ブレスレット
あたしはもう1時間以上も、アドミラルのオフィスにいるんだよね。仲間たちは、すでに会場に行っちゃったし。アドミラルが命令したから。最近、誰かがあたしを見てるみたいで、アドミラル・ヒーラーっていうおじいさんがいた。さっきまで中で話してたみたいだけど、あたしはここで、ヒーラーが何て言うのか待ってたんだ。
で、今のあたしの顔はっきり見えるんだけど、顔全体が腫れてて、目の下にはコブみたいなのもできてるし、頬も歪んでて、唇の横には黒いシミがあるし。どこでどうなったのか全然わかんないんだけど、起きたときからマジで調子悪かったんだよね。アドミラルのオフィスのドアを見てたら、開いて、アドミラルとヒーラーが出てきた。2人とも、あたしのこともう一回見てきた。
「ど、どうなったの?」あたしが聞いたら、2人はお互いを見て、ヒーラーが目の前に座ったんだ。
「あたしはこれで」って、アドミラルが言って、さっき出てきたドアにまた入っていった。「ムーン、あんた、ムーンライトでエレメンタリストと喧嘩したり、怒らせたりしたことある?」って聞かれて、あたしは首を振った。
「昨日の夜、あんたと一緒にいたのは誰?」ってまた質問された。昨日の夜はゼロしかいなかったし、あたしの部屋を出る前に、あたしのおでこにキスしてくれたのは覚えてる。「ゼロ」って言ったら、あたしのことじっと見てくるんだよね。あたしの目は一体なんなんだろう。彼はカバンから何か取り出して、あたしに渡した。「サードアイ、開いてる?それとも、単なる能力の一部?」って聞かれて、意味わかんなくて混乱した。「え?」って言ったら、あたしの左手を取って、ポーチを乗せたんだ。紫色の石が入ってて、真ん中には小さくて光る石がついてるんだ。「そのポーチは、絶対外さないで」って言って、彼は自分の荷物を片付け始めた。あたしは彼が荷物を整理するのを見てたんだけど、あたしの視線は、目の前の鏡に釘付けになってたんだ。あたしのいつもの顔が戻ってる。顔の腫れも発疹も消えてるし。「これ、何のため?」って聞くと、彼はあたしを見て笑った。「あの生き物、あんたに何が起きてるのか教えたがらないみたいだから、これ以上何も言えないんだ」って言って、あたしに対して眉間にシワを寄せたんだ。あの生き物って誰?何が起きてるの?彼がアドミラルのオフィスから出ていくのを見てたら、アドミラルがさっき入ったドアを開ていったんだ。
「いつもの顔に戻ったな」って、アドミラルが言って、あたしの前に座った。「アドミラル、意味がわからないんですけど、これは何のためで、ヒーラーが言ってた生き物って誰のことですか?」って聞いたら、彼は肩をすくめただけ。ヒーラーが何を言ってるのか、アドミラルもわかんないみたい。「今は痛くないのか?」って聞かれて、あたしはすぐに首を振った。「じゃあ、会場に行って、それを直すのを手伝え」って言うんだ。あたしは立ち上がった。アドミラルに敬意を払ってから、アドミラルに背を向けたんだけど、あたしの頭に浮かんだ質問にすぐにぶつかった。「そういえば、ゼロも直すのを手伝ってくれる?」って聞いたら、彼は驚いてあたしを見た。アドミラルがあたしのことを見つめる目に打ちのめされたから、あたしはただ笑っただけ。「ごめんなさい、彼がオーナーの息子だってこと忘れちゃった」って言って、オフィスを出たんだ。外に出たとき、深呼吸して、あたしがつけてるポーチをもう一度見た。
深呼吸してから歩き始めたんだ。あたしの頭の中は、まだヒーラーが言ってたことでいっぱい。あの生き物って誰のことなんだろう?
「ムーン」って呼ばれて顔を上げたら、後ろからゼロが近づいてくるのが見えたんだ。あたしは、6メートル離れたところまで来た。「ゼロ」って言って、近づこうとしたら、いきなり後ろに下がった。あたしは何したんだ?って思ってたら、つけてるブレスレットを見て笑った。「ごめん」って言われて、あたしはおでこがピクッとした。「何で謝るの?」って聞いたら、「今日のイベントを手伝えないから?」って言われて笑っちゃった。「いいよ、じゃあ、一緒に掃除しなくていいよ。たぶん、あんたのこと掃除させようとしたら、親に怒られるよ」って言ったら、彼は笑った。「待って、何で距離置いてんの?まさか、もう2回も触ってないなんて奇跡だよ」って言ったら、彼はまたあたしのブレスレットを見たんだ。「あ、これ、さっきヒーラーがくれたんだ。何でとか、何のためとかは知らないんだけど、彼はって言ってたのに」
「もう行くね、ムーン」ゼロが突然消えちゃって、あたしは何があったんだ?って顔になった。「あいつ、おかしくなった?」って、あたしはつぶやいた。
「もうおかしいのか?*
「知らないわ」あたしは後ろを振り返ると、2人のムーンライト・スチューデントがあたしのことを見ていた。「行こ、後で彼女の頭がおかしくなっても困るし」って、その仲間が連れて行こうとしてたからあたしは肩をすくめて、会場に向かって歩き続けたんだ。