第33章
ローハンの視点
もう3日も経つのに、まだお父さんと話してないんだよね。あいつ、マジでゆっくりしててさ。俺もまだ怪我から完全に回復してなくて、オオカミも治すのに時間がかかるんだよ。
「お前を治してやってるんだから感謝しろよ、このクソッタレ」って、バリアの中に引っ込んじゃった。
…あー、まじか。アイツ、今俺のこと嫌いなんだろうな。
とりあえず、無視。もっと大事なことあるし。お父さんが何を知ってるのか、確かめなきゃ。俺が泣きながら土下座するって分かってるから、距離置いてるんだよな、きっと。
風呂入ってから下に降りたんだけど、怪我してるからマジで慎重になった。俺にとっては辛い時期なのに、なんでオオカミはさらに苦しめようとしてくるんだろ。
「大丈夫? ベイビー」階段の下で、お母さんが話しかけてきた。
目には同情の色が見えて、今はそういうの求めてないんだよね。
「うん、お腹空いた」って答えた。
「よかった、朝ごはん作ったの。フレンチトースト」って、またコンロの方に行こうとしたんだけど、「妹がまたミッチェルと朝ごはん食べてるわね。二人の関係がマジにならないといいんだけど」って忠告してきた。
あー、お母さん、もし知ってたらどう思うかな。カミラを売ることもできるけど、そしたら罰は俺の10倍くらい甘くなるだろうし。めっちゃ騒いで、ミッチェルのことについて色々聞かれるだろうしね。カミラは彼を拒否してないから、彼女にとってはプラスかな。
マジで暴露したくなったけど、カミラが嫌がるだろうし、裏切りだって思うだろうから、やめといた。俺がメイトを拒否したこと知ってても、誰にも言わなかったし。まあ、とりあえずお母さんには言わないでおこう。
お母さんがフレンチトーストとコーヒーを俺の前に置いて、お礼言ったら、髪をクシャクシャって撫でてきた。
「ママ! もう大人なんだから!」って文句言ったら
「まだ赤ちゃんのみたいにグズグズ言ってんじゃん」って笑われた。
「おはよう」ってお父さんがお母さんの頬にキスした。
「うわ! 部屋でやれよ」って叫んだ。
朝ごはんの時、いつもカミラと俺の前でこんなことしてるんだよね。
「お前もメイトが見つかったら、同じことすればいいんだよ」ってお父さんが言ってきた。またこの嫌味かよ。
「あ、そうだった、お前は拒否したんだっけ」ってニヤニヤして、お母さんが投げた新聞をよけた。
「やめなさい!」ってお母さんが叱った。
「わかったよ!」って、もう終わりじゃないぞって顔で俺を見てた。
お父さんにはそういう遊び心があって、マジギレするのは嫌いなんだよね。怒ると、俺たちはマジで避けるから。
キレちゃったこと、ちょっと後悔してるってのは分かってた。治癒クリーム塗ろうとしたけど、なんか変だし。他の男に胸触られるのは嫌だから、結局お母さんに頼んだんだけど。
別に、お父さんに怒ってるわけじゃない。ただ、俺のために最高のものを望んでくれてるってこと、伝えたかっただけなんだ。
「お父さん、話があるんだけど」って、やっと切り出した。
俺のこと見てニヤニヤして、聞こえなかったフリしてる。もう一回言わせたいんだろ。
「お父さん!」
「ん? なになに?」って、やっと俺の方を見た。
「ふざけないで、俺が何したいか分かってるだろ」って言った。
「そうかな? うーん」って、顎に手を当ててる。
お母さんは面白そうに見てて、お父さんが俺に何か頼ませようとしてるって分かってるんだよね。マジで、その通りになってきてるし。
「お願い、お父さん。ちゃんとしたいんだ」って、やっと言った。
お父さんは真剣な顔で俺を見て、あの足りないページについてお願いしてるって分かったみたい。
「ほんとに、準備できた?」って聞いてきた。
「うん、お父さん。続きの話を聞く準備はできてる」って、正直に言った。
「じゃあ、散歩でも行こうか」って提案された。
朝ごはんをかきこんで、ちょっと足を引きずりながら、一緒にドアから出た。
お父さんは子供の頃の話を始めた。
「昔、子供の頃、両親がメイトの話とか、色んな出会いの話をしてくれたんだけど、いつも寝る前の作り話だと思ってたんだよな。子供たちを寝かしつけるためだけの。
でも、カレッジでお前に会うまでは信じてなかった。
あいつは、今まで見た中で一番キレイな女だった。めっちゃ活発で、飾らない。そして、人間だったんだ…」
言葉を区切って、じっくり聞かせようとしてる。
「え!?」って俺は叫んだ。全然予想と違う展開だし。お母さんが人間? マジで人間だったの? お父さんと出会った時。
お父さんは俺を見てニコニコしてる。色々考えさせられるんだろうな、きっと。
「お父さん、なんで今まで話してくれなかったの?」って聞いた。
親父たちは、オオカミが聞きたいことは何でも話してくれたのに、自分たちの話は都合よく隠してたんだから。
「お前のメイトが人間だって、一度も考えたことなかったし、もし問題があったら、父親である俺に相談するだろうと思ってたんだよ」って言った。
ちょっと気まずい笑顔になっちゃった。これは俺が悪いわ。何も知らないのに、自分で解決しようとしたのは間違ってた。
「うん、それは俺が悪かった」って言った。
「まあ、とにかく、お前とお母さんはマジで仲良くなった。親にも言いたくなかったけど、なんかアドバイスもらわないとって思ったから、とりあえず流れに任せてみたんだ。一緒に色々楽しいことしてたら、すぐにお前に夢中になったんだ。お前もそうだったみたいだし。純粋に幸せだったよな。残りの人生を一緒に過ごす人を見つけるってのは、俺にとっては、お前のお母さんだったし、あっちもそうだった。
でも、一つだけ問題があって、それは俺の本当の姿だったんだよ。
愛してる人に、自分が動物に変身できるって、どうやって言うんだ?
言う前に、結果が怖くて、精神的にも肉体的にも、距離を置くようになったんだよね。マジで拷問だった。愛する人に、完全に正直になれないってのは。
選択肢は二つしかなかった。俺と一緒にいるか、俺を捨てるか。俺の意見では、最初の選択肢が勝ちだったんだけど。どうしたらいいか分からなくなって、お母さんに去ってほしくなかった。あいつなしじゃ生きていけないし、あいつがいないと、俺は完成しないんだ。
お父さんのとこに行ったんだ。最初はためらったんだけど、残りの人生を幸せに過ごすためには、そうするしかなかったんだよ。全部話したら、お父さんはこう言ったんだ。
「息子よ、男らしく、自分が何者か教えてやれ。もし彼女が去るなら、それは彼女の損失だ。選択するチャンスを与えてみろ」
アドバイスに従って、真実を話すために戻ったんだ。それが、メイトを持つか、一生メイトなしで過ごすかを決める瞬間かもしれないから、簡単じゃなかった。
全部話したら、お母さんは俺のこと見つめて、マジで頭がおかしくなったみたいだって。突然笑い出して、俺と別れたいから色々作り話をしてるって言い出したんだ。
オオカミに変身して、本当のことを見せてやろうとしたら、変身した瞬間、お母さんは固まっちゃった。目を見開いて、口も開いたままで、信じられないって顔だった。
近づこうとしたら、俺に近づくな!って叫んでて。彼女が俺を傷つけようとしてるって思ってること、それ以上に俺の心を痛めたんだ。彼女が去るっていうことよりも。
泣き出して、慰めようとしたけど、俺を近づけようとしないから、無視して抱きしめようとしたら、また叫んで、暗闇の中に走り出したんだ。
一晩中お母さんを探したんだけど、見つからなかった。電話もメールもなかったし。どこにいるのか、分からなかったんだ。
数週間、探し回ったけど、何の手がかりもなかった。どんどんやつれていって、オオカミも、お母さんがいないと、ゆっくり死んでいくんだ。メイトの絆が、俺の命と一緒に少しずつ消えていく。マジで惨めだった。
運が向いてきたのは、あいつが俺を見つけに来てくれた時だった。
『ごめんね、逃げちゃって。何か変だって気づいてたんだけど、何が悪いのか全然分からなくて、あなたが残したヒントから色々調べて、そんなことありえないって信じようとしなかったんだ。色んな小説読んだけど、全部フィクションだし、人間がウェアウルフと一緒になんて、ありえないことだって思ってたから。
あなたがマジでそうだって見せた時、あなたがあの本みたいになっちゃうんじゃないかって怖かったから逃げたんだけど、数週間色々考えたんだ、一緒に過ごした時間を。もしあなたがあたしを傷つけようとしたら、できたはずなのに、そうしなかったでしょ。あなたを愛してるって言いに来たの、そして、オオカミだってことは変わらないわ』
って言ってくれたから、マジで嬉しくて抱きしめたんだ。心が満たされた。
俺がなんでそんなにひどい状態だったのか話したら、彼女なしじゃ生きていけないんだって、それでいいんだって思えた。
おじいちゃんとおばあちゃんに会わせたら、すごく喜んでくれたんだけど、問題が一つあったんだ。それは法律だった。
人間とウェアウルフは結婚できないって法律があって、何年も、たくさんの人をメイトなしで死なせてきたんだけど、俺が幸せを見つけた時に、そんなことさせたくなかったんだ。
お母さんと話して、彼女も色々調べ始めて、親父も色々調べてくれた。そして、俺はパックからパックへ同じような経験をした人を探して回ったんだ。
もう時間がないって時に、お母さんがとんでもないことを提案してきたんだ。
彼女いわく、ウェアウルフの本はずっと読んでて、人間がメイトと一緒にいる唯一の方法は、満月の日にオオカミが噛んで、人間もウェアウルフにすることだって。
みんな笑ったんだけど、もう何でも試すしかないってくらい、必死だったんだ。満月は次の日で、お母さんが死ぬ可能性もあったから。結果が出るか試してみることにしたんだ。秘密裏にやることにした。他に知ってるのは、お母さんと、おじいちゃんとおばあちゃんだけ。」