CHAPTER33
夕食は、エイデンがいなくなった後、ようやく活気を取り戻し、色んな話が飛び交ってた。
その間、あたしの意識は全部カーターに向いてて、顔には心配そうな表情が浮かんでた。やつ、すっごく顔色悪くて疲れてて、いつものカーターらしくなかったんだよね。マジで、もうちょっと真剣になってくれればいいのに。
レクシスがあたしの隣に座って、あたしの顔の前で指をパチンと鳴らして、あたしの考えから引き戻された。「お姫様、何考えてんの?」あたしの椅子の後ろに手を伸ばしてきた。
あー、それは言いたくないよ。
「別に。っていうか、なんでそんなこと気にするの?」あたし、ほんとバカな質問ばっかりするな。
やつはクスクス笑った。「あー、それは言いたくない」
あたしの心読めるの?マジで?
カーターが咳払いした。「アメリアと俺はもう行くから、寂しくならないでくれよ」
「誰もそんなこと思ってないだろ」レクシスはぶっきらぼうに言った。
「ご勝手に、愛しのダーリン」やつはレクシスからあたしを見てニヤニヤしてる。あー、勘弁してくれよ。
あたしはやつを完全に無視して、ブルックが尋ねた。「なんでそんなに早く?え、マジで、あたしの家でエッチとかしないでよね?だって、殺す-
「黙ってろ。してないし、しないよ、バカ。カーター疲れてるし、あたしはちょっと仕事があるの」アメリアが彼女を止めた。
あたしはカーターの視線を受け止めて、何か見抜こうとした。
「じゃ、行くわ。またね」アメリアはカーターを連れてあたしの前を横切って行った。
「バイバイ、みんな。カーター?」あたしが呼ぶと、彼はあたしの方を向いた。「ちゃんと休んでね」って言ったら、やつは肩をすくめただけで、絶対そうしないって分かってた。
「お願い」って懇願したら、ようやく「分かったよ」って言って、笑顔でアメリアの後を追って行った。
あたしはやつが部屋を出るまで、その姿を見送ってて、そしたら、みんながあたしたちのちょっとした会話を聞いてたことに気づいた。
あたしは咳払いして、気まずそうに笑った。「な、何?親友と内緒の話くらいできないの?」
「別に、どうでもいいし」ライアンが最初に言って、それからみんなも同意するように肩をすくめて、またご飯食べ始めた。
あたし、ちょっと間抜けな友達がいてマジで良かった。
あたしはほっと息をついて、カーターがちゃんとあたしの言うこと聞いてくれるといいなと思ったけど、レクシスがあたしの顔をじっと見てる気配を感じながら、また食べ始めた。
*****
あたしは、携帯がけたたましく鳴って飛び起きた。近所みんな起こせるレベルだわ、あれ。
「うー」って唸って、電話に出た。「なに?」
「助けてほしい」エイデンの声が掠れてた。これで完全に目が覚めた。
「どうしたの?大丈夫?」あたしは目を擦りながら、バスルームに向かった。
「起き上がれないし、全部痛いんだ」ってやつが不満げに唸った。
あたしはテーブルに携帯を置いて、顔を洗った。「分かった、すぐ行くから」
「サンキュー」電話を切る前にやつはそう言った。
あたしは身支度して、階下に向かったら、レクシスがシャツ着たままパンケーキ作ってた。
あたし、ちょっとはだかのやつが見たかったんだけどな。
「おはよう、お姫様」ってやつは笑って、パンケーキをあたしに投げ渡した。
「お前もな、ロンリーボーイ」あたしは彼の作った、めっちゃ美味しいパンケーキを一口食べながら言った。
「まだその名前気に入ってんの?」やつは眉をひそめた。
「まーね。それで、すごく具合の悪いエイデンのお世話に行かないと」あたしは食べながら言った。
「4日前に夕食を突然いなくなって、今度は具合悪いって?」
「そうだよ、ロンリーボーイ。人間なんだから」
「別に。エイドリアンの世話に行ってこいよ、看護婦さん」やつはちょっと芝居がかってて、あたしはちらっとやつに感情がよぎるのを見た。「嫉妬しないでね」ってからかったら
「絶対してないし」ってやつは否定した。
「どうでもいいわ」あたしはエイデンの家に向かいながら叫んだ。
やつから盗んだ合鍵を取り出して、玄関のドアを開けた。それから部屋に行ったら、やつはベッドに丸まって、上半身裸で、マジで具合悪そうだった。
「あら、可哀想に」あたしはベッドに座って言った。
「お、おはよう」ってやつが掠れた声で言った。
「黙って、熱測らせて」あたしはそう言って、レオンがこういう時のために部屋に置いてた体温計を取り出した。
口に入れて測ったら、39.3℃。全然良くない。
解熱剤をあげて、冷たいタオルでマッサージしてあげて、お母さんがレオンとあたしのためによく作ってくれた、チキンスープを作ってあげた。
何回か熱を測って様子見てたら、効いてきたみたいで良かった。
やつは結局寝ようとしないから、Netflix見まくって、予想外にたくさん番組見たんだけど、ある時点で、テレビ見すぎで寝ちゃった。
あたしはハッと目覚めて、窓の外を見たら、もう夜明けだった。エイデンの様子を見ようとすると、やつがいなかった。
名前を呼ぶ前に、やつは昨日よりずっと元気そうな顔で部屋に入ってきた。
「やあ、ストーカーさん」って笑った。「あたしのおかげだよ、お嬢さん」ってあたしの手の甲にキスして、クスクス笑った。
「それで、なんで夕食をあんなに急に抜けたの?」って話を持ち出したら、やつは硬直したけど、すぐに持ち直して肩をすくめた。「別に、ちょっと仕事で。身支度しなきゃだから」って言って、急いでバスルームに入っていった。
座ってるのも飽きちゃって、部屋の中を散歩することにした。ベッドサイドに唯一あった写真に気づいて、手に取ってよく見てみたんだ。
やつと、男の人と女の人、きっと両親の写真だった。やつはお父さんにそっくりで、顔もそっくりだけど、髪の毛だけはお母さんので、まあ、笑顔もそうかな。みんなすごく幸せそうで、笑顔があふれてた。心からの幸せな笑顔。幸せな家族として。
これがあたしの望んでたもの全部なんだ。心から幸せで、完璧な家族。
あたしは悲しげに微笑んで、写真をベッドサイドに戻した。それから、物色するために、やつが入ってきたウォークインクローゼットに入ってみたんだ。
服は、見たこともないようなスーツばっかりで、フォーマルな服もたくさんあって、ちょっと変だった。やつはいつも着ないのに。カジュアルな服のとこに行ったら、全部箱に詰められてた。
あたしは困惑して眉をひそめて、もう一度周りを見回したら、カジュアルな服が全部、前みたいにかけられてなかったんだ。全部詰められてた。
箱を調べて、なんでやつが詰めてるのか見ようとした。覗き始めたら、やつのものであるパスポートと、その中にある紙に目が止まった。
開いて、その内容を読んで、ショックで息を呑んだんだ。
「何してんだ」エイデンの声が聞こえて、あたしの顔には怒りが浮かんだ。
立ち上がってやつの方を向いた。「2日後にトロント行きで、帰りのチケットなし?これってどういうこと、エイデン?教えて」怒りが目に突き刺さった。
「あー、その、説明しないと、だよね」やつは呟いた。
当然でしょ。