第16章
「何してんだよ、みんな?」
リアンが兄弟の声を聞いて、嬉しそうにカルビンの手から逃げ出して、お兄ちゃんの方に走った。そして、お兄ちゃんの腰に腕を回して、後ろに隠れた。フランシスは妹を見てから、訪問者たちに視線を向けた。状況をサッと理解したみたい。
「リアンを邪魔しに来ただけ?」
「うん。」
「いや。」
ランチェスターの兄弟は、同時にそう答えた。予想通り! 最初、フランシスはカルビンがお兄ちゃんと一緒に家にやってきた理由がわからなかったんだ。カルビンは大学の写真を見なきゃいけないって言ってたけど、最初から怪しかった。本当に見たかったら、学校の公式ウェブサイトに行ってフォトギャラリーを見ればいいんだから。
キースは、お兄ちゃんの顔面に一発かましたかった。状況を悪化させやがって。フランシスはいつもカルビンのこと疑ってるんだよな。リアンをいじめてるって思ってるから。きっかけはリアンに花をあげたことなんだけど、あれは本当に偶然だったし、事故みたいなもんなんだって! でも、カルビンはいつもリアンをいじめてるみたいに見せるんだよな。何もしてないのに。なんで俺がお兄ちゃんなんだよ? 俺の方が大人だってのは明らかだろ!
リアンはお兄ちゃんのシャツを引っ張って、気を引こうとした。今のキースのこと、ちょっと可哀想に思ってるんだよね。カルビンがキースをからかってるのは明らかだし、フランシスもキースに不当なことしてるように見える。キースは何も悪いことしてないのに。ここには大人っぽいのは自分だけだし、十四歳の子どもの体とはいえ、リアンはなるべく早く止めなきゃって思った。
「中に入って、おやつでも食べようよ。お母さんがさっきチェリーパイ焼いたんだ。すっごく美味しいんだよ!」
フランシスは乗り気じゃなかったけど、リアンが期待に満ちた目で見てるから、ため息をついた。ランチェスターの兄弟を見てから、中へ招き入れた。リアンはキースを見た。明らかにシュンとしてる。「えー」って顔してる。兄弟が口論してる間に、リアンは冷静さを取り戻して、状況を落ち着いて考え始めた。
別に、あの子が主人公だって、どうってことない。リアンはキースを恐れる必要はないんだ。だって、物語の中のリアン・カーテルの悲惨な運命とは関係ないんだから。一番警戒しなきゃいけないのは、アンドリュー・ガーティンだけ。そう考えると、主人公と友達になるのも悪くないかも。主人公の輝きをちょっと借りて、自分の悲惨な運命を回避できるかもしれないし。
リアンは「ちょっと待ってて」って言って、キッチンにパイを取りに行った。数分後、リアンは大きなチェリーパイが乗ったトレイを持って戻ってきた。キースは自然に、彼女がテーブルまでトレイを運ぶのを手伝ってくれた。でも、リアンを避けてたけど。この行動に、二人の兄たちは気づかないわけがないけど、何も言わなかった。
パイを食べ終わった後、リアンが立ち上がってキースの腕を掴んだから、みんなびっくりしちゃった。キースはちょっとビクッとしたけど、手を振り払うことはしなかった。リアンはキースに「ついてきて」って言って、二人の兄たちには「来ないで」って指示した。彼らが反応する前に、リアンとキースはもういなくなってた。
リアンは主人公を、ちょっと二人だけの空間が欲しくて図書館に連れて行った。リアンは、彼がこんな風に振る舞ってるのは自分のせいだって自覚してる。でも、自分がそんな風に振る舞ったのは、全部自分のせいじゃないとも思ってた。
目の前の主人公を見て、彼女は心の中でため息をつくしかなかった。本の中の主人公は、自立してて、ストレートで、大人で、頼りになる男だって書いてあったのに。目の前の主人公は、シャイで、からかいやすくて、落ち着きのない男の子なんだ。自分の期待とは全然違う。
「でも、別に変じゃないよね。今の彼はまだ子どもだし、それで説明がつく。」
「あのさ。」
キースは、突然話しかけられてびっくりしたみたい。
「…何?」
「さっきは、ごめんね。ちょっと…びっくりしちゃって。」
それから、誰も話さなくなった。気まずい沈黙が二人を包んだ。リアンは、それが嫌いだから、また話しかけた。
「知ってると思うけど、私はあんまり色々覚えてないの。私たちが知り合いだったのかどうかも、正直言ってわからない。もし何か失礼なことしてたら、ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったの。」
「いや、それは…」キースは言い返したかったけど、リアンはまた話し始めた。
「それで、友達になってもいい?」
「え?」
「嫌なの?」リアンは、今日起きた衝撃的な出来事から彼が立ち直るのを待たなかった。「友達になりたかったんだと思ってたんだけど。」
「い、いや、もちろん、なりたいけど…」
「じゃあ、決まりだね!」リアンは笑顔でキースの手を握った。「私の名前はリアン・カーテル。これから、良い友達になれるといいね。」
「…」
「なんか、ペテン師に騙されてる気分ってのは、どういうことだ?」
キースは、彼女と友達になりたいのは本心だった。でも、彼女との会話の感じは、無理やり友達にさせられてるみたいだった。何が起きてるのか考える時間も与えられず、もう結論が出てた。キースは別に気にしないんだけど、なんか変な感じだった。
リアンは、彼の考えてることは気にしなかった。今、彼女は密かに、自分と主人公の間に友情ができたことを祝っていた。もし二人が親しくなれば、将来、状況が悪くなったら、いつでも彼の助けを求めることができるってリアンは確信してた。だって、彼は主人公なんだから、彼の運命はきっと良いはずだ。
こうして、主人公と脇役は友達になった。