フライ
次の日、俺らは早く起きて、レッドが武器を使う練習するのを手伝うことにしたんだ。アドミラルには、レッドの訓練に時間をもらいますって、先に挨拶しといた。そしたら、すぐにOKが出てさ、午後2時にはムーンライトの前に来て、ミスター・アンド・ミセス・ステラーに会うことになったんだ。マジでワクワクしたよ! ゼロの両親に会えるし、もしかしたらゼロにも会えるかもしれないって思ったら! きっとゼロも、両親を迎えに来るために一緒だよな。だから、今はすごく気分がいいんだ。
「ムーンってさ、なんでそんなに問題なさそうな未来人みたいな顔して笑ってんの?」 スターが俺に聞いてきた。武器を持ちながら。「ヘ?」
「いや、ただ目が覚めてるだけだよ」 そう言って、俺は弓を撫でた。
「昨日のシャドウの告白のせい?」 スターがニヤニヤしながら聞いてくるから、笑っちゃったよ。
「やめてくれよスター、また『兄貴ゾーン』の痛みを思い出させられる」 シャドウが隣で唸った。俺らは笑いながら、レッドはシミュレーターの中でクラウドと練習に夢中になってた。俺は黙って弓を拭いてたけど、スターと俺は騒いでて、シャドウをからかい続けたんだ。でも、レッドとクラウドがシミュレーターから出てきてケンカし始めたから、やっとやめた。
「バカ! お前が爆弾撃つときに、俺のカードを投げつけるんだからな! 俺のカードは無駄じゃないんだから!」 クラウドがムカついて言った。
「バカ! このキャニオンの使い方、もう知ってんのかよ? できるなら、ぶっ飛ばしてやるよ!」 レッドがそう言って、スターとレインがすぐに2人に頼み込んだんだ。
「俺に教えてくれよ、あんな女にはもう飽きた」 クラウドが優しく言って、俺の方に歩いてきた。「俺のバカカード、爆弾に当たるかな」 って囁きながら、焦げたカードを取り出した。俺は彼が優しく撫でてるのを見て笑ったよ。
「お前もかよ、笑わせんなよ、マジで苦しい」 彼は優しく言って、俺のことを見つめてきた。あいつら2人とも熱くなってるけど、レッドのことになると、いつもそうなんだよな。
「おい、1時半だぞ、準備しよーぜ」 アイスが言った。俺は立ち上がって弓を持って、下に降りて並んだ。あと少ししたら、ミスター・アンド・ミセス・ライトを迎えに行くからね。レッドとクラウドがケンカをやめないけど、俺らは無視した。カップルのケンカだし、俺らが邪魔しちゃダメだしね。ちょうど午後2時、俺らはアドミラルとヘッド・アミンと一緒にムーンライトの前に行った。何人かのムーンライト・スチューデントが待ってたんだけど、俺はびっくりしたんだ。なんでゼロがいないんだ? ゼロもゲームに参加してるのに。まさか、ゼロはステラーの建物にいるのか? でも、両親に会う予定はなかったのか? そんなことを考えてたら、目の前に高級車が止まったんだ。黒くて長くて、めっちゃカッコいいんだよ。あの車が何て名前なのか知らないけど、きっと金持ちの車なんだろうな。運転手が車から降りて、ドアを開けた。そこから降りてきたのは、30代半ばくらいの、めちゃくちゃキレイな女の人。髪はお尻まである茶色で、高級なアクセサリーをつけてた。もう片方のドアからは、同じく30代半ばくらいの男の人が出てきた。カジュアルな格好をしてた。2人の立ち振る舞いがすごく丁寧で、俺は感動しちゃったよ。ゼロはお母さんに似てるんだなって、最初に思った。ゼロの目は、お父さんを見てたけど。ゼロ、どこにいるんだよ? ここに姿を見せる気はないのか? お前の両親が来てるんだぞ。そう思ってたら、もう1人の女の人が車の後ろから出てきたんだ。マジでキレイで、肌が白くて、肩くらいの長さの灰色の髪が似合ってる。あれは誰なんだ?
「マジかよ、フライって何年かぶりに会ったら、すげー良い感じじゃん」 そう言ったレインの方を見た。まさか、あれがフライなのか? 俺は、笑ってるフライに目を向けた。
「ムーンライト・アカデミーへようこそ」 俺らは同時に言って、MLAプレイヤーは頭を下げた。俺が頭を下げながら、フライってゼロの人生でどんな存在なんだろう? って思った。そして、ゼロは今どこにいるんだ? 俺らと一緒にいるはずなのに、いないんだよ。
「何もかも、前に作られたものじゃない」 そう言ったフライを、俺はちらっと見た。彼女はムーンライトの前とムーンライト・スチューデントを見渡してて、俺の視線に気づいたから、俺は視線をそらした。もしかして、フライってゼロの妹? でも、ありえないよな。ゼロはフライみたいじゃないし。ゼロ、本当に、今姿を見せないのか?