第18章 どこにもない場所で。
そのスーツって、マジであんなに重いの?
重そうじゃん。
科学的に、論理的に、重いんだよ。
デカくて、すっごいデカくて、だだっ広い、黄色いモフモフのスーツを着て、沼地を歩くのを想像してみて。
泥とか、色々ある場所。
ちょっと前、おばあさんから逃げてる時に、アイツ、ニワトリのスーツ着てたの思い出した。それに、ランストンのやつと、ギャングのクソ野郎どもから逃げた時も、ニワトリのスーツだった気がする。だから、最近、ランストンのやつとニワトリのスーツで走り回ってて、今回初めて、アイツが疲れてるように見えるんだよね。ヘトヘトって感じ。
無理もないよ。こんな状況で、濡れてて重くてモフモフのニワトリのスーツ着て、町の沼地歩くなんて、マジで大変だもんね。
まさか自分がこんなことするとは思わなかったけど、マジで同情しちゃう。「貸して」って言って、箱を掴んで、いつもよりきつめに抱きしめた。ランストン、マジで正解。これ、石入ってんの!?
アイツはクスクス笑って「マジ?俺の方がお前よりずっと重いし、訓練も積んでるし、腹筋だってヤバイんだぜ」って言ってきたから、私は目を回して「私が持ってるものを落としそうになったアンタに、何ができるって言うの?」って言った。
「お、お前、濡れたニワトリの、ス、ス、スーツ着てるの、俺じゃないし」って、息を整えながら返事した。
アイツはまた目を回した。
「とにかく、それは俺に渡せ」
私は眉を上げて歩き続けた。「な、なんで?」
アイツはニヤリとして「便秘みたいだぞ」
便秘?
私は歯を食いしばって黙ってた。だって、本当のことだもん。
「うわあー」
強い腕が私の周りに巻き付いて、えっと、お尻の下と背中の上あたりに。私はすぐにアイツにきつくしがみついた。
「リード!」
アイツはただクスクス笑って、歩き続けた。
言いたくないけど、確かに、いつもより速いペースで歩いてることに気づいた。
「何なのよ!?」ってゴクって飲み込んで「この箱より、私の方が重いのに!」って、アイツに不満そうに言った。「歩けるんだからね」
アイツはニヤリと笑った。「でもお前、8トン以上あるみたいだし」って、今度は大げさだな…。 「あのオールドレディの友達の家まで、ずっと、ずっと早く着くぞ」
また、言いたくないけど、アイツは正しい。
今日はリード・イズ・オールウェイズ・ライト・デー!?
少しの間、静かに沼地を通り過ぎて、私はアイツに尋ねた。「さっき通ったの、どんな湖?」
「ヴィルスワースとか、そんな感じ」
ふう、少なくとも、どこを通ったかは分かってるんだな、一応。
「ちょっと休憩しない?」って、リードに言って、首に巻き付いてた腕をほどいた。「もう倒れそうだよ。あんた-と箱-を運ぶより、この箱だけ運んだ方がマシだわ」
アイツは首を振って、歩き続けた。
意地でも、文字通りアイツの腕から飛び降りて、床に倒れた。何度も転がって、重い箱が沼地の水滴から安全な場所にいることを確認した。
「マジで、何だよ!?クロエ!」
息を切らした。ふう! 私って、ジェームズみたい! だから、誰かに何者だって聞かれたら、こう答えるわ。名前はボンド、ジェームズ・ボンド。
銃の先を吹くシーン。
重い箱を手に立って、リードを見てニヤリとした。「さあ、行こう」
アイツは不機嫌そうにしてるのに、私は笑って、もっと言うと、アイツの前に飛び跳ねて行った。
数分後、アイツの呼吸が正常に戻ったのに気づいた-私、そんなに重かった?- それに、太陽が沈もうとしてる。まじか…
「それで、私達、どこにいるの?」ってリードに聞いて、手の中の物のグリップを直した。
「貸せ」って言って、私が持ってた箱を受け取って「で、分かんない」
「分かんないって?」って、めちゃくちゃな感じで聞いた。
「ああごめん、標識の読み方分かんないんだよね。あれ、読めるんだ、でも道の標識とか見える?」って、皮肉っぽく言ってきた。
私は首を振って、同時に下唇を噛んだ。アイツと喧嘩するのは、私たちのためにならない。
こんなことが起こるなんて、誰が想像できた?
ここにいるんだよ。この見知らぬ沼地を、冷たい風を感じながら一人で歩いてる。私が言ったように、太陽は沈もうとしてるし、この変な沼地だから、いつもより暗い。
そうだ…
「ねえ、リード、あんたのスマホ、懐中電灯とか、何かある?」
アイツは頷いて、箱を片手に持って、スマホを取り出して私に渡した。「ありがとう」
スマホを見て、何かを理解して、レンガのトラックに轢かれたような感覚になった…
電波がある。
私はすぐにアイツの左肩を殴った。
「は?!」って、痛そうに唸って、私を大きな目で見て「何なんだよ!?」
私はアイツをつねった。
「あ!」
私はアイツの足を踏んだ。
「なんでそんなことするんだよ、女!?」
私は唇を尖らせた。「まず、電波がある。で、二つ目は、あんた、口が悪くなった」
「三つ目は?」
「やりたくなったから」
アイツは目を見開いた。「気分で人の足を踏むなんてできないだろ!」
「もうやったことだし」って、映画「ザ・コール」で俳優が言ったのを引用した。
「とにかく」って、話題を変えた。「電波あるじゃん!」
アイツは眉を上げて「電波?」
私は頷いた。「そう、電波。シグナルバー。誰かに電話するのに必要なやつ」
アイツは鼻で笑った。「こんな状況で、誰に電話するんだ?ゴーストバスターズ?」
皮肉屋。
「いや、でも、'm'で始まって'm'で終わる」
アイツは鼻をしかめた-これは、降参を表すいつもの癖だ。
「ママ!」って大声で叫んだ。
アイツは「ああ」って言って、不機嫌そうに「でもそれ、新しいスマホじゃん。誰も番号知らないんだ」
私は顔を覆った。
アイツは鼻で笑って「じゃあ、お前のママに電話しろよ」
「私も…彼女の番号知らない」それに、私のスマホ、充電切れだし、誰の番号も見れない。
もしアイツがその箱を持ってなかったら、きっとアイツも顔を覆っただろうね。