第25章
ジーナ
家に帰るのが待ちきれなかった。すぐに家に帰れるように、いつもの仕事をマジで早めたんだ。旦那は今、オフの日だから、たぶん家で待ってるはず。
あー、旦那。やっと正直に言える言葉が見つかった。家の前に車を停めて、車から降りた瞬間に、すぐに家の中を見た。旦那がもういるかなって。だって、家がすごく静かな気がしたから。今夜、二人に何が起こるのかを考えるだけでニヤニヤしちゃった。でも、たぶん、私が先に帰って、今夜の準備をした方がいいんじゃないかなって思ってる。ついに、マリアムにもらった誕生日のプレゼントの、スケスケの赤いネグリジェを着れるんだ。
頭の中には色んな事が駆け巡ってる。ロマンチックな夜にするために、キャンドルライトディナーを用意して、お酒も用意しなきゃ。
これは本当に、私が待ちに待った夜なんだ。「結婚した夜」って呼べる夜。そして今夜、エースに「大好きだよ」って言うんだ。
エース
ソファにだらーんと座って、ジーナを待ちながら考えてる。今朝、二人に何が起こったかを思い出して、深呼吸を何度も繰り返した。でも、アラームシステムが数秒間鳴ったとき、すぐに姿勢を正した。あれはジーナが帰ってきた合図だった。
「ハーイ!仕事どうだった?疲れた?」ジーナが家に入ってきたと同時に、彼はそう言った。
「え、エースがもういるなんてびっくり。でも、全然疲れてないよ」彼女は笑顔で答えた。「むしろ、シャワー浴びたい気分。一緒に入らない?」
ジーナに返事をする代わりに、彼は彼女に背を向けて歩き出した。ジーナがついてくるなんて、全く予想してなかった。彼女の目の中の希望に満ちた眼差しは、すでにお腹の中で燃え盛っている罪悪感の火に油を注ぐようで、長く彼女と顔を合わせられなかったんだ。
「エース?」彼女が彼を呼んだ。
エース、彼女と向き合って、臆病にならないで。彼はジーナの方を向いた。「なに?」
「どうしたの?」
彼はただジーナを見つめて、何を言えばいいのか分からなかった。「とりあえず座ろうか」
ジーナ
エースの行動に困惑してる。だって、彼の気分が変わるなんて思ってなかったから。「私が何か変なこと言った?」
「なんでこんなに早く帰ってきたんだ?」エースはまた彼女に尋ねた。
「最後の科目が休講になったって言ったでしょ。クラスメイトと帰ってきたの。電話したんだけど、出なかったから、迎えに来てもらわなくていいように、テキストメッセージ送ったんだよ」
「今朝はいろいろ考えてて。だから、携帯見るの忘れちゃったんだ」
「あなたが走り終わってからシャワー浴びるために帰ってくると思ってたから、私のメッセージに気づいたと思ってた。ちょっと話したいこともあるんだけど…」
「何?」
「さっき学校で、ある男の人に気づいたの」
「何かされたのか?」
彼の声の激しさに彼女は驚き、彼を落ち着かせようとした。「ううん。最近気づいたんだけど、学校にいつも私を追いかけてくる男がいるの。どこに行ってもそこにいて、いつも私を見てるの。だから、彼が家までついてこないように、学校から早く逃げなきゃって」
エースは顔に手を当てた。彼女は彼の表情を読み取ることができなかった。
「学校まで迎えに来ないで。私は自分で守れるから。護身術のクラスを取ってたから、護身術のことはちょっと知ってるの」
「分かった。お前に任せるよ」
ジーナはエースの素早い返事に驚いた。まさかそんな反応が返ってくるとは思ってなかったんだ。「今朝、なんであんなに時間かけてセキュリティコードを入力したんだ?」エースが突然尋ねた。
「結婚してから、アラームシステムなんてほとんど設定してなかったの。今朝は完全に頭が真っ白になってて、コード忘れちゃったんだ。バスルームのドアから入りたかったんだけど、家の鍵をここに置いてきちゃったの。だから、あなたのコードを当てずっぽうに入力してたら、正解しちゃった。ドアが開いたときに気づかなかったんだけど、私の頭に銃が突きつけられてたの。それって、ライセンス持ってるの?」
「許可証。もちろんあるよ」
エースは彼女をじっと見つめた。「もし今日何かあったら、それはミスだった」
彼女はただ自分を抱きしめて、彼の言葉に反論した。「素敵だったよ」
「でも、それはやっぱりミスだ」
「あなたにとっては、ね。でも、私にとっては違うの」
彼女は彼が頭を掻くのを見た。「言い訳はしない。僕の責任だ。全部僕のせい」
「あのね、エース」彼女は彼を見つめながら言った。「あの時、あなたを惹きつけようとしたわけじゃないし、無理強いしたわけでもないの」
「ジーナ、そんなつもりじゃなくて…」
「嘘よ、エース。初めてのことなら、たぶん、本当に本気じゃなかったんだって信じるわ。そして、初めては熱に浮かされたからって許すわ。でも、二度目に私としたでしょ。それは計算ずくだわ。だって、考える時間はたっぷりあったはずだもん」
「お前の言う通りだ」
彼女は震えながらエースに近づいた。「で、今?」
「今、俺たちは最初に戻ろう」彼は答えた。
彼女は何も言わず、代わりに大声で笑った。
「ジーナ、お願いするのは大変だってことは分かってるよ。お前が俺のこと分かってないってことも」
「そうね。で、何があったのか説明して。つまらない言い訳だけは聞きたくないわ。じゃあ、経験料ってとこ?って感じ?」彼女は眉を上げて言った。「責任を押し付けたってどうにもならない。私も、あなたの期待にそぐわない期待をしてたから、ある程度は自分を責めなきゃいけない。あなたのせいだけじゃないの。今、私たちには橋がある。でも、時には渡らなきゃいけないし、燃やさなきゃいけないこともある
そう言った時、彼女は喉が痛いみたいだった。くそったれ。くそったれだ。でも、彼女は彼を愛してた。彼女はこの無感覚な男を本当に愛しすぎてる。彼を理解できないのに愛してる。そして、彼が自分のしたことを後悔してても、彼女はまだ彼を愛してる。彼は混乱を避けるためにルールを信じてるから、自分が正しいことをしてるって自分を納得させたんだ。
彼女が今感じてるのは、拒絶の痛み。自分が一番愛する人が、一番愛するのが難しい人だってことに気づいたから。
「じゃあ」彼女は作り笑顔で言った。「明日からまたやり直しましょう」
「それは俺にとってすごい助けになるよ、ジーナ」
「そうね!私はただの最高の女よ、ハニーパイ」
エースに背を向けようとした時、彼女は何かを思い出した。「さっき、なんで銃を持ってたの?誰が来ると思ってたの?」
「まさかお前が来るとは思ってなかったんだ。強盗かと思った」
エースの言葉に彼女は傷ついたけど、彼の目には謝罪と痛みも感じられた。彼の魂を垣間見たことで彼女は慰められ、希望が湧いた。
お前、エース・ロデリック・デュラント三世、分かってないんだよ。私がお前を幸せにする一番の存在だってことを。そして、私は絶対にお前を見捨てない。