第38章
アマーのハートより。
彼が降りてきて、あっという間に俺たちは出発した。
マジでビックリすることに、ルイスはまだ門の外にいて、会社の飾り付けられた壁のそばに立って、まるで鷹みたいに待ち伏せしてたんだよ。
エイプリルは、彼に俺だってこと、ただ見るだけじゃなくて、フィリップと一緒にいるってことを見せようと頑張った。
あいつは、なんでこうなったのか、絶対理解できないだろうな。だってフィリップと俺は敵同士のはずだし、フィリップは俺のこと嫌いになるはずなんだ。ルイスと俺の衝撃的な秘密を知ったら、俺の近くになんか来ないはずなのに。
俺とフィリップが一緒にいるのを見たら、ルイスはきっとショックでしばらく立ち直れないだろうな。
舌を出してやろうか、中指立ててやろうかと思ったけど、やめといた。
フィリップが隣にいるし、たぶん良くないだろうし。ルイスのことなんて、全部忘れちゃいたかったんだ。
あいつは、目を皿のようにして見てた。
あいつを俺の靴のかかとで小突いてやろうか、めっちゃ気分悪くさせてやろうか、そんな衝動がすごく強くなった。
俺はしゃがんで靴を脱いで、手に持った。
窓が閉まってるのに気づいて、フィリップの方を見たら、彼も俺のこと見てた。
「何してるんだ?」
フィリップが、俺が靴を持ってるのを見て、聞いてきた。
「あ、あの…ツバ吐きたいんだけど、窓閉まってるからさ、ちょっと開けてくれない?」
「靴持ったままツバ吐きたいって? ルイスに靴投げつけようって気? バカな考えだな。些細なことについて、まだ嘘つくのやめられないのか…」
俺は彼を無視して、靴を足元に置いた。
俺たちは通り過ぎて、ルイスの方を見たら、あいつはまだ凝視してた。
あいつが金も、俺の存在すらも手に入れられなくて、本当に良かった。
フィリップに感謝したかったんだけど、俺に失礼なことさえしなきゃね。
彼は、俺が好きなファストフード店に車を止めて、降りて、店に入った。
席に座って食べ始めた。
彼はメニューを俺の方に寄せた。
別に何でもよかった。とにかくお腹いっぱいになって、さっさと帰りたかったんだ。
メニューを見て、ライスとチキンと野菜サラダを指差した。
俺たちのテーブル担当のウェイターが注文を取りに来て、去っていった。
俺たちは何も話さなかった。俺は彼の向かいに座って、出たり入ったりする人たち、一人で食べてる人や、二人連れ、大勢で来てる人たちを眺めてた。
フィリップはスマホに夢中で、俺には一言も話しかけてこない。
話しかけたいんだけど、何て言えばいいか分かんないし、彼に迷惑かけたくないし。
料理が来て、俺たちは黙って食べ始めた。
思ってたよりお腹すいてたことに気づいた。
彼は少し食べて、皿を後ろにやった。つまり、もう終わりってこと。
まだ食べ物がいっぱい残ってた。
彼は飲み物を飲みながら、スマホに夢中で、俺が食べ終わるのを待ってた。
俺は全部食べきって、彼の半分残った皿をじっと見た。
「まだ食べる? それとも、食べてもいい?」
必死だって思われないように、そう尋ねた。
「もういいよ。」
彼はそう言って、俺が残りを食べ始めるのを見てた。
彼は何も言わずに、またスマホに戻った。
俺は無意識に、大きなゲップをしてしまった。
彼は嫌そうな顔をした。
「ご、ごめんなさい。こんなに大きな音が出るとは思わなかった…」
俺はすぐに謝った。
「もう行こうか? それとも、まだ何か食べたい?」
「もうお腹いっぱい。行こう。ご飯、ありがとうね。」
彼は頷いて、何か持ち帰るか?って聞いてきた。
「別に問題ないなら、全然構わない。」
俺は笑顔で答えた。
彼はウェイターに頼んで、いくつか食べ物を詰めてもらって、すぐに代金を払った。
俺たちは食べ物の入った袋をいっぱい持って店を出た。
車を運転しながら、彼は俺にどこに住んでるか尋ねてきた。
俺が場所を言うと、その辺は詳しくないから、途中で止まって、そこから行けばいいって言った。
でも、彼はそう言ったのに、途中で止まらずに、俺の家まで送ってくれたんだよね。俺はずっと、正しい道を示し続けた。
俺たちの家の門で止まって、彼はため息をついて言った。
「金は、今夜遅くに家に帰ったら振り込むよ。明日は会社に来なくていい。必要ないから。銀行口座の情報、まだ同じ?」
俺は頷いた。
まだ降りる準備もできてなくて、じっと座ってたら、彼は俺を見て言った。
「どうした…何か問題でもあるのか? なんで降りないんだ? もう家だろ?」
俺は恥ずかしくて、言葉が出なくて、そっと車のドアを開けて、彼が買ってくれた食べ物全部を持って降りた。
彼はバックして、走り去った。
俺は何を待ってたんだろう?
たぶん、ちょっとしたおしゃべりとか、笑い声、前にしてたみたいに、似合うキスとか、そんなことだったのかな。
門をくぐって、アパートにまっすぐ向かった。
若くてかっこいい男が、敷地内を歩いてるのが見えた。
初めて見る顔だ。たぶん、昨日引っ越してきたばっかりだから、気づかなかっただけかもしれない。
俺は彼に構わず、自分の部屋に向かった。彼は俺に近づいてきて、挨拶してきた。
「やあ、俺はジョン。俺の妹が、君の部屋の隣に住んでるんだ。つまり、あの妊婦さん。彼女は俺の姉なんだ。今日の午後に遊びに来たんだ。たぶん、1週間くらいいると思う。まあ、仲良くなれたら嬉しいんだけど…」
俺は微笑んで頷き、歩き続けた。
彼は突然、後ろから言った。「名前、教えてくれなかったな…?」
俺は謝って、自分の名前を教えた。
彼は、俺みたいな素敵な名前の、可愛い女性に会えて嬉しいって言った。
モデルさん?って聞かれたから、違うって答えた。
もう疲れ切ってて、彼と話す気力もなかった。部屋に入って、シャワー浴びて、ゆっくり休みたかったんだ。
確かに彼はかっこいい男だけど、今はジョンじゃなくて、フィリップのことしか頭にない。でも、友達がいるってのは、悪いことじゃないかな。
俺は向きを変えて、アパートに向かって歩き始めた。
彼は後ろから俺のことを見つめてた。