第20章
たぶん1時間くらいかけて家の中を案内してもらったんだけど、外から見てもデカいのに、中に入ったらマジで巨大だった! 2階だけでバスルームが5個もあるんだよ!? しかもベッドルームもたくさんあって、なんでそんなにベッドルームが必要なのか、あたしには全然わかんないんだよね。もちろん自分の部屋は必要だし、予備の部屋が欲しいなら好きにすればいいけどさ! でも、なんで1人が12個もベッドルームが必要なの? なんかあたし、見落としてることある? まったく意味わかんないんだけど!
昨日の夜はほとんど寝てないから、マジでボロボロだったんだよね。だから、コーディが下のオフィスで仕事してる間に、あたしは2階で昼寝することにしたんだ。世界一気持ちいいベッドで! まあ、世界一かどうかは知らないけど、あたしが今まで寝たベッドの中で一番気持ちよかったのは確か! 枕に頭をつけた瞬間、一瞬で寝ちゃったんだよね。
急に電話が鳴って、あたしは飛び起きたんだ。隣に置いてあった電話を取ろうと、うなりながらゴロゴロ転がったよね。たぶん、出ないつもりだったんだけど、誰があたしを起こすほど非常識なのか、ちょっとだけ呪ってやろうと思ってさ。
あのうるさい音を拾って、誰からの電話か見えるように目をこすったんだ。名前を見た瞬間、気づいたよね。ここに到着したときに電話しなきゃいけないのを忘れてたんだ。誰のことか、たぶんわかると思うけど、もし忘れちゃった人のために言っておくと、あたしのお父さんね。あたしは背筋を伸ばして、喉を鳴らし始めたんだ。昼寝から起きたばっかりだって、お父さんに聞かれたくなかったんだよね。だって、あたしがやってる仕事で寝てるなんて思われたくないでしょ? あたしは電話に出て、耳に当てたんだ。あたしが話し始める前に、お父さんが話し出したんだ。
「エリカ! 着いたらすぐに電話するって言ってたのに、もう5時間も経ってるぞ!」 お父さんがすごい剣幕で電話口で言ってきたんだ。え、5時間も経ってたんだ。どれだけ寝てたんだろ?
「わかってるよ。でも、こっちはすごいことになっててさ、パックの敷地と、あたしが泊まってる家の案内をしてくれたんだ。ちなみにだけど、あなたすごいお金持ちなんだから、どうしてあたしたちあんな豪邸に住んでないの?」 あたしはちょっとムカつきながら聞いたんだ。こんな場所に、もっと早く住めたはずなのに!
「エリカ、話がずれてるぞ。そんな連中に、豪華な持ち物を見せられて、舞い上がっちゃダメだ」 お父さんが、またいつもの説教モードに入り始めたんだ。あたしの質問には答えずにね。ちょっと失礼だよね、もう!
「舞い上がったりしてないよ。計画は知ってるし、あたしも知ってる。でも、いきなり行って質問攻めにするわけにはいかないでしょ。まずは彼らの信頼を得なきゃ」 あたしは言ったんだけど、これは全部嘘。あたしは、この人たちに逆らうつもりなんてないし、彼らの味方だし、お父さんの味方じゃないんだ。「今夜はアルファ、ベータ、マーサと夕食なんだ。そこでパーカーの魅力を見せつけて、どうなるか見てくるよ」 あたしは、背もたれに寄りかかりながら言ったんだ。夕食はもうすぐかな。お腹空いてるし、そういえば、今日まだ何も食べてないんだよね。
「気をつけてな。お前をあいつらのところに送り出すのは、やっぱり嫌な気分だ」 お父さんが言い始めたとき、ベッドルームのドアが開いて、コーディが入ってきたんだ。あたしに微笑んでくれたんだけど、手に持ってる電話に気づいたよね。
「気をつけるよ、お父さん。でも、そろそろ行かなきゃ。あなたと電話してるのが、彼らに見つかりたくないし」 あたしはそう言って、会話を終わらせようとしたんだ。コーディがそばに歩いてきて、ベッドにあたしの隣に座ったんだ。「明日のこの時間に電話してくれよ。5時間も待つのは嫌だから、あの場所に乗り込むぞ」 お父さんがあたしに忠告してきたんだけど、あたしはただ目を回しただけ。「気をつけろよ」 それだけ言って、電話を切ったんだ。なんていい会話の終わり方なんだろう、お父さん。
あたしは耳から電話を離して、コーディの方を見たんだ。コーディはあたしを見て微笑んでて、首を横に振ってたよね。
「ご報告しますけど、捕まったみたいですね」 コーディが微笑むから、あたしはただコーディの方を見たんだ。最初は、何のことかさっぱりわからなかったんだけど、お父さんと話したことを思い出したよね。
「ああ、しまった。罰を受けなくちゃね。このベッドから出ないで済むなら」 あたしはそう言って、毛布をさらに上に引っ張り上げたんだ。やっぱり、最高に気持ちいいベッド!
「いや、このベッドでできることはたくさんあるよ」 コーディはあたしにウィンクして、もっと近づいてきたんだ。あたしはただ目を回しただけ。「でも、それは後にして、夕食は1時間以内だよ」 コーディはそう言って、ベッドから出てワードローブに入っていったんだ。あたしは、ただ寝転がったよね。
少し経ってから、コーディはスーツ姿で戻ってきたんだ。カッコいい! あれ、これってフォーマルな夕食? あたし、フォーマルな夕食とか苦手だし、もっと、適当なレストランに行って、何が出てくるか見てみたいタイプなんだよね。それに、あたし、自分の服を持ってきてないし、ホントに思いつきで来ちゃったんだよね。
「フォーマルな夕食じゃないよね?だって、着てる服しかないし!」 あたしが言うと、コーディは笑って、二つ目のワードローブに歩いていったんだ。コーディがドアを開けると、そこには女性用の服がぎっしり詰まった、巨大なウォークインクローゼットがあったんだ。
「マーサがお前が俺のメイトだって知ったとき、このワードローブを服でいっぱいにしろって命令されたんだ。どうやら、前からずっとやりたかったらしいんだけど、お前はいつも、自分の着てる服が好きだって言ってたからな」 コーディはそう説明してくれたんだ。あたしはついに、ベッドから出て、ワードローブの方へ歩いていったんだ。「だから、俺はマーサにクレジットカードを渡して、お前に好きなものを買ってあげろって言ったんだ」 コーディはそう言って、あたしは服のタグを見始めたんだ。うわ、数字がいっぱい!
「ほとんどの服、めっちゃ高いじゃん」 あたしは、ワードローブのドアに寄りかかっているコーディの方を見て言ったんだ。「あたしは、適当な店で5ポンドのトップスとかで十分なんだよね。見てよ、このパーカー、あたしのじゃないし」 あたしはそう言って、着ていたパーカーを引っ張り上げたんだ。今朝は寒かったから、これを着てコーディのコートを借りて暖かくしてたんだよね。
「お前には、値段は関係ないんだ。お前には、できるだけ最高な気分でいてほしいんだ。そのためにお金をたくさん使うことになるなら、そうするまでだ」 コーディはそう言って微笑み、ワードローブに入ってきて、あたしの手を握ったんだ。でも、パーカーをちょっと見て、変な顔をしたよね。「誰のパーカーなんだ?」 コーディはそう言って、袖の端っこを引っ張ったんだ。あたしは、ホントは知らなかったから、パーカーを鼻に持っていって匂いをかいだんだよね。
「ジャスティン」 あたしはそう言って、匂いでわかったんだ。あたしのいつもの服の半分は、ジャスティンとリースの服でいっぱいなんだ。一度服をあげると、彼らは返してくれないんだよね。
コーディは唸り声をあげて、パーカーの裾を掴んであたしの頭から引っ張り上げたんだ。幸い、中にタンクトップを着てたんだよね。それから、コーディはくるっと向きを変えて、ワードローブから出て行ったんだ。あたしはその後を追って、コーディが窓を開けて、パーカーを投げ捨てるのを見たんだ。
「気に入ってたのに!」 あたしが言うと、コーディは振り返ってあたしを見てウィンクしたんだ。ああ、悪いエリカの出番ね。
あたしはコーディにウィンクして、ドアを見て、またコーディを見たんだ。あたしは、本気であれを取り返すつもりだったんだ。あれを手に入れるのに、どれだけ時間がかかったことか、信じられないでしょ。ジャスティンのお気に入りだったから、彼はあたしにあげるのをすごく渋ったんだよね。あたしはドアに向かって走り、ちょっとだけ開けて、コーディにドアを叩きつけられる前に、ドアを閉めたんだ。あたしはコーディに振り向かされて、ドアに押し付けられたんだ。
「お前はそれを返してもらえない。お前に着ていい男の服は俺のだけだ。お前に匂っていいのは、俺だけだ」 コーディはそう唸り声をあげ、目はいつもより暗くなったんだ。あたしは人をからかうのが大好きだから、続けたよね。
「でも、ジャスティンはめっちゃいい匂いなんだよね。信じて、あたしはその男の腕の中にたくさんいたから、すっごい匂いを嗅いだんだ」 あたしはそう言ってウィンクすると、コーディはさらに怒って、もっと大きな唸り声をあげたんだ。
一瞬の動きで、あたしはベッドに寝転がっていて、コーディがあたしの上に覆いかぶさる感じになったんだ。コーディの目は、さらに暗くなってて、あたしを下に閉じ込めたんだ。うわ、これはマジで展開が変わってきた! でも、あたしはまだ終わってないんだよね。
「彼とはこんな関係になったことないし、待って、あったっけ? そういえばあのときー」 あたしが言い始めたんだけど、コーディさらに大きな唸り声で遮ってきたんだ。家がちょっと揺れるくらい。ありえること?
「からかうなよ、エリカ」 コーディは唸り声をあげ、今度はあたしの腕をベッドに押さえつけたんだ。ちょっとやりすぎたかも。
「わかったわ、ジャスティンとは、そんなことしてないよ。でもさ、あなたは、女の子となんかしたことないって言える?」 あたしはそう言って、コーディを見たんだ。コーディはめっちゃイケメンだし、あたしよりたくさん経験しててもおかしくない!
「ない。俺はメイトを待ってたんだ。お前を」 コーディがそう言うと、すぐに気分が悪くなってきたんだ。あたしは、してないことはないんだから。
「あたしの言い分としては、あなたのこと知らなかったから、もし知ってたら誰ともしなかったよ」 あたしはそう言って、コーディを落ち着かせようとしたんだ。あたしは、コーディがそういうことをあたしとしたことがあると勘づいてると思ってたんだけど、逆効果だったんだ。
「お前は俺のものだ」 コーディは、また大きな声で唸り声をあげて、あたしの顔に近づいてきたんだ。本って、こういうとき、男はメイトを独占しようとするって書いてあったけど、あたしはやりすぎたかもしれない。
「落ち着いて。そう、あたしは過去に他の男とそういうことをしたことはあるけど、彼とだけだったんだ。しばらく付き合ってたから」 あたしはそう言って、必死に彼を落ち着かせようとしたんだ。もう、彼がキレ散らかしてるのがわかったから。
「彼の名前を言え」 コーディはそう言って、まだ落ち着いてないみたいだった。あたしは、別にそんなに気にしてなかったんだけど。
「なんで彼の名前を知りたいの?」 あたしはそう言って、起き上がろうとしたけど、コーディはあたしをまた押し倒したんだ。なんで、彼がどうしても男の名前を知りたがるんだ?
「殺すためだ」 コーディは、はっきりとそう言って、あたしは完全にびっくりした。「俺のものに触ったんだ。俺以外の誰にも、俺のメイトにそんなことする権利はないんだ」 コーディは唸り声をあげて、あたしはただ目を回したんだ。パーカーのことで、こんなことになるとは!
「もしあなたがそうしたいとしても、彼に近づけないわ。彼は、ある理由で刑務所に入ってるから」 あたしはそう言って微笑んだんだ。コーディの様子からすると、それが彼にとって一番いい場所なのかも。「考えてみて、あなたは、これからあたしがそういうことをする唯一の男になるんだよ」 あたしはそう言って、コーディに明るい面を見せようとしたんだ。あたしは、彼の腕の中から手を抜いて、彼の頬に手を置くことができたんだ。
「彼はもういないんだから。あの頃、あなたを知ってたら、あんなバカとは近づかなかったのに」 あたしはそう言って、親指で彼の頬をなぞったんだ。本には、オオカミのメイトは、触れるだけで落ち着かせることができるって書いてあったよね。
彼はあたしの触れ方に身を任せて、目を閉じたんだ。もう一度目を開けると、彼の明るい青い目が戻ってきたんだ。あたしは彼に微笑むと、彼はあたしに溶け込んでいくように、あたしの上に横たわったんだ。あたしは彼が落ち着いていくのを感じたんだ。
たぶん、あんなことするべきじゃなかったな。もうしばらく食べられないかも!