第14章
リアン・カーテルは、自分が女の子に会ったという事実に、あんまり深く考えなかったんだよね。 女の子は孤児で、優しいカップルに養子にもらわれたって覚えてた。何年か経ったら、男の子と出会って、そこから二人のロマンスが始まるんだって。でも、リアンは女の子が、母親がマネージャーやってる福祉施設出身だって思ってもなかった。
それから、リアンはまた勉強に集中するようになった。新学期が始まる前に、図書館にある本を読み始めたんだ。家族は、リアンがよく図書館にいるからびっくりしてたけど、何も言わなかった。事故の前は、リアンは本を読むのが嫌いだったんだよね。でも、本に興味を持つようになったリアンを見て、家族は黙って応援してくれたんだ。
ある日、メイドが「急なお客様です」って知らせに来た。リアンはアンドリューが来たのかと思ってビビったんだ。でも、メイドが「カルビン博士とその兄弟」だって説明したから、ホッとしたんだ。リアンは応接室に降りて行ったんだけど、カルビン博士はいなくて、彼の兄弟が一人でソファに座って、こっちを見てたんだよね。
「…やあ」
無視するのは失礼だから、挨拶することにした。男の子は彼女を見て、腕を組んだ。リアンは、彼の目が両方ともヘーゼルブラウンになってることに気づいた。前は、左目がエメラルドグリーンだったはずなのに。
「コンタクト?」リアンが聞いた。
もう言っちゃった後で、何言ってるんだって思った。リアンは、男の子が自分の目を気にしているのは知ってたから。謝ろうとしたら、男の子は頷いたんだ。
「他の人に見られるのはめんどくさいからね」
リアンはびっくりして瞬きしたけど、理解したって頷いた。
「記憶喪失なんだってね」
「え?」
なんでこの男の子が話しかけてくるのか、リアンは不思議に思った。嫌われてると思ってたけど、そうでもないみたい。リアンは、また頷いて、彼の言葉を肯定した。
「うちでまた会った時、変な感じだったわけだ」
リアンは、彼の言葉を否定しなかった。周りで何が起きてるか分かんないのに、どうやって普通にしてられるんだ? リアン・カーテルの前の記憶なんてないし。それに、この世界に慣れるのに忙しいんだから。
「ついてきて」男の子が言って、リアンの返事を待たずに歩き出した。
(ここは私の家なのに!なんであなたがオーナーみたいな態度なのよ?)
文句を言いながらも、リアンは男の子について行って、庭に着いた。なんでこんなところに連れてこられたのか、リアンは混乱した。男の子はバラを指して、彼女を見た。
「綺麗?」
「もちろん」
「じゃあ、この植物に近づいちゃいけないってこと、分かってるよね?」彼はまた聞いた。「だよね?」
「…ううん?」
「まだ平和に暮らしたい?」男の子は、ちょっとイライラした声で尋ねた。
もちろん、生きたいに決まってる。でも、男の子が何を言ってるのか、リアンには分からなかった。庭の花は綺麗だし、庭師が毎日世話をしてくれてる。でも、リアンは新しい生活に忙しくて、間近で花を眺めることなんてなかった。部屋のベランダから見るだけだったんだ。
「花粉アレルギーなんだよ」男の子が言った。「花粉が多い花に触ると、肌が赤くなって痒くなる」
リアンは、この新しい情報に眉をひそめた。リアン・カーテルが花粉アレルギーだってこと、知らなかったんだ。家族も何も言ってなかった。プールでの事故からの回復とか、記憶喪失の方が大事だったから、忘れちゃったのかな。でも、なんか変だ。
「なんで私が花粉アレルギーだって知ってるの?」
男の子は唇を尖らせて、何も言わなかった。どうしてこの情報を忘れられるんだ?彼女の状態を知ったのは、もう遅かったんだ。あの家で大騒ぎになった時のことを思い出した。
あの時、リアンと家族は、カルビンの功績を祝うために、家族から夕食に招待されて、家を訪れたんだ。彼はついに正式な医者になる資格を取ったんだよ。
リアンは当時8歳だった。彼は、彼女が生きてる人形みたいだって思って、友達になろうとしたんだ。自分の目を見たら、リアンに嫌われるんじゃないかって怖かったんだ。でも、リアンが友達として受け入れてくれて、彼の目を気にしなかったから嬉しかった。友情の証として、プレゼントをあげようと思ったんだ。
どんなプレゼントがいいか頭を悩ませてたら、ふと庭のことを思いついたんだ。庭にはたくさんの花が植えられてて、どれも綺麗だった。リアンも可愛いから、花は彼女に似合うって思ったんだ。それで、急いで庭に行って、メイドに頼んでたくさんの花を摘んでもらった。
彼女から花束を受け取ると、リアンは彼に微笑んで、すごく可愛く「ありがとう」って言った。リアンは花束を抱きしめて、顔を花びらに擦りつけた。でも、数分後、リアンは落ち着かなくなって、腕や首を掻き始めたんだ。
白い肌に小さな赤い斑点が現れて、くしゃみをし続けた。目がウルウルして、リアンは母親に肌が痒いって言ったんだ。あの時の彼女の姿は、いじめられたみたいで可哀想だった。幸い、カルビンがその場にいて、リアンを診てくれたんだ。それで、リアンが花粉アレルギーだって分かったんだよ。
あの出来事の後、リアンは彼の家には滅多に来なくなった。彼は、リアンがもう彼と友達になりたくないんじゃないかって思ったんだ。誰も彼のことを責めなかった。でも、もちろん、自分が原因だってことで罪悪感を感じてた。
数年ぶりにリアンが彼の家を訪れた時は、本当に驚いた。でも、彼女が彼を知らないような顔で見てきたから、イライラして腹が立った。それで、彼女を避けるために庭にいたんだ。そこなら彼女は来ないだろうって思ってたから。でも、リアンが庭の花に触ろうとしているのを見て、ショックだったんだ。
また肌に赤い痒い斑点が出るのは怖くないのかな?