CHAPTER17
この人、マジでヤバくない?
「もしかして、ストーカーとか? いや、今のはめっちゃアホな質問だった」 ストーカーっぽい男が私を見て笑うから、私は顔を覆った。
「いや、ストーカーとかじゃないよ。てか、もう会ってるし」って彼。
「いつ?」
「えっと、レストラン。あのさあ、君をその…婚約者になる人に突き飛ばしちゃった男だよ。まさか、それが君の婚約者だとは思わなかったけど」って言って笑ってる。
「あー、いたね。思い出したわ」って、彼だって分かって言った。
「そうそう、家の真向かいに住んでるし。こっちに引っ越してきてからまだ数週間だけど、君のこと色々見てたんだよね、大体4週間くらい?」ってニヤニヤしてる。
「ちょっと、ストーカー男、説明してくんない?」って面白がって聞いてみた。何故か、この男の側にいるとすごく安心するんだよね。
「名前はエイデン。あの君の婚約者との一件の後、謝ろうと思って探してたんだけど、いつも君は居なくてさ。諦めてたんだけど、チョーピーのダウンタウンで誰かと一緒にいるのを見て、それがデートかなって。だって、ファストフードのレストランに行くのに、めっちゃオシャレしてたし」って笑ってる。
「いや、弁解すると、どこに連れて行かれるか言われなかったし、その男のこと、マジで初めて会ったんだから」って反論。
「そっか。それでさ、ちょっと君が居心地悪そうにしてたから、何かしてあげようかと思った時に、昔からの友達が来て、それで気が散っちゃって。ええっと…そうそう。それで、1週間くらい経った頃かな、君が引っ越してくるのを見て「うわ、マジか!」って思ったんだけど、アレクサンダー・ウェインと一緒って分かって「なるほど」ってなった。新しい婚約者だってね」
「で、結局何が言いたいの?」って遮ってみた。
「ちょっと待って。数日後、君が家からすごい慌てて出てくるのを見て、遅刻かなって思ったんだよね。そしたら、車が動かなくなっちゃって、それでイライラしてて、可愛かったよ。って、余計なお世話だけど。助けてあげたかったんだけど、見ず知らずの人に助けてもらうのは嫌だろうなって思って、やめといたんだ。で、学校に行って、君を置いてきちゃった。その1週間後くらいに、ウォルマートから出てきたら、夜に歩いて帰ってる君を車がつけ回してて、それで君がドライバーにスプレーしてたよね。ハハハ、あれは笑ったわ」って笑い出したから、私は彼に中指を立てた。
「それで、最後に君と婚約者が酷い口論をしてたのを聞いたんだ。結構マジな感じだったから、近所みんなに聞こえてたと思うよ。静かな住宅街だってこと、忘れちゃったかな?君ん家、めっちゃ響いてたよ?」って締めくくった。
「つまり、あなたはストーカー?」
「いや、ただ君がいつもいる場所にいるだけ。あ、あと、もう一つ」って。
「何?」
「君の婚約が嘘だってことも知ってるよ」
彼は無表情で言った。
「はあ? 何言ってんの?」って、知らないフリした。
「それで、なんでアメリカに来たの? どこから来たの?」って、彼の言葉は完全に無視して聞いてみた。
彼は笑って、「バンクーバーに親と住んでたんだけど、住むところも車も付いてる仕事に就いたから、ラッキーって思ったんだよ」って答えた。
「じゃあ、あの広い家に一人暮らし?」って、彼のめっちゃ広い家を見て言った。
「うん」って頷いた。
「それ寂しいね」
「バスに乗り遅れそうだし、乗せていこうか?」って、自分の車を指さして言った。
「え? 車で来たのに、バスに乗るつもりだったの?」
「やっと話せると思ってさ、それから、もうストーカーみたいなことやめようと思ってたんだ。ってニヤッとした。
うわ、エクボあるじゃん。エイデンって身長187cmくらいで、ガッチリしてるし。あのエクボとかあって、ちょっとカッコいいんだけど。
「めっちゃ見てる」って、満面の笑みで言いながら、彼の車に向かって歩き出したから、私もついて行った。
「別に見てないし。なんで今までカナダに行ったことないんだろうって思ってただけ。あそこ、マジでイケメンしかいないじゃん」って、思わず口に出して、頭の中で「あーあ」って思った。
「え? 偉大なるジャック・スチュアートと家族が、カナダに行ったことがないって?」って、驚いて聞いてきた。
「ううん、お父さんは行ったことあるけど、私はない」って訂正。
「ちょっと待って、どうして私の父さんのこと知ってるの?」ってエイデンに聞いた。
「最近はこういうの読むんだよ。新聞っていうんだけど」って、呆れたように言った。
「アハハ、面白いね」って皮肉っぽく返した。
「心配しないで。いつかカナダに行く機会があるよ。そしたら、思ってた以上のものが見れるかもしれない」
「そうだと良いんだけどね」って肩をすくめた。
「それで、ロレーヌ、いつまで歩道に立ってるの?車に乗らないの?」ってエイデンが聞いた。
「あー、うん、乗る」って答えた。
家までのドライブは、結構居心地が良かった。色々話をして、共通点もたくさんあった。
着いたー!素敵な夜をありがとう! そして、もしかしたら、この超イケてる私と友達になれるかもよ?私、レアだからね!」って、自分を指して言った。
「そうだね、そうしよう」って笑ってる。
「おやすみ、エイデン」
「おやすみ、ロレーヌ。それと、婚約が嘘だってこと、忘れないでね」って、耳元で囁いてから、自分の家に戻っていった。
そして、私の嘘はバレたのでした…