第19章
真っ暗な夜、満月が空でキラッキラに光ってた。
キラは自分がどこに向かってるのかも、何をするのかもわからずに森の中に入ってったんだ。
そしたら突然、天気めっちゃ変わった。
木が風の向きに踊り出して、何マイルも先から大きな笛の音が聞こえてきた。
それが耳に響いて、キラはその笛の音がどこから聞こえてくるのか探ろうとした。
奥に進むにつれて、あたりは霧で覆われて、何も見えなくなっちゃった。
霧をかき分けて、何が起きてるのか見ようとしたら、左足で大きな岩みたいなやつに思いっきりぶつかって、痛くてうずくまりながら地面に倒れちゃったんだ。
ぶつけた足を見てみたら、激しい痛み以外、ひどいケガはしてなかった。
顔を上げたら、霧はさっきまでと違って消えちゃってたんだけど、目の前に広がってたのは、何人もの仲間たちの死体。
血がまだ何人かのやつらから流れ出てた。
キラはショックで目を見開いて、心臓はバクバクし始めた。
「な、何が起きてんだよ?」
そう心の中でつぶやいて、慌てて起き上がって、死体に向かって走り出した。
「一体何が起きてんだよ!」
苛立ちながら叫んで、やつらが何に襲われたのか探そうとしたけど、あたりを見回して死体を観察しても、こんな大量殺人につながるような原因は見当たらなかったし、自分たちの仲間である人狼がこんな恐ろしいことできる証拠もなかったんだ。
どんなに強い人狼でも、これはあまりにも現実離れしてて、残酷すぎたんだ。
「誰かいる?」
キラは怒って叫んだ。
こんな混乱の裏にいる悪い顔をどうしても見たかったんだ。
臆病者たちがせめて姿を見せることを願って周りを見回したけど、代わりに目に飛び込んできたのは、数フィート先に立ってる大きな木。
そこには「やつらはもうここにいる」って言葉が書かれてたんだ。
キラは真夜中に夢から飛び起きて、激しく息を切らしてた。
額には汗がにじみ出てて、必死に呼吸を整えようとした。
キラはめったに夢を見ないから、こんなに長い時間夢を見て、こんなにメチャクチャな感情で目が覚めるなんて、すごく驚いたんだよね。
一番最悪なのは、その夢がすごく鮮明でリアルだったこと。
まるで現実みたいに感じてた。
ベッドから飛び出して、水の入ったジャグが置いてあるテーブルに向かったんだ。
コップに水を入れて、落ち着いていつもの呼吸を取り戻そうと、急いでそれを飲んだ。
「やつらはもうここにいる…」
誰が「やつら」なんだろうか、そう思いながらつぶやいたんだ。
「太陽に呪われた生き物たちかな?」
そう心の中で考えて、恐怖がゆっくりと心に忍び寄ってきた。
「いや、まさか。そんなわけないよ。まだ早すぎる。」
そう自分に言い聞かせたんだ。
それが本当じゃないことを願って祈ったんだ。
だって、今のところ、何にも対応する準備なんてできてなかったんだから。
******
シルバームーンパックの境界にいた3人の男たちが、死体を背負って本部に駆け込んだ。
みんな何が起きたのか、どうやって男たちが殺されたのかと不思議がってた。
ダミアンは、緊急で自分の出番だって知らされたんだ。
到着してみると、3人の部下の死体を見た。
しかも、ただの部下じゃなくて、同じアカデミーに通ってた幼馴染のコリー、マイケル、ジェイソンだったんだ。
「一体何があったんだ?」
震える声で尋ねて、死体に近づいて調べてみた。
「全くわかりません、アルファ・ダミアン。
死体を見つけたんです。
襲われたようです、旦那。」
サイラスが説明した。
サイラスは境界で一番強い狼で、隊長でもあった。
「やつらがどこに向かってたのか、なぜ持ち場を離れたのか、何か知ってる?」
ダミアンが尋ねた。
「変な音が聞こえたんです、旦那。
それで、何なのか調べてくるように言ったんですが、しばらく経っても戻ってこなくて。
それで探しに行ったんです。
そしたら、死体があったんです。」
サイラスが説明した。
「それで?誰がやったんだと思う?」
ダミアンが尋ねた。
「確かなことは言えません。
でも、いきなりこんなことになったこと、あと巷の噂からすると、レッドムーンパックに襲われたんじゃないかと。」
ディランが口を挟んだ。
ディランの発言後、部屋全体が静まり返った。
キラのことを疑ってなかったら、ダミアンも疑わなかっただろうけど、正直に言って、死体についてた傷跡は、人狼が残すようなものじゃなかったんだ。
最初は変身してたみたいだけど、襲われた後、人間の姿に戻ったみたいなんだよね。
もし本当に狼に殺されたんだったら、体中に引っ掻き傷とか爪痕がついてるはずだけど、何もなかったんだ。
でも、それも、狼が殺したんじゃないってことを証明できるわけじゃないんだよね。
「なるほどな。」
ダミアンは低い声でつぶやいた。
「旦那、レッドムーンパックは戦争を必死に求めてるみたいで、最終的には、やつらにそれを与えることになるでしょうね。」
ディランが怒って吐き捨てた。
ディランみたいなやつらは、いつもライバルパックとの全面戦争をする口実を探してるんだよね。
レッドムーンパックへの憎しみはすでに頂点に達していて、やつらに対する考えはもう変わらないって信じてた。
ダミアンはため息をついた。
問題を長引かせて、結論を急ぎたい気持ちはあったけど、キラが自分たちのパックにいるから、そうもいかなかったんだ。
もっと悪いことに、まだ彼女が自分の番だってことを考慮しなきゃいけなかったんだ。
「死体を埋葬して、きちんと見送ってやれ。」
そうやつらに言った。
その時、ダミアンが考えられることといえば、ここを離れることだけだった。
ドラコと話して、キラを呼び出して尋問しようと思ったんだ。
少なくとも、これはキラを拘束するのに十分な口実になった。
彼女は自分からここに来て、本当に平和と解決を望んでるかのように振る舞ってたけど、実際は、パックのメンバーたちが好き勝手するようにさせてるだけなんだ。
「厚かましいやつ。」
そう心の中で思った。
部下たちが去るとすぐに、ドラコが彼のそばに近づいた。
「なんか変なことが起きたような気がするんだけど。」
ドラコが言って、舌打ちした。
「変なことなんかじゃないよ、ドラコ。
全部彼女の計画通りなんだよ。
全部計算ずくで、まるで罠に気づいてないかのように振る舞うためにここに来たんだ。」
歯を食いしばりながら拳を握りしめて言った。
「どういう計画なんだ?
まさか、レッドムーンパックが裏で糸を引いてるって本気で思ってるのか?」
ドラコが尋ねた。
「ああ、もちろんそう思ってる。」
ダミアンはきっぱりと答えた。
「はあ、はあ、はあ。」
ドラコは舌打ちした。
「冗談だろ、ダミアン。
ローグウルフに襲われた可能性だってあるんだぞ?
それに、ダミアン、もし本当にレッドムーンパックがやったんだったら、もうすでに大騒ぎしてるはずだってことは俺たちも知ってるだろ。
あいつらはこそこそやるのが好きじゃないんだから。」
ドラコは弁解した。
ドラコはやつらが嫌いだったけど、仲間の死が、おそらくレッドムーンパックとは何の関係もないってことは否定できなかったんだ。
「お前、本当にあいつらの肩を持ってるのか、ドラコ?」
ダミアンは冷たく言った。
「肩を持ってるんじゃないよ、ダミアン。
ただ、冷静になろうとしてるだけ。」
ドラコは目を回して答えた。
「わかった。
じゃあ、キラを呼んで、全部確認しよう。
彼女に説明させたい。」
そう命令して、ドラコはすぐに誰かに彼女を呼ぶように指示した。
数分後、キラはダミアンの前に立って、一体全体、なんで自分をこんなに急に呼び出したんだろうって不思議に思ってた。
普通、ダミアンに召喚されたやつは、座っちゃいけないことになってて、彼がそうしろって言うまで立ってるもんなんだけど、キラはそうするつもりはなかったんだ。
すぐに部屋の椅子に座ってくつろいだ。
片方の足をもう片方の足の上に乗せて組んだ。
「何がしたいの?」
そう尋ねた。
ダミアンは、彼女の態度に内心ひどくうんざりした。
彼女の態度と、彼に対する話し方への嫌悪感を隠せなかったんだ。
彼女のことを見るたびに、彼女は偽善者でいたずら好き、そして無邪気な顔をしたやつにしか見えなかったんだ。
「平和を望んでるって言ってたけど、俺の部下を殺してるってことは、お前の仲間たちはそう思ってないみたいだな。」
そう冷たく言い放った。
キラは彼の言葉に驚いてた。
信じられなかったんだ。
自分が知る限り、自分のパックのメンバーたちはすでに彼女をアルファとして受け入れて、両パックの平和を取り戻すっていう彼女の決断を支持してたんだから、なんで彼女の背後で裏切って殺したりするんだ?
そう心の中で思ったんだ。
眉間のシワを寄せながら、もし本当にやつらが犯人だったとしたら、何がやつらをそうさせたのか考えようとしたんだ。
「なんでそんなに黙ってるんだ、アルファ・キラ?
猫が舌を呑んだのか?
お前のゲームが本当に終わって、今こそ俺がお前を殺す理由ができたことに驚いてるのか?」
そう尋ねて、案の定、キラの神経を逆撫でした。
キラはため息をついた。
「お前のバカさにはいつも驚かされるよ、ダミアン。
まあ、とにかく、殺された部下たちの死体を見せてくれる?
だって、私はあなたの主張を信じるのがすごく難しいの。
なぜなら、私の仲間たちが、私があなたの目の前にいるのに、あなたの部下を殺すほど愚かなことするわけがないって確信してるから。」
そう弁解したんだ。
でも、心の奥底では、本当に自分たちの主張が正しかったらって少し恐れてたんだよね。
叔母は自分がいない間、物事が手に負えなくなることのないようにすると約束してくれたし、自分のパックのメンバーたちが、自分の叔母が国境警備隊から知らされないまま、ここに忍び込んで人を殺すなんてありえないことなんだ。
ダミアンは鼻で笑った。
「うぜえんだよ…」
彼女に何て言えばいいのかわからず、怒ってアームレストに手を叩きつけたんだ。
「やつらがやってないって言うのか?
つまり、冷静に考えてみよう。
一体、お前の仲間じゃなかったら、誰が俺の仲間を傷つけようとするんだ?
それに、お前の仲間はみんな短気で、騒ぎを起こすのが大好きだってことは俺たちみんな知ってるだろ?」
そう答えて、キラはイライラせずにはいられなかったんだ。
キラはダミアンが話すたびに、頭の中に浮かぶのは、彼が本当にいかに未熟でバカなのかってことだけなんだ。
彼が自分との違いだけで、あんな風にしか接しないのか、それとも他の人たちにもあんなにイライラさせてるのか、彼女には確かなことは言えなかった。
苛立ちながら鼻の根元を摘んで、返事をしたんだ。
「さっきも言ったように、あなたの主張を確認するために、死体を見せてください。
私の仲間と私は特別に訓練を受けているので、本当にやつらが犯人かどうか確認できるはずです。」
そう冷静に返事して、落ち着きを失って彼のレベルに落ちないようにしようとしたんだ。
「わかった!
お前の好きなように。」
そう答えた。
「ドラコ、葬儀は中止して、死体を持ってこい。」
そう指示して、ドラコはすぐに退席したんだ。
あの2人から離れていられるのが、これ以上なく嬉しかったんだ。
数分後、キラの前に死体が並べられた。
もし本当に自分のパックが自分の指示に反してシルバームーンパックを襲撃したとしたら、彼女はどう対応すればいいのかわからず、緊張したんだ。
死体の前に立つと、深呼吸をして、体を分析するためにしゃがみこんだんだ。
安堵のため息をついて、膝立ちになり、ダミアンに向き直った。
「私はあなたの主張を大胆に否定して、私の仲間たちは死に関与してないと主張できます。
そして、一番悪いこと、というか、一番良いことってわかる?
この男たちは人狼に殺されたんじゃないの。」