こすかとか、全然気にしないんだよ。お前は自分勝手で、甘やかされたガキで、自分のことしか考えてないんだよ。だから、お前はアタシの言うこと何でもするだろうな。だって、お前には選択肢がないんだから…」
アタシは涙が込み上げてきたけど、**ルイス**の前で弱みは見せたくなかった。
「あなたが言ったことは全部嘘じゃない。あなたこそ真実を知ってるはずなのに、自分の都合のいい話をするんだから仕方ないけど、驚きもしない。アタシのことなんて何も知らないし、アタシの痛みも知らないくせに、それでも関係ないって感じで、あなたが言いたいことだけ言うんでしょ…」
「口に気をつけろ**エイプリル**、お前の破滅の鍵はアタシが持ってるんだ。お前の幸せの鍵も持ってるんだから、後悔しないように、言葉と行動には気をつけろ。これからは、アタシを喜ばせることだけを考えろ…たぶん、残りの人生全部そうなるかもしれないな。だって、アタシにはお前を良くも悪くもできる力があるんだから。ご飯作って、アタシお腹すいた…明日、**フィリップ**を許してほしかったら、どんな条件を飲めばいいか教えてやるよ…」
アタシは立ち去ろうとしたら、彼はアタシを呼び止めて、**フィリップ**がくれたプレゼントが入ったオシャレなバッグを開けさせた。
アタシはそれを椅子のところに全部出した。**フィリップ**は本当に良いものをくれた、素敵な靴、いい感じの服、香水、可愛いハンドバッグ、素敵なトップスが2枚、他にも色々。
「…お前の**フィリップ**は、本当にラバーボーイだな。ハハハ、ラバーガールがラバーボーイを騙してるんだな。まあいいや、彼はアタシに予想外大金をくれた…金持ちか、お金持ちのお父さんかお母さんがいるんだな。アタシは、彼がどれだけお金持ちでも別に気にしない。ただ、彼がアタシのところに来てくれて、やっと会えたことが嬉しいんだ」
アタシはプレゼントをバッグにしまい始めた。急に止まって彼に聞いた。
「アタシと寝たいの? それが条件なら、そうすればいい。アタシの体をあげるけど、**フィリップ**だけは許して。約束して、言葉を守ってね**ルイス**」
彼はまた笑い始めた。
「**エイプリル**、黙っててくれよ。アタシは、お前や誰からも、寝たい時に寝る権利なんて必要ないんだよ。アタシにはその権利があるし、いつでも…奪うんだ。お前はベッドでもつまらないんだよな。ただ、そこで丸太みたいに寝てるだけで、アタシが終わるまで。お前には何も面白くない…退屈なんだよ。そんなに焦らないで、口を出すのはやめとけ。条件は明日教えてやると言っただろ。お前と寝ることが条件だなんて考えるのはやめとけ。そんなのバカげた考えだ。でも、お前なら驚かないけどな…お前はすごく世間知らずで、考えも甘い。お前の恋人がくれたものを持って出て、アタシにご飯を作ってこい。明日、アタシの条件を教えてやるからな…」
アタシはため息をついて、その場を後にした。
**ルイス**が何を企んでるのか、全然わからないし、どんな条件を突きつけてくるのかも検討もつかないけど、すごく知りたい。
アタシの体には興味がないなら、いったい何が欲しいんだろ?でも、アタシにできることなら何でもするよ、**フィリップ**を**ルイス**から守るために。