第18章
数秒間、シーン…静寂が続いた。お父さんは僕を見て、それからコーディを見て、びっくりした顔してた。僕の後ろの群衆はコソコソ話し始めて、ジャスティンは僕の前に立とうと近づいてきた。沈黙はすぐにお父さんのクスクス笑いで破られた。…え、マジ?僕の予想と全然違うんだけど。
「笑っちゃいけないんだけどさ、冗談なのかどうかわかんなくて」そう言って、コーディの方を見た。コーディの顔は全然変わってないから、多分冗談じゃないんだろうな。「本当に、お前らにエリカを渡すと思ってるのか?タイラー、悪いけど、娘は渡さない」ってお父さんは言って、首を振った。僕はコーディと視線を合わせ、正直、ちょっと行きたい気持ちもあったんだよね。
「行かせないと殺されるんだぞ!彼女の髪の毛一本だって傷つけさせない、彼女はあいつらの友達なんだから!」って、タイラー巡査がまだ起き上がろうとしながら叫んでる。えーっと、スコットとは2回くらい話しただけだし…友達って言えるのかな?でも、コーディとは…友達以上だもんね。
「今回は、このクズがまともなこと言ってるな。エリカには絶対に危害を加えない。むしろ逆だ」ってコーディはニヤって笑って、僕にイタズラっぽいウインクを送ってきた。お父さんには気づかれなくてよかった。
「いや、お前らがまたこの町を襲撃する方がまだマシだ」ってお父さんは腕を組んで横を向いた。…いやいや、また町を襲撃することに抵抗がないような人たちに、そんなこと言っても意味ないって。
「それは、可能かもしれないな」ってコーディはニヤリとして、僕の方を見た。お父さんはそれが気に入らないみたいで、僕の手を掴んで引っ張り始めた。「ちょっと話す時間やるよ」ってコーディは叫んだ。僕らは森の端っこまで来たところで、僕は父さんに引っ張られるのを止めたんだ。
「お父さん、行かせてあげた方がいいと思う」って言ったら、冗談抜きで、お父さんは顔面蒼白になった。「エリカ、これ、どうにかしなよ!」って感じだった。
「あのタイラー巡査が私と友達だって言ったからじゃなくて、私が潜入捜査したら、何ができるか想像してみてよ!」って、どこに向かってるのかわからなかったけど、何とか話の方向性を考えなきゃいけなかった。
「なんでお前を仲間に入れたいんだ?お前はずっとあいつらの味方だったじゃないか」ってお父さんが眉を上げて指摘してきた。…あー、そこはあんまり考えてなかったな。
「お母さんのこと、話してくれた前はね。あいつらは理由もわからず、お母さんを連れ去った。私達が何年もかけて受けた傷、絶対に償わせたいの」って囁いた。相手に聞かれたくないってフリをしたんだけど、もし聞かれたら、コーディは私が何しようとしてるか分かっちゃう。「こう考えて。私が潜入して、あいつらが何を企んでるか、情報を流せる。それに、私、信用されてるんだよ!」って、静かに叫んだ。…ほんとに、ここから抜け出したかったんだ。
「エリカ、お前の言うことはすごくいいように聞こえるけど…一人で敵のど真ん中に娘を行かせるのは、やっぱり気が進まないんだ」って言って、まだ行かせてくれない。でも、その考えに少しずつ近づいてるのが分かった。
「お父さん、もう大人だよ。今回のことは、あいつらの群れを倒して、この町にしたこと、そして私達家族にしたこと、全部償わせる、最高のチャンスだよ」って言った。…私が自由をずっと欲しくて、それを手に入れるためにも、コーディと一緒にいるためにも、今しかないんだ。「お母さんに会えるかもしれないし、なんであんなことしたのか、理由を聞けるかもしれない。お父さんに会わせられるかもしれない。いいことしかないんだから、悪いことなんて全然ないよ」って、全部話し終わって、お父さんが折れてくれるように願った。
お父さんは少しの間黙ってて、顔色で考え込んでいるのが分かった。私が言った色んなことを全部頭の中でシミュレーションしてるんだろう。自分が良いアイデアだって、自分自身を説得しようとしてたら、あのスピーチで十分だったろうな。永遠のように感じた後、ついに僕を見て、今度は読み取れない表情をしてたんだ。
「分かった。本当に良いと思ってるなら、できるなら、毎日電話して、無事だってことを知らせろよ」ってお父さんは言って、ポケットから僕のスマホを取り出して、僕の顔の前にかざした。…え、毎日電話?そんなの、出ていくのを邪魔するだけじゃん!
「毎日電話するのは怪しいから、週に1回じゃダメ?」って聞いて、スマホを受け取ってポケットにしまった。お父さんは何か考え直してるみたい。「週に1回、時間を決めて。最初に行った日に電話して、それからその時間で電話するよ」って、子供の頃、何か欲しいものがあった時と同じような顔で言った。お父さんは僕の顔を見て、ため息をついたんだ。
「分かった、週に1回だけだ。でも、2分でも電話に遅れたら、俺と町のやつらがそこを襲撃するぞ」って言って、みんなが立っている方を指差した。僕は頷いて、お父さんの腕に抱きつき、ありがとうって伝えた。
「信じて。絶対に、お父さんをがっかりさせない」って、強く抱きしめた。お父さんも僕を抱きしめて、気をつけてねって言ってくれたんだ。
しばらくして、お父さんと一緒にみんなのところに戻り始めた。すぐにコーディと目が合って、僕が微笑むと、コーディも嬉しそうに笑ってた。…いよいよって感じ、正直、緊張してきた。
「お前の望み通り、承諾する。でも、娘に何かあったら、お前をぶっ飛ばすぞ」ってお父さんは言って、コーディの顔を指差した。コーディは手を上げて笑って、「さあ、ちゃんとやろう。お前らが変なことしないように」ってお父さんは言って、町の男の一人に僕の腕を掴んで連れていけって指示した。コーディも、自分の仲間に同じように指示したんだ。
僕とタイラー巡査は、それぞれの境界線の端に立たされて、町の男が巡査の腕を掴みながら、僕の腕も掴んでた。コーディ側の男も同じようにして、僕の腕を掴んだ。二人ともお互いを見て、3からカウントダウンを始めた。1になったら、二人同時に引っ張って、あっという間に僕は境界線を越えて、コーディの仲間に入ったんだ。
僕は後ろを振り返って、お父さんと目を合わせた。すごく悲しそうで、心配そうな顔をしてた。変な気持ちだった。ほんの少ししか離れてないのに、まるで国の反対側にいるみたいだった。間違った決断をしたんじゃないかって不安になった時、誰かの腕が肩に回ってきた。見上げると、コーディが隣に立ってたんだ。
「正しい決断をしたよ。でも、正直、俺たちの方が良い条件だ」ってコーディは笑って、お父さんの方を見た。お父さんはコーディほど嬉しそうじゃなかった。「さあ、楽しい話は終わりだ。行こう。新しい家に案内しなきゃいけない人がいるんだ」ってコーディは笑って、肩から腕を外して、僕の手を掴んだんだ。
僕らは、故郷と呼ぶ町から、一度も足を踏み入れたことのない町へと旅立ち始めた。振り返って、みんなを見た。お父さんは、僕に電話しなきゃいけないって合図でスマホを掲げてた。頷いてから、前を向いた。
「エリカ、俺が守るから」ってコーディが囁いた。振り向いて、彼を見て微笑んだ。私達は小道に入ったんだ。
みんなの視界から外れたところで、彼は僕の額に優しくキスをして、僕はさらに大きな笑顔を彼に送ったんだ。
「さあ、新しい仲間に案内しよう」ってコーディは笑って、周りの男たちが雄叫びを上げて歓声を上げ始めた。…嬉しいんだね。
「やっと!ルナだ!」って、僕の隣にいた人が叫んで、エアギターをしてる。変な顔をしたら、他の人も同じように始めたんだ。
「お前を見つけた時、仲間に伝えたんだ。みんな、ずーっとそうしてるんだよ。パックにルナができたって、すごく喜んでるんだ」ってコーディは説明した。もっと人が集まってきて、応援を続けてたんだ。
…あれ?私がルナなの?すごい仕事と責任が…いける!