理由
ムーンの信頼をもう裏切っちゃったから、マジで怖かったんだよね。今、あの子がどこにいて、誰と一緒にいるのかも分かんないし。あの子が一緒にいる人たちにどんなこと言うのか、ちょっとビビってた。ダークのことかばうのは間違ってるって分かってるけど、ゼロがなんでムーンライトに勝ちたくないのか、ダークに突き止めて欲しかったんだよね。
「考えすぎだって」
ダークが隣でそう言った。私たちがぶら下がってる高い木の上で。そこしか安全に見える場所がなかったからね。
「さっき怒鳴ってた人のこと、まだ考えてんの?なんで私をかばったの?もしかして、私のこと、好きだったり?」
私は彼のことを見つめた。マジで、彼はいつも真剣になる方法を知らないんだから。
「希望」
って私が言って、彼のこと見つめてた。
彼は深呼吸した。
「まさか、レッドより俺と一緒に来ることを選ぶとはな」
って言った。マジで、私もレッドを傷つけたこと、信じられない。
「お前が俺と一緒に来た理由、あるんだろ?」
って言うから、彼の方を向いた。
「なんでゼロはムーンライトに勝ちたくないの?」
って聞いたら、彼はびっくりしたみたいに私を見た。
「お前のこと、夢で見たんだ。話しててさ。彼はムーンライトに勝ちたくないって言ってたし、お前もなんで勝ちたくないのか、理由を知ってるんだろ?」
って言って、私は目をそらした。
「あと、この前、モンスターのせいで別れた日に、彼に会って、ムーンライトに勝つなって言われたんだ」
って付け加えたら、彼は黙ったままだったから、また彼のこと見た。
彼は遠くを見てて、今は真剣なオーラで、考え込んでる感じだった。
「ダーク、本当のこと教えて。なんでゼロはムーンライトに勝ちたくないの?」
って聞いたら、彼は心配そうな目で私を見た。
「毎年、ゲームが祝われるんだ。家に持ち帰るトロフィーとは別に、勝ったらもらえる他の賞品もあるんだ」
って言った。彼は前を見た。
「MLAで勝った人はみんな、ハスレファに会うチャンスがあるんだ」
私の額にはシワが寄った。それって誰?
「それって誰なの?」
って聞いた。
「世界で最も強力な生き物で、生きた神様だって言われてるんだ」
って彼は答えた。
「ハスレファは、生き物が求めるものは何でも与えることができるんだ。有名にすることもできるし、莫大な富を与えることも、生き物を変えることも、力を与えることも、失われたものを取り戻すこともできるんだ」
って彼は言った。
「じゃあ、なんでゼロはムーンライトに勝ちたくないの?」
って聞いたら、
「自分の家族に言われることをしたくないからさ」
って彼は答えて、私の言葉を遮った。
「ゼロは生まれてからずっと、ファーザーとマザーの言うことを聞いてきたんだ。一生、彼らの言うことを聞くんだ。ミスター・アンド・ミセス・ステラーはムーンライトに勝ってほしいと思ってて、ゼロにはハスレファよりも強い力を得てほしいんだ。」
ダークが言ったことで、自分が弱くなった気がする。
「でも、ゼロはそうしたくないんだ。それが間違ってるって分かってるし、もしお願いしたら、彼にも副作用があるってことも」
ダークが言った。
「両親の命令に従ったら、他の人を傷つける可能性があるって知ってたんだ」
ダークが言って、私を見た。
「だから、ゼロは勝ちたくないんだ」
って言って、私は頭を下げた。
ゼロには申し訳ないって思う。両親が望むことは全部従うけど、彼はやりたくないことなんだから。でも、また疑問が頭に浮かんだ。
「それで、今はミスター・アンド・ミセス・ステラーが勝ちを確実にするために、ハスレファに何かお願いしたいんだ」
私はダークを見た。
「何?」
って聞いたら、
「何かを取り戻したいんだ」
って彼は答えて、私を混乱させた。
「誰を?」
って聞いたら、彼は肩をすくめて、答えなかった。
『もし誰を取り戻したいのか答えたくないなら、ゼロがどこにいるのか教えて』
って言った。彼は黙ったままで、真剣な顔で前を見た。
「ダーク--」
「俺は知らないよ、ムーン」
って彼は真剣に答えて、私の方を向いた。
「お前にそれを聞かれる相手じゃない」
って言って、私は頭を下げて弱々しくなった。
私が知りたかったのは、ゼロがどこにいるのか、無事なのか、それに対する答えが知りたかったんだ。たくさん質問があるけど、ダークは答えられない。答えられるのはゼロだけ。どこを探せばいいのか、どうやって探せばいいのかも分からないまま。