CHAPTER3
起きたら、最悪って決まってる。泣き疲れて寝た日の朝なんて特に。頭蓋骨が痛いっていうか、ズキズキする痛みが数秒おきに襲ってくる感じ。
ぼーっと時計を見たら、目がまだ慣れなくて見えにくい。朝の6時半か。授業まであと2時間しかない。
正直、着飾るのに永遠の時間を使うタイプじゃないんだよね。アメリアはよくやるけど。重いため息をついて、起きる気力を探す。こんな朝早くにお風呂とか、マジ無理。
キッチンに行ってジュースでも飲もうと思ってたら、空っぽかなって思ったら、ブロウクがきちんと着飾って、日記に何か書いてる。レオンの日記だって。私の心臓、キュッてなる。レオンがいなくなってからずっと、だよ。
可愛いじゃん、って思うことにした。
「おはよう、ブロウク。昨日の夜はどんな感じだった?」眠い目をこすりながら聞いてみた。
ブロウクはこっちを見て、すぐに目が大きくなった。
「えっ!マジで、顔色やば!みーお・テローゾ。また悪夢見たの?」心配そうな声がはっきり聞こえる。
|私の愛する人|
レオンがいなくなってから2ヶ月、私は鬱になった。悪夢もひどくて、冷や汗をかいて起きることもあった。その悪夢で一番鮮明だったのは、レオンの死体とか、彼が殺されるのを見て、何もできない自分とかだった。助けを求めたら、悪夢はかなり減ったけど、完全に消えることはなかった。
彼女に呆れて目を回す。私以外にも英語以外の言語を知ってる友達がいるのって結構めんどくさいんだよね。
「別に、わざわざそんなきついこと言わなくてもいいじゃん。せめて、オブラートに包んでよ。」テーブルを避けてオレンジジュースを取って、一気に飲み干す。
「もし、そんなことしたら、Ti ucciderò e ti darò da mangiare ai miei cani.」ブロウクは私を止めて言った。
|お前を殺して、犬に食わせる|
「今、何て言ったのかマジで知りたくないんだけど、興味本位で聞くけど、何て言ったの?」混乱しながら尋ねた。
「お前を殺して、犬に食わせるって言ったの。」ブロウクはストレートに言って、私からカートンを取り上げて、ジュースをカップに注いで、私に差し出した。
彼女、犬なんて飼ってないのに。
私は心の中でムカムカしながら、渋々ジュースを飲んだ。
「うわっ!」高い声に驚いて、ブロウクにジュースを全部こぼしてしまった。彼女が私を睨んでることに気づいてなかった。
振り返った時には、アメリアが叫んでる奴を叱責してた。「なんで私の耳にそんな大声で叫ぶのよ?私を耳が聞こえなくしたいの?おばあちゃんみたいに?」耳を触りながら怒ってる。
「No bebita, あなたは歯並びがおかしいわけじゃないでしょ。」真剣な顔で言う。私は変な顔で彼女を見た。
|ベイビー|
「じゃあ、なんでこんな朝早くから叫んでるの?」アメリアは苛立ちながら尋ねる。私に視線を戻して、しかめっ面になった。
「ダーリン、あなたどうしたの?顔、なんか…」言葉を飲み込んで、代わりに私の顔を指した。
「今日のバカどもは一体何なの?起きたばっかりだっての。何と思ってたの?ヴィクトリアズ・シークレットのモデルでも期待してた?」言い返した。自分が酷い顔だってのは分かってる。もう少し優しくしてくれてもいいのに。何度も言われてるし。
バスルームに行こうと振り返った時、ブロウクが妙に静かなことに気づいた。そして、すぐに彼女が静かな理由が分かった。
うっかりジュースをこぼしてしまったんだ。
振り返ると、ブロウクの怒りに満ちた視線が私を捉えた。逃げないと、マジでヤバいって分かった。今までで一番早く、本気で走って、バスルームに飛び込んで、ドアをロックした。ブロウクは閉まったドアにぶつかり、悪態をつこうとしてるのが聞こえた。…「試み」だけどね。
「覚えてろよ、ロレイン。」彼女の声は低く、脅すような感じ。
本気な時しか、こんな風に呼ばないんだよな。
ゴクリと唾を飲み込み、笑ってごまかそうとした。
「はいはい、そうですねー。」
………………
ノースリッジ大学は、今まで見た大学の中で一番平和だ。
誰も干渉しないから、トラブルとか全然ないんだよね。でも、すぐに変わるんじゃないかって、変な予感がしてる。
今は経営学を勉強してる。どんなにギスギスしてても、お父さんみたいに自分の会社を経営したいってずっと思ってたんだ。レオンは、お母さんみたいに弁護士になりたがってた。ローガンはどっちも選ばなくて、自分の道を行くって決めたんだよね。彼は工学を専攻してて、すごく頑張ってる。自慢の弟だよ。
今は、一番好きなハローウェル先生のビジネス101の授業中。…嫌味だよ。マジであの人、この世で出会った中で一番イライラする人だと思う。
私がまだここにいるのは、この授業が他の科目よりも必要だから。
授業はあっという間に過ぎたけど、全然気づかなかった。大体ボーッとして、教科書読んでるだけ。先生が何を言ってるのか、誰も分かってないし。
授業が終わって、すぐに立ち上がって本を片付けてたら、ハローウェル先生に呼び止められて、すごく作り笑顔で言われた。「ストゥアートさん、今日は何か学びましたか?テストのこと、忘れないでくださいね。」
「はい、先生。」会話を避けて、廊下に駆け込んで、全力疾走した。
あまりにも速すぎて、革ジャンを着た壁がこっちに向かってくるのに気づかなかった。気づいた時には遅すぎて、顔面から激突。
硬い、石みたい。
本は床に散らばった。
「やあ、お姫様。もう少し周り見て歩かないと。」壁はイギリス英語訛りで言った。私にウインクまでしてる。
イライラしてため息をつきながら、床から本を拾い始めた。マジ、うざい壁。
「あなたが邪魔さえしなきゃ、こんなことにならなかったのに。」
「おっと、気が強いね、お姫様?」信じられない笑顔で言った。
「すみません、行きたいところがあるんで、今は邪魔しないでください。あと、お姫様って呼ばないで。」彼をよけて通り過ぎようとしたら、「会えてよかったね、お姫様。」って聞こえた。
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ずっと働きたかったんだ。16歳になってから、レオンがいなくなって、仕事を探すために家を出た。カーターの妹、ジョアンヌが、アメリアとカーターと私に、彼女のレストラン、ジョアンヌのキュイジーヌで仕事を紹介してくれたんだ。
今は、カーターと私だけで、他に3人のスタッフがいた。
「マクベス、授業どうだった?」カーターが客の対応をしてる時に尋ねた。
「俺の名前じゃない。」歯ぎしりしながら言った。テーブルにいる女の子が、彼のミドルネームにクスクス笑ってる。
「まあ、いいんじゃない。」同情して彼の背中を叩いた。
シフト開始まで少し時間があったから、一番好きな本、Pause!!を読もうと思った。
読書に夢中で、同僚のステイシーがシフトが始まったって教えてくれたことに気づかなかった。
エプロンを急いでつけて、髪をまとめ、深呼吸して仕事を始めた。
3時間働いて、客が皿を割ったり、客同士がベッドで誰が主導権を握るかで激しい喧嘩したり、2組の赤ちゃんが泣きわめいてレストランを騒がせたり、おばあちゃんに子供を静かにさせろって言われたり…まるで私が母親みたいだった。
疲労がじわじわと押し寄せてきて、シフトが終わるまであと2時間もあるのに、絶望してため息をついた。アメリアはちょっと前にシフトに入ったから、一緒に励まし合いながら働いてる。
ジミー、私たちのスーパーバイザーが、テーブルの注文を取るように呼んだ。メモ帳を持ってアメリアを置いて、テーブルに向かった。
「こんにちは、ジョアンヌのキュイジーヌへようこそ。今日は何になさいますか?」練習した笑顔で言いながら、メモ帳を見た。
なぜ客が返事しないんだろうと思って顔を上げたら、あまりのことに「あなた!」しか言葉が出てこなかった。
「やあ、お姫様。」壁が驚いたように言った。しかめっ面がいたずらっぽい笑顔に変わった。
クソったれ!