「ここじゃ、ぶっ壊すな!」
「お前ら、ここには似合わない!」
「貧乏くせえ!」
「安っす!」
「ちっ、貧乏キッズが流行ってんのかよ」
そんな言葉が、今日のわしの耳に飛び込んでくる。この学校のヘッド・アドミラルとヘッド・アミンと一緒に歩いてると、聞こえてくるんだよ。でも、わしは無視するようにしてる。だって、それらの言葉に耳を傾けたら、気分が悪くなっちゃうってわかってるから。せっかくの気分を、あいつらのせいで壊したくないんだ。
わしはムーン。この学校の底辺で生きてる女。
この学校は山の頂上にあって、その下に住んでる連中は貧乏人、つまり金持ち連中が言うところの「プア」なんだ。そう、わしも金持ち連中にプアって呼ばれるうちの一人。この学校じゃプアは禁止されてるんだ。金持ちと強者しかいないからね。でもわしは、この学校で勉強するチャンスをもらったラッキーな奴らの一人なんだ。
昨日、この学校の創立記念日で、それと同時に、この学校に無料で入れるラッキーなやつらの名前を選ぶイベントがあったんだ。そして、わしは昨日の選ばれた二人のうちの一人だった。
ムーンライト・アカデミーの中で勉強するって、すごいチャンスなんだよ。だって、ムーンライト・アカデミーは、この世界で一番大きくて有名な学校だって言われてるからな。
レインは、わしの友達で、ここでムーンライト・アカデミーで勉強してるんだ。彼女が、わしがこの学校に来た理由なんだ。彼女がラッフルにわしの名前を載せてくれたから、応募して、運良く選ばれたんだ。
わしは他のやつらとは違うんだ。強い力を持った強いやつなんかじゃない。わしの能力は、人の心を読めることだけなんだ。
金持ちで力を持ってるやつらにとっては、それはこの世界じゃすごく低い能力なんだ。まあ、驚かないけどね。だって、そいつらが強いんだから。
廊下を曲がると、まだここにいる生徒たちの邪悪な視線を感じる。大きな金の扉がわしらを迎えて、ヘッド・アミンがそれを開けた。金と貴重なものの中から、ヘッド・アドミラルのテーブルの前に座ってるやつが、わしの目を引いた。
そいつは頭を下げて、下を向いてた。腕を組んでて、何か考えてるみたいだった。何を考えてるのか知りたくなかったけど、突然、彼の心を読んじゃった。彼はムーンライト・アカデミーにいたくないみたいだったんだ。
「ムーンさん、あなたと一緒にいる人たちを待ってください」ヘッド・アドミラルがそう言ったから、わしは隅に座ってる男を見た。わしはただ彼を見つめて笑ったけど、彼はすごく驚いたみたいに目をそらした。
アドミン・オフィスのドアをちらっと見たとき、外からノックする音が聞こえた。突然、ドアが開いて、わしらと同じくらいの年齢の男が出てきた。メガネをかけてて、髪はボサボサのグレー。青い目をしているし、本を持ってる。
「ここがアドミラルのオフィスですか?」彼はわしを見て尋ねた。
「そうです、どうぞ」ヘッド・アミンがそう言って笑った。彼は誰だ?ちょうどそこにいた男に気を取られてたから、わしは注意をそらしてしまった。すると、そこに座ってた男が突然オフィスから出て行ったんだ。わしはアミンとアドミラルの顔の表情を見たけど、誰もその男のことなんか気にしてないみたいだった。
「ムーンさん、彼はクラウド・ブロレックスです。あなたは昨日、ラッフルの当選者の一人でした」ヘッド・アミンがそう言ったから、わしは目の前の男を見なければならなくなった。さっきの男が、わしと一緒に当選したやつだと思ってたんだ。
「誰と一緒になるか不安だと思うけど、一つだけ言っておく。心配しないで、みんな親切だから」ヘッド・アミンがそう言って笑った。
「一人を除いて」ヘッド・アドミラルが付け加えたから、わしはもっと不安になった。わしはただ彼らに微笑んだだけだ。
「まだ話してないから、先に話しましょう」ヘッド・アドミラルがそう言って、ヘッド・アミンの隣に座った。
わしはムーンライト・アカデミーのロゴが入ったソファに座り、男はわしの前の椅子に座った。さっき出て行った男が座ってた椅子だ。
「クラウド、君は何て言うんだ?君はラッフルのラッキーな当選者なんだろう?」ヘッドがわしらに尋ねた。わしは、ただクールなクラウドを見た。
「別に。わしはラッキーになるために生まれてきたんだから」クラウドはそう言って、アミンにゆっくりと微笑んだ。二人はただ笑って、わしに注目した。
「ムーンさん、あなたは何て言いますか?あなたはここに勉強するチャンスをもらったラッキーな女の一人ですよね?」ヘッド・アドミラルがわしに尋ねた。わしはただ笑って答えた。
「まだ信じられないです。すごくたくさんの名前がある中で、わしが選ばれて、ムーンライト・アカデミーで勉強するチャンスをもらえたんだから」わしはそう言って笑った。
「あなたはすごく謙虚ですね」クラウドがそう言ったから、わしは彼を見た。わしは彼に微笑んで、深呼吸した。
「そういえば、ムーンライト・アカデミーのオーナーを紹介したいんだけど」ヘッド・アミンがそう言って、彼の手に二人の写真が現れた。
「こちらがミスター・ライト・ステラーとミセス・ルナ・ステラーです。この学校のオーナーです」彼はそう言って、突然彼の写真が変わった。男の肖像画。これはさっきクラウドが座ってたところに座ってた男だ。
「彼はゼロ・ステラーです。ミスターとミセス・ステラーの息子さんです」ヘッド・アドミラルが言った。なるほど、彼はこの学校のオーナーの息子なんだ。だから、さっきは変な感じだったんだ。そして、ヘッド・アミンとアドミラルは、さっきのゼロの退場のことなんか気にしてないみたいだ。
「来ましたよ」ヘッド・アミンがそう言ったので、わしの頭の中は騒ぎ出し、ヘッド・アミンのオフィスのドアを見た。クラウドとわしは立ち上がり、ムーンライト・スチューデントが入ってきた。