CHAPTER40
うとうとしてたら、太陽の光で目が覚めてきた。
あー、やっぱ家って最高。
外をぼーっと見つめながら、顔がニヤけてきちゃった。だって、すごく久しぶりに、明日はもっといい日になるって自信を持って眠れるようになったんだもん。
やっと私の片割れもそばにいるし、唯一の敵だと思ってた人もいなくなったし、友達もいい感じだし…問題は、先週末のパーティーでレクシスがぶちギレて出てってから、まだ一言も話してないってこと。しかも、実家に帰る飛行機のチケット買ったらしいし。
あー、また問題発生。
高い声の叫び声で考えが中断された。何事!?と思って叫び声のする方へ走ったら、ただのメリアだった。
「朝っぱらから何なの、あんたは?」
冷蔵庫からジュースパックを取りながら、私は文句を言った。
「レオンが帰ってきたのは嬉しいけどさ、マジでなんでみんなドア開けっぱなしなの?もう少しプライドとかないの?」
メリアが文句を言うから、ちょっと睨んでやった。
「メリア、お前だって大して変わんないじゃん。マジで、お前ら二人ともプライドとかないんだよ」
「そんなに怒んなくてもいいじゃん、ウブな妹ちゃん」
リーが入ってきて、私は彼を睨んでからハグしてチュッてした。
あー、やっぱ落ち着く。
「自分の家から荷物取りに行くの?それとも、レクシスに自分の気持ち伝える気?」
メリアがカーターの裸の胸に手を回しながら聞いてきた。
「前者。後者はありえない。一生ないわ」
自分の気持ちも知らないくせに、恥ずかしい思いするのは嫌なんだもん。だから、伝えるのはナシ。
「ライアンって、マジであの男のこと好きなんだな?」
リーがちょっと面白そうに聞いてくる。
「うっさい!」
私は無視した。自分の荷物を取りに行って、ここに持って帰ろうと思ってただけなんだ。だって、レクシスが私にいてほしいのかどうかわかんないからさ。でも、心の底では、全部が恋しくなるんだろうな。
「シャワー浴びて、そっち行くね」って言ってたら、みんなイチャイチャしてて、私だけ蚊帳の外だった。
マジでうざい。
****
家に入って、自分の荷物を整理してたら、なんかめっちゃ帰りたくない気分になってきた。自分の半分を置いていくような感じ。でも、どうしようもない。
荷造りが終わって、部屋から運び出そうとしたら、ちょうどシャワーを浴び終わったレクシスと鉢合わせた。首にタオ巻いてる。
「やあ」
「出ていくんだろ。わかったよ」
私の挨拶は無視して、そう言った。なんか、いつものレクシスと違うんだよな。
「うん、まあ、エリエルがいなくなって、婚約の話もなかったことになったし、私が消えてほしいのかなって思って」
ため息交じりに言った。
「俺がそう言ったか?」
そう言って、レクシスの目に感情がチラついた。
「えーっと…」
私は言葉に詰まった。
「…まあ、いいや。行けば」
レクシスは首を振って、どこかへ行ってしまった。
「一体何なの? 行くって言ったり、行かないって言ったり…」
マジで意味わかんない。
「だってさ、人生で初めて幸せになれるかもしれないって思ったのに、今度は親が出てくるんだよ。俺を捨てた親が…」
「それはちゃんと理由があるから」
私は遮った。
「お前は知らないだろ。だって、お前は全部持ってるじゃん。人生最高じゃん…」
「まず、黙れよ。私の人生がいいのは、そう信じてるからだよ。でもお前は?違うだろ。やっと親ができたのに、なんで話を聞こうとしないの…」
「それが簡単だと思うのか?二十年間も、あのクソ女エリエルと一緒にいて、何事もなかったかのように俺の人生に入ってくるんだぞ」
レクシスが叫んだ。
「ちょっとだけ、チャンスをあげてよ」
そう言ってたら、リーから電話がかかってきて、私は咳払いして電話に出た。
「もしもし、リー、何…」
「救急車がカーターを病院に運んだって」
*****
できる限り早く走って、病院の廊下を駆け抜けた。汗が肌にまとわりつく。
マジで、この場所広すぎ。
やっとメリアとブルックが待合室にいて、不安そうにしてるのが見えた。心臓が締め付けられる。
「何があったの?」
私はそう言って、席に座った。
ブルックがすすり泣きながら答えた。
「わかんない…みんなで楽しく笑ってたのに、急に咳き込み始めて、ゼーゼーして…マジでヤバかったの」
息を切らしている。
「ライアン、看護師さんが、カーターに会ってもいいって。214号室だって。でも、あんまり時間ないから…」
リーが言い終わらないうちに、病室に走って行って、ドアを勢いよく開けた。
「マクベス、お願いだから医者の言うこと守ってたって言って!マジでサボってないよね?」
私は睨んだ。
「いやー、それが…」
「医者の言うことって、何?」
メリアが聞いてきて、私は固まった。
あー、まずい、余計なこと言っちゃった。
「えーっと、みんなに知っておいてほしいことがあるんだけど」
「お前、α1アンチトリプシン欠乏症(AATD)なんだって?何?医者が説明してくれたけど」
リーはイライラした声で言った。
メリアとブルックが息をのんだ。
「え?今、言うの?マジかよ」
「実は、ロリーには話したんだ。だからセーフでしょ?ね?」
みんなの目が私に集まった。
「知ってたの?」
メリアが息をのんだ。
「言い訳する前に言うけど、知った時はパニックになって、誰にも心配してほしくなかったから、ロリーにだけ電話したんだ。ごめん、私のせい」
「え、誰も悪くないよ。ただなんで私に言ってくれなかったのか、腹立つだけ」
メリアがそう言った。
「ごめん」
彼は彼女を抱きしめ、彼女は優しく微笑んだ。
「あー、もう、変なことしないでよ。でも、マジで、AATDって何なの?」
「呼吸系の病気みたいなもん。お前にはわかんないから」
リーはそう言って突き放した。
「何で、お前の方が頭いいって思ってんの?」
ブルックが反論して、みんなで軽く笑った。
「それで、レクシスとのことはどうだった…」
カーターがそう言いかけた時、激しく咳き込みめた。途切れることなく。
恐怖が体を駆け巡り、私は彼のそばに駆け寄り、リーは医者を呼びに走った。
一体何が起きてるの?