信頼
ぐっすり眠ってるレッドを見た。疲れてたんだ、きっと。さっきまで走り回ってたし。ゲームのテーマがまた変わっちゃったんだよね、ペアだって。だってレッドはあたしの相棒だもん。
でも、わけわかんないんだよね。「インプ」がさっきあたしの手のひらに現れたんだ。インポスターのことだと思うんだけど、あたしとレッドしかいないのに。3人以上いないと「インプ」って言葉が出てこないんじゃないの?
「朝っぱらから、考えすぎ。」
あたしは起きてたレッドの方を向いて、彼女に笑いかけた。
「おはよう。ご飯食べよ。」
あたしが言うと、彼女はじーっとあたしを見てた。
「言われなくても食べるわよ。」
そう言って、カバンから食べ物を取り出した。あたしは前を見た。
「他に場所を探さなきゃね。」
「ペアがゲームのテーマでしょ。」
彼女がそう言うから、あたしは彼女を見た。
「残念ながら、あたしはあなたの相棒なのよね。」
彼女はそう付け足して、あたしはただ笑った。
「怪我はどう?」
あたしは尋ねた。
「大丈夫よ。まだ痛いけどね。なんで?舐めてあげようか?」
彼女はそう言って、あたしは嫌そうな顔をした。
「そんな顔しないで。そっちの方がもっと嫌。」
彼女は落ち着いた様子で言って、あたしの隣に座った。
少しの沈黙が、あたしたちを包んだ。
「ありがとうって言いたいけど、ごめんは言いたくないんだよね。」
彼女がそう言うから、あたしは彼女を見た。彼女は食べ物を一口食べて、あたしを見た。
「何のためかは言わない。自分で見つけなさい。」
そう言って、あたしを睨んできた。
「マジで、自分の力、わかってないの?」
彼女が尋ねてきたから、あたしは頷いた。
「わかるのは、人の心が読めることだけ。」
あたしは言った。
「あたしが自分の能力に気づいたのは、5歳の時だったわ。」
彼女は話し始めた。「あなたと同じように、あたしも火を操れるなんて知らなかったの。ある日突然、体が燃え始めたの。」
そう言って、彼女は笑った。
「死ぬかと思ったわ。体から火が出てて。慌ててお風呂場に行って水の中に飛び込んだの。全部うまくいくと思ったんだけど、水の中にいると、窒息しそうな感じがしたの。」
彼女はまた笑った。彼女が楽しそうにしてるのを見るのは、たぶん初めてだった。
「両親が来てくれて、水から出してくれたの。何が起きたのか話したら、自分の力だから普通のことだって言われたわ。」
そう言って、あたしを見た。
「あなたと同じように、最初は怖かったわ。傷つくかと思ったけど、時間が経つにつれて、自分の力を楽しむようになったの。」
そう言って、彼女は立ち上がった。
レッドがなんでこんなこと話すんだろう。あたしを信用してくれたのかな?
「ゲームの後、あなたの力を鍛えるのを手伝うわ。」
彼女の言葉に、あたしは動きを止めて、彼女を見つめた。
「マジで?」
あたしが尋ねると、彼女は左眉を上げて、あたしを見つめた。
「あたしがそう言ったら、そうよ。」
彼女は言った。
あたしは彼女が荷物をまとめるのを見てた。今になって、あたしは自分がやろうとしてることに対して罪悪感を感じてる。
ゲームに勝てそうにないし、レッドを騙すこともできなさそう。だって、もう彼女はあたしを信用してくれてるんだもん。
レッドの信用を裏切りたくない。彼女のあたしへの信頼を壊したくないんだ。だって、一度壊したら、二度と戻ってこないってわかってるから。
「まだ何作ってんの?さっさと安全な場所見つけよ。」
彼女が言うと、あたしはカバンを持って、彼女の後ろをついて行った。
どうしたら、レッドの信頼を裏切らずにゲームに負けることができるんだろう?
あたしたちはただ静かに歩いてた。聞こえるのはほとんど足音だけ。レッドの信頼を裏切らずにゲームに負ける方法をずっと考えてる。
難しいのは、相手が信用してくれた時。その信用を裏切りたくないってこと。レッドがくれた信頼を得るのは大変だったんだから。
「待って。」
レッドがそう言って歩みを止めた。真剣な顔で、あたしを振り向いた。
「何か企んでるんでしょ。」
彼女は真剣な顔で言った。
「何企んでても、やめて。」
彼女はあたしを見据えた。
「ムーン、あたしは勝ちたいの。」
そう付け加えて、彼女はまた歩き出した。あたしは彼女に付いて行かず、ただそこに立ち尽くして、歩いていくレッドを見ていた。
足が動かない。どうして彼女はあたしが何か企んでるってわかったんだ?
「レッド!」
あたしは彼女の前に敵が現れたのを見て叫んだ。すぐに彼女に向かって走り、矢を構えた。彼女を阻んだ相手の顔が見えた時、矢を放つはずだった。
「ダーク…」
レッドを阻んだ男に声をかけた。彼はあたしを見て、レッドもあたしを見た。あたしはゆっくりと弓矢を下ろした。
「ムーン、あいつを殺さなきゃ。」
レッドが言うから、あたしはレッドを見た。
「できない。」
あたしが言うと、彼女の額に皺がよった。ダークはレッドに向けたナイフをゆっくりと下ろした。
「嫌なら、あたしだけでやる。」
彼女が言うから、あたしはすぐに手を振って、レッドをダークから遠ざけようとした。彼女は木に飛んで行った。あたしはすぐに、レッドの苦痛を見て落胆した。
「レッド…」
あたしは呼びかけ、彼女に近づこうとした。彼女は火の中から出てきた。あたしを、今まで見たことのないほど嫌な奴だって顔で睨みつけた。
「近づかないで。」
「そんなつもりじゃ…」
「近づかないでって言ってるの!」
彼女はあたしに近づくなと叫んだ。
彼女が立って、あたしを睨みつけてるのを見てた。
「あの男のせいで、あたしを傷つけられたのね。」
彼女はダークを見てそう言って、またあたしを見て、笑った。
「あなたがインポスターだって知らなかったわ。もうあなたを信用すべきじゃなかった。」
「レッド、ごめ…」
「一緒になって。」
彼女はそう言って、ゆっくりとあたしたちの後ろを歩き、走り出した。あたしは、レッドが向かった道を見つめながら、唾を飲み込んだ。
「ムーン…」
ダークが呼ぶ声が聞こえたけど、あたしは無視した。
「あたしは彼女の信頼を裏切った。」
あたしはそう言って、涙がすぐに溢れてきた。