第43章
AMAHのハートから
店の中を案内して、どこに何があるか教えてあげた。すごい嫌だったんだけど、なるべく二人に気づかれないように頑張った。
「別に案内とかいらないわよ。私達、探してるものはすぐ見つけられると思うわ、ね、フィリップ?」
一緒にいた女性がフィリップに話しかけた。
フィリップは僕を見たけど、僕はすぐに視線を外した。
「いや、エイプリルに案内してもらうのがいいんだ。エイプリル、続けてくれ。」
僕のことを「ダニエル」って名前だと知った女性は、僕のことも、フィリップの返事にも不満そうだった。
彼女はフィリップにこっそり言った。
「あなた、最初に彼女を見た時、顔色悪かったわよ。彼女のこと、前から知ってたんでしょ、多分ここで会ったんだわ。ここに来るのは初めてじゃないし、道もわかるはずよ。案内役なんていらないでしょ。彼女の助けなんて、絶対必要ないわ…」
「ごめんね、ダニエル。でも、彼女に案内してもらうことに、そんなに問題があるとは思わないんだ。なんでエイプリルのことでそんなに興奮してるんだ? 彼女はここで働いてるんだし、自分の仕事をしてるだけだろ。落ち着いてくれ…」
フィリップは彼女の手を取って落ち着かせようとしたけど、まだ落ち着かない様子で、言い張った。
「最初にあんたが彼女を見た時の顔を見てたのよ。なんかあるでしょ、気持ち悪いわ。あなた、昔は一般の店の店員とかと付き合ったりしないじゃない。あなたは上品で、女性の選び方も厳しいのに、なんでこんな変な感じがするんだろう? あなたの目に、彼女への憧れが見えるの。もしかしたら、私が大げさなのかもしれないけど、気にしないわ。ありえないことだし。それに、今すぐ彼女を追い出したいの。彼女の存在は意味がないわ。あなたに私と買い物に行ってほしいってお願いしたのに、やっと今日叶えてくれたんだから、もう一つお願いがあるわ。あなた自身で彼女を追い出して、そうじゃなかったら、私達のどちらかを選んでちょうだい…」
フィリップは彼女を見て眉をひそめた。
彼女は何かを囁き、僕の方を警戒するように見て、再びフィリップの方を向いて、僕にはほとんど聞こえない声で話し続けた。
「ご迷惑をおかけしてすみません。ただ、自分の仕事をしたかっただけなんですけど、何かお手伝いすることがないようでしたら、お二人に。ご不便をおかけしてすみません。姿を消しますけど、もし何か必要なことがあれば、同僚に頼んで手伝ってもらいますから…」
そう言って、僕は立ち去ろうとした。
ダニエルは僕が歩き出すとこう言った。
「そうすべきだったのよ、最初から。そこに立って、私たちのことを見て、聞いてるだけなんて、あんたには頭がないみたいね。私の男を奪おうとしてたの? でも、残念だけど、あなたみたいに頭カラッポな人に、そんなことは絶対にできないわ。彼は、品のない女性や、店の店員とは付き合わないの。私たちに別の店員をつけてちょうだい。あなたの顔は見たくないわ。ここが終わるまでね。もしあんたの醜い顔を見たら、マネージャーに個人的に報告して、クビにしてやるわよ…」
僕は怒ってなかった。むしろフィリップのことを心配してた。あんな口の悪いダニエルじゃなくて、もっと素敵な女性が相応しいのに。
彼女の言葉には全然腹が立たなかった。僕のせいで彼女が不安になって、僕を追い出したいんだろうってわかってたから。
フィリップはもっと素敵な女性と一緒になるべきだって思った。美人でわがままなダニエルじゃなくて。
彼女は、すごく甘やかされて育って、わがままになってしまったって、顔に書いてあるみたいだった。
彼女の思い通りに進むべきで、彼女の言うことが一番で、彼女のやり方が一番なんだろう。
僕はフィリップに同情の眼差しを送った。彼は本当に大変なことになるだろうな。彼を本当に愛し、尊敬してくれる女性と一緒だったらいいのに。
フィリップはいい人で、数少ない貴重な人達の一人だから、彼と一緒になれる女性はすごくラッキーだろう。
僕がラッキーだったはずなのに、僕は本当に台無しにしてしまった。それに、フィリップはもう前に進んでるのに、僕はまだそうできてないんだ。まあ、完全にじゃないけど。まだ彼のことを考えてるし、私達の関係がもっとうまくいけばいいのにって思ってる。
彼が、あの狡猾な女の赤い旗に、もっと早く気づいて、手遅れになる前に考え直せばいいのに。そうすれば、すべての女性が同じだって考え始める前にね。
同僚に彼らの対応を頼んで、僕は彼らを一人にした。幸いなことに、僕達の常連のお客様で、僕にチップをくれる2人のお客様が店に入ってきたんだ。
そのうちの一人、ジェリーは、僕の親友になった。彼は予想外に物を買ってくれるんだ。
この前は、ブティックの隣にある携帯アクセサリーのお店で、高いスマホを買ってくれたりした。
彼の優しくて明るい性格を見るのはいつも嬉しいんだ。
僕は彼らに笑顔で挨拶して、フィリップと彼の彼女から気をそらそうとした。
でも、この素敵な男性達と店の中を歩き回る間も、彼らのリクエスト通りに、僕は彼らが見ていないか確認しながら、フィリップのことを探してしまったんだ。