第5章
アタシはルイスの横に座って、彼が運転するのを見てた。
また自分の行動のことばっかり考えてた。
マジでちょっと違ってたらなって思うけど、終わったこと考えても仕方ないし。
もう4時間以上も車に乗ってて、ホントに長くて、寝ようとしたんだけど、無理だった。寝れたら全部忘れられるかな、落ち着けるかなって思ったんだけど、全然寝れなかった。
アタシはルイスが運転してる間、頭を横に傾けてた。
彼はアタシを元気づけようとして、話しかけてくれたり、ご飯とかアタシの大好きな飲み物を買ってくれたりした。
でも、全然元気になれなかった。
もしもアタシがこんなに苦労してなかったら、もしもアタシが壁にい詰められて、もうこれ以上無理だって思わなかったら、この旅に出なかっただろうな。
どこにも行けない道だけど、どこに行こうと、もう戻らない。
アタシはもう戻れないんだ。
家を出る勇気を出すのって、すごい大変なことだったんだから。
アタシは家では透明人間みたいだった。
誰もアタシのこととか、アタシが頑張ってきたこととか認めてくれなかった。
バカにされて、当たり前だって思われてた。
お父さんは、アタシが貯金しとこうとすると、ケチだって言うんだよね。
お父さんとお母さんは、なんでアタシが貯金してるのかって聞いてくるんだよね。だって、ご飯も食べさせてくれてるし、面倒も見てくれてるのにって。
もし、彼らが自分たちのためにお金が必要なら、アタシは理解しようとするよ。
だって、両親だもん。
でも、レイチェルのためにお金を使いたいって言うのが、一番ムカつくんだよね。
レイチェルは、アタシのこと全然リスペクトしてないし、感謝もしてない。
あいつはやりたい放題で、両親はアタシをレイチェルのメイドにしようとしてる。
それはもう無理。
差別とか、見下す態度とか、もうたくさん。
アタシはもう全部嫌だし、これ以上受け入れられない。
「考え直してる?少し時間あるから、一番近いバス停まで送ってあげるよ。アタシは連れて帰ってあげたいんだけど、月曜日の仕事の約束があるから無理なんだ。
エイプリルがどうしたいか、アタシはいつでも応援してるよ。
どんな選択をしてもいいんだよ…」
アタシは深くため息をついて答えた。
「もう戻らないよ、たぶん、すぐには。
アタシはもう決めたんだ。
ただ、もうちょっと違ってたら良かったなって思うだけ。
そしたら、こんな風に家を出る理由もなかったのに。
こんなことになっちゃって、ごめんね…」
ルイスは、大丈夫だよって言ってくれた。
アタシは他のことを考えようとしたけど、やっぱり家のことばっかり考えてしまう。
家はアタシにとって全部なんだよね。
もう一生、家のこと考え続けるんじゃないかなって思ってる。
ルイスに会うときは、ちょっと急いでたんだよね。考えが変わっちゃうかもしれないから。
でも、ここに座ってると、こんな風に出ちゃったのが悲しくなる。
さよならもハグもなかった。
両親からの祈りも、兄弟からの優しい言葉もなかった。
それが悲しい理由でもあるんだけど、もう戻れないんだ。
アタシは目を閉じて、未来がアタシにもたらしてくれる素晴らしいことを想像してみた。
でも、想像してても、やっぱり家のこと考えちゃうんだよね。
しばらくしたら、アタシは寝ちゃった。
ルイスが後で起こしてくれて、もう着いたよって。
アタシは疲れてあくびして、周りを見回した。
家じゃなかった。
アタシは変な場所にいた。
小さな敷地にフェンス。
ここ家じゃない。
アタシ、ここで何してるんだ?
それがアタシの一番最初の考えだった。
でも、すぐにわかった。
アタシは怒ってため息をつき、バックパックを拾った。
中にはほんの少しのものしか入ってない。
アタシはルイスのアパートに入った。
部屋と応接間があって、安全に収まってる。
小さなアパートだったけど、よく家具が置かれてて、綺麗だった。
アタシは、よそ者みたいに立っていて、次どうすればいいのかわからなかった。
ルイスは家の中を案内しようとしてくれたけど、全然聞いてなかった。
アタシは、みんな今頃何してるのかなって考えてた。
アタシのこと探してるのかな。
たぶんパン屋に行ったんだけど、アタシはいない。
何人かに聞いてみたけど、誰もアタシがどこにいるのか知らなかった。
連絡取る方法がないから、さらに困る。
アタシは両親の電話番号も兄弟の番号も知ってるけど、電話するつもりはない。
もしアタシがいなくなって、みんなが喜んで、レイチェルに集中できるようになったらどうしよう。
もし、アタシが恋しくなる理由が、メイドがいなくなったからだとしたらどうしよう。
レイチェルの行動のせいを誰もできなくなったらどうしよう。
レイチェルのために走り回って、彼女を家の女王様のように仕える人がいなくなったらどうしよう。
まあ、アタシがいなくても、本当に寂しくないなら、それはそれでいいんだ。
そしたら、アタシも本当に嫌な気持ちにならなくて済むから。
アタシも誰のことも恋しくないしね。
これでバランス取れてるんだ。
「アタシが言ったこと、聞いてた?」
ルイスがアタシの注意を引いた。
アタシは困惑して彼を見た。
「…すごく疲れてるみたいだね。
お風呂に入っておいでよ。
アタシは夕食作るから。
寝室は君が使っていいよ。
アタシは居間で寝るから。
それに、リラックスして。
何も怖くないよ。
アタシが君をリスペクトして、愛してるってことは知ってるでしょ。
今は辛い時かもしれないけど、アタシはいつでもここにいるよ、君が必要なら…」
アタシはうなずいて、笑おうとした。
彼はバスルームを教えてくれて、綺麗なタオルをくれた。
アタシは彼にありがとうって言って、シャワーを浴びに行った。
もうみんなのこと考えるのはやめよう。
たぶん、今を受け入れて、未来が何をもたらしてくれるのか見てみる時なんだ。